マガジンのカバー画像

オモイデ

321
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

秘密基地でペルーのコーヒー、バナナブレッド

原宿から渋谷に向かってキャットストリートをテクリと歩く。 かつて川があった名残のゆるやかに曲がって続く遊歩道。一時期、寂れた感じがあったけど新しい店が続々できててじんわりにぎやか。渋谷でもない、青山でもない「おだやかなオシャレ感」が漂う空気がいい感じ。 ザロースタリーでのんびりします。 お店の奥に焙煎工場のあるコーヒーの専門店。 秘密基地みたいな雰囲気をタナカくんが大好きで、原宿に来るたびよっていた場所です。 コーヒーをたのしんでもらおうって気持ちのスタッフが気持ちよく、

ずっとこのままであってくれればいいなと思う‥。

昼は尾張屋。 思い出がありすぎて、彼が逝ってしばらくはお店の前を通ることすら辛かった店。 数ヶ月して意を決してお店に入りひとりの理由を涙おさえて説明し、でもカツ丼食べたら涙が止まらなくなっちゃった。 それを見たお店の人がそっとティッシュの箱を置いてくれたのがうれしくって、また泣いた。 おいしかったなぁ…、くやしいほどにおいしかった。 そんなカツ丼を今日も食べます。 「カツ丼、玉子少なめ、ご飯硬めで」ってお願いしました。 お店の人がそれに答えて「ご飯少なめ、玉子硬めでいいん

渋谷のおかめ

渋谷に移動。「福田屋」のそば。 渋谷でそばを食べるといえばこの店で、タナカくんともよく来てた。 最後に来たのは2020年の1月のこと。 雪混じりの寒い日で、仲間4人で集まって昼からお酒をたのしんだ。 にんにくの芽と鶏肉の炒め物とか牡蠣のみぞれ和えとか蕎麦前たのんで「大人だねぇ」って笑いながらのんびりしたのを思い出す。 冬の入り口とはいえ今日はあったか。 軽くお腹を満たしましょうと「おかめそば」を選んでたのむ。 ここでははじめて。冷たい茄子のそばもあったんだけど食べれば絶対

玉ねぎのみそ汁は好きじゃない…、って言ってたよなぁ。

家の近所の「さわ野」で昼食。 カウンターにテーブル3つの小さなお店。昼はご主人ひとりで切り盛り。カウンターの端に座ると仕事の手元が見て取れる。 昼食メニューは6種類。どれも魚が主役の料理。 焼いたものあり、煮たもの、揚げ物と調理方法は多彩でそれをひとりでこなすため、丁寧な準備がなされ手際のよさにうっとりします。 タナカくんが逝く一ヶ月ほど前にはじめてふたりでやってきた。 それから何度か昼に来て、今度は夜に来てみようね…、って言っていたら逝っちゃった。 矍鑠としたご主人の

諫早出身の人がなつかしいと言っていたちゃんぽん…。

曙橋の長崎料理のお店「直季」に来る。 タナカくんが多分、好きだった店。 「多分」としか言えないのは一緒に来たこともないし、お店の名前を直接聞いたわけでもないから。 晩ごはんのメニューを決めるのに、お昼に何を食べたか報告し合うのが習慣だった。そのとき何度か、近所でちゃんぽんを食べたんだ…、って言っていた。 防衛庁の近くにあって、皿うどんもあるけどちゃんぽんの方がおいしい。 辛味噌を追加できたり、ランチにご飯がサービスでついたり。チキンフライがおいしいんだよ…、ってうれしそう

三角錐のティーバッグ

カフェベローチェでぼんやりします。 お店の前のメニューボードをしばし眺める。ここではアイスコーヒーフロートか冷たい抹茶ラテを飲むのがほとんどでメニューを見ることなんて長らくなかった。 そしたら案外いろんな飲み物が揃ってて、ルイボスミントティーに目がいく。 ルイボスティーって扱うお店がずいぶん増えた。 カフェインフリーの健康的な位置付けなのか、利尿効果もあるから浮腫防止にいいんだとボクも家では煮出したルイボスティーを飲んでたりする。 ドリンクバーの黎明期。ティーバッグの種

ジャズとアッサムミルクティー

食後にジャズでも聞きながらちょっとのんびりしましょうか…、と「ダグ」に来てみる。 大きな通りに面した映画館ビルの隣の建物。一階がイタリアントマトでその地下にある。 ドアを開けるといきなり地下に向かう急な階段。 煉瓦の壁にポスターやレコードジャケットが貼られてて、ひんやりとした空気が下からやってくる。 冷たい空気を一緒にジャズの音が泡のように湧き上がり、一段ごとに音がど大きくなってく。リーリトナーのギターが歌っておりました。 禁煙席と喫煙席がバーカウンターを挟んで作られ

大きな会社が裕福なときに作った作品

雨の1日。ぼんやりしていると心が沈む。沈むついでになつかしい店でランチにしようと、四谷の「雪梅花」にやってくる。 紅虎餃子房を運営している際コーポレーションの経営する店。にもかかわらず他に支店の類はなくて、ここ一軒のオンリーワン。 まだ際コーポレーションが裕福だった時代の店です。 高い天井、オープンキッチン、整然と並ぶテーブル、作り込まれたインテリア。裕福な大企業がお金をきちんとかけた店舗は時間を経ても古ぼけもせず正しく熟す。いいお店。 タナカくんが好きだった店。出張帰り

新宿御苑でお弁当

昼はお弁当買って新宿御苑で食べることにした。 崎陽軒のシウマイ弁当。 こんなに完成されて変わる必要のないお弁当ってなかなか他に例を見ない。 東の崎陽軒、西の水了軒の「御堂筋弁当」、その真ん中に松浦商店の「なごや」という不変の弁当があってどれもが好きだったけど、水了軒が破産して今では2つを残すばかりとなっちゃった。 変わらずにすむということはすばらしいコト。…、でもむつかしい。 シウマイ5個にタケノコ煮。マグロの醤油煮、かまぼこ、唐揚げ、卵焼き。生姜に昆布に干し杏とどれもが