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スキャモンの臓器別発育曲線 医学概論NO.1 ソーシャルワークを極める講座



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1.人の成長・発達

(1)スキャモンの臓器別発育曲線


①スキャモンの臓器別発育曲線の縦軸と横軸

スキャモンの臓器別発育曲線は、人の成長について表しているものです。
成長とは、身体的な発育のことです。

スキャモンの臓器別発育曲線は、各体組織(たいそしき)の発達の特徴を示す指標になります。

ここで、一般的な約束事についてお話をしておきます。医学用語はすべて音読みだと決まっているということです。音読みは、昔の中国の発音をもとにした読みで、聞いただけでは意味がわからないものが多いです。これに対し、訓読みは、漢字の意味を表す日本語の読みで、聞いただけでも意味がわかるものが多いです。

スキャモンの臓器別発育曲線は、20歳時点の発育状態を100%としていて、横軸は年齢です。出生から20歳までとなっています。
縦軸は、0%から200%までです。100%ではなく、200%ということで、要注意の部分です。縦軸は、各年齢における発育状態をグラフに表したものになります。
これがスキャモンの臓器別発育曲線の表になります。


各体組織は、発達の特徴ごとに、リンパ型、神経型、一般型、生殖器型の4型に分類されています。
スキャモンの発育曲線を見れば、何歳の段階で、それぞれの臓器がどういう発育状態にあるのか、その違いがひと目でわかります。

この発育曲線は、クライエントの子供が通常言われている範囲内から、どのくらい支援が必要なのかを考える場合に参考となります。


②各型の内容について

・リンパ型

リンパ型というのは、心臓の上に乗っかった部分にある胸腺、舌べろの付け根の両側にあるこぶのような形をしている扁桃腺、リンパ節などのリンパ組織の体組織を指します。
これは、免疫能の発達パターンになります。

・神経型

神経型というのは、脳、脊髄、視覚器などの神経組織の体組織を指します。
これは、運動機能の発達、頭囲の成長パターンになります。

・一般型

一般型というのは、身長、体重、血液量、胸腹部臓器の体組織を指します。
これは、身長、体重の成長パターンになります。

・生殖器型

生殖器型というのは、男性では、陰茎、睾丸(こうがん)、つまり精巣(精子を産生する器官)、膀胱のすぐ下にある前立腺、また、女性では、卵巣(卵子を周期的に放出する器官)、子宮などの体組織を指します。
これは、生殖機能の発達パターンになります。


③スキャモンの臓器別発育曲線の特性について

リンパ型は、免疫力に関わるものですが、出生時から12歳ごろまで、つまり思春期を前にぐぐっと200%近くに発育し、10代の前半にピークを迎え、その後、下がっていき、20歳になると、100%になります。
曲線としては、ジェットコースターのようにどんどんと上がっていき、頂上に達してから急激に下がっていくような軌道になります。ちなみに、100%が成人のレベルになります。

リンパ型が、200%までいくジェットコースターである覚え方

リンパ=免疫 ということで、ジェットコースターも何度も乗れば免疫できる

神経型は、12歳ぐらいまでに非常に急速に発達をしていきます。4~5歳で成人の約8割まで急激に成長します。
4つの型の中で最も成長が早く、10代の前半にほぼ完成をします。そこからはほぼ増加は見られなくなります。
自分の学生のころを思い出してください。神経系は反射神経の発達に関わりますが、10代の前半ころの短距離走のタイムが一番速くて、その後、20歳ころまで同じようなパフォーマンスだったと思います。

一般型は、二つのピークがあることが分かると思います。
一つは、急速に成長していく6歳ぐらいまでのピークです。もう一つは、第二次成長期(思春期)に入る13歳前後から急激に増加するピークがあります。
一般型は、2つのピークがあるので、S字カーブを描くのが特徴です。
一般型は、身長に関わりますが、6歳ぐらいまでに身長がグンと伸びて、その後、再度13歳前後からグンと身長が伸びたと思います。

生殖器型においては、これは生殖器ということをイメージしていただければいいんですが、これは思春期である年齢、13歳前後において急激に成長します。4つの型の中で最も成長が遅いのが特徴です。
13歳前後になると、ホルモンの関係で異性に関心が出てきて、どんどんとエッチになっていくという感じです。

以上、スキャモンの発育曲線によって、各体組織が発達するという傾向が分かると思います。


第36回第1問の選択肢

成熟時の発達を100%としたスキャモン(Scammon, R.)の臓器別発育曲線に関する問題で、「25歳を100%として表している図である。」との内容の正誤が問われています。



この選択肢は誤りです。
20歳を100%として表している図になります。



第25回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「リンパ系の器官は、成人期に最も発達する。」との内容の正誤が問われています。



リンパ型は、免疫力に関わるものですが、出生時から12歳ころまで、つまり思春期を前にぐぐっと200%近くに発育し、10代の前半をピークを迎え、その後、下がっていき、20歳になると、成人のレベルである100%になります。よって、成人期に最も発達するとする選択肢は誤りになります。
同じような問題が、第36回第1問でも出題されています。

リンパ型が、200%までいくジェットコースターである覚え方

リンパ=免疫 ということで、ジェットコースターも何度も乗れば免疫できる



第29回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「リンパ系組織が成長のピークとなるのは、乳幼児期である。」との内容の正誤が問われています。



この選択肢は誤りです。
リンパ型は、免疫力に関わるものですが、出生時から12歳ごろまでに成長のピークを迎える器官になります。乳幼児期は、5歳までを指しますので、この選択肢は誤りになります。



第22回第1問の選択肢

身体の正常な成長・発達に関する問題で、「脳や感覚器官は、生後から成人まで緩やかなS字カーブを描いて成長する。」との内容の正誤が問われています。



この選択肢は誤りになります。
脳や感覚器官の体組織は、神経型に該当します。神経型は、12歳ぐらいまでに非常に急速に発達をしていき、4つの型の中で最も成長が早く、10代の前半にほぼ完成をします。そこからはほぼ増加は見られなくなります。
選択肢に出てくる、緩やかなS字カーブを描いて成長するのは、一般型である身長、体重、血液量、胸腹部臓器の体組織になります。
同じような問題が、第36回第1問でも出題されています。


第33回問題1の選択肢

人の成長と老化に関する問題で、「青年期の終わりは、身体の成長が最も著しい時期である。」との内容の正誤が問われています。




この選択肢は誤りです。
スキャモンの発育曲線によると、身体の成長が最も著しい時期は、乳幼児期と思春期(9~14歳頃)になります。



第25回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「生殖器系の器官は、出生時と思春期の2回急激に発育する。」との内容の正誤が問われています。



この選択肢は誤りになります。
生殖器系の器官は、思春期である年齢、つまり13歳前後において急激に成長します。
選択肢に出てくる、出生時と思春期の2回急激に発育するのは、身長、体重等の一般型の器官になります。
同じような問題が、第33回第1問、第36回第1問でも出題されています。



第36回第1問の選択肢

成熟時の発達を100%としたスキャモン(Scammon, R.)の臓器別発育曲線に関する問題で、「神経型は12歳頃に最も発達する。」との内容の正誤が問われています。



この選択肢は誤りです。
神経型は、12歳ぐらいまでに非常に急速に発達をしていき、4つの型の中で最も成長が早く、10代の前半にほぼ完成をします。12歳頃に100%になり、その後は、100%の状態が続き、そこからはほぼ増加は見られなくなります。なので、12歳頃に最も発達するという部分が誤りです。



第22回第1問の選択肢

身体の正常な成長・発達に関する問題で、「学童期から青年期における顕著な身長の伸びには、成長ホルモンが関与している。」との内容の正誤が問われています。



これはその通りです。
学童期とは、5~12歳を指します。
青年期とは、12~18歳を指します。


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