見出し画像

出生から成人期までの発達過程 医学概論NO.2 ソーシャルワークを極める講座



YouTubeで動画視聴できます。



人の成長・発達については、胎生期、乳幼児期、児童期、青年期、中年期(壮年期)、老年期という各段階の成長・発達があります。

成長とは、身体的な発育を指します。
発達とは、精神的成熟、社会的成熟、機能、生理などの面についての成熟に向かう変化を表す概念です。

社会福祉士が関わる、福祉の支援が必要になる場面としては、主に、高齢者と小児が多いと言えます。
小児に対する福祉の支援の際に知っておいておきたい事項が、小児の出生時と乳幼児期の成長・発達の部分になります。
とりわけ成長において大事になるのは、乳幼児期、そして児童期、それから性の成長につきましては、青年期も一部含むので、大事になってきます。
以下では、乳幼児期から成人期までの流れを確認します。


①妊娠期間中

まず妊娠期間中です。

受精後8週(妊娠10週)ころまでに人の基本的な生理機能を担う器官の形成がほぼ完了します。
ですので、触覚に反応し、胎動の始まりがあります。
そうすると、妊婦のお母さんが、「あ、いま動いた!」とおなかの中の赤ちゃんの存在をはっきりと体で感じられます。これが胎動です。

受精=妊娠ではないことに触れておきます。

受精とは、排卵後の卵子と精子が出会うことを言います。

受精とは卵子と精子が出会っただけにすぎず、胎児になるための準備がまだできていない状態です。つまり、受精の段階は、非常に不安定かつデリケートな状態であり、妊娠が成立しない確率の方が高いのです。

その後、受精卵が子宮に到達し、その受精卵が子宮内膜に潜り込むことで着床するわけですが、ここまでに至るには、性行為から1週間~2週間程度かかります。
そして、受精卵が着床した時点で妊娠成立となります。
このようなことで、受精と妊娠の時期が2週間ほどずれるわけです。

妊娠から3ヶ月になると、外から見える外性器が発達しますので、エコーを使って、性別の判定ができるようになってきます。

妊娠から4ヶ月になりますと、痛覚に反応する、いわゆる脊髄神経反射が発達してきます。よって、光に対して敏感に反応し、触覚も発達し始めます。

妊娠から5ヶ月目には、原始反射が非常に発達する時期になります。そして、胎動が活発になります。

妊娠から6ヶ月目には、聴覚器官の完成を迎えます。
胎児の聴覚が完成するので、驚愕反射の原始反射が出現する時期になります。
原始反射は本能的な反射になります。
母親のお腹のなかでは、突然大きな音がすることは少ないです。そのような環境の中で音がしたときには、胎児は何らかの理由があるのだろうと予測して激しく反応すると言われています。

また、妊娠から6ヶ月目には、眼瞼(がんけん まぶたのこと)の開閉が行われることになります。
ただ、ここで注意して欲しいのは、外見上は、目が出来ていても、出生時点では、視力は未だ完成していないので、ほとんど見えていないという点です。
要するに、視力の完成は、聴覚の完成より遅いということです。
また、生まれて直ぐは、音は聞こえていますが、目は見えていません。新生児の視力は、0.1以下だと言われています。

およそ妊娠後40週(9か月~10か月目)には、出生時期の目安の時期になります。妊娠から出産までの期間は、昔から「十月十日(とつきとおか)」といわれます。


②新生児期から成人期までの発達過程

出生時は、平均身長は、約50㎝。平均体重は、約3000グラムです。

低出生体重児は、2500グラム未満の者であると定めています。

また、出生児の脳の重量は、約350グラムです。これは、成人の脳の重量(1400グラム)の約25%になります。


出生後1~2ヶ月の時期

運動としては、赤ちゃんを腹ばいにすると、頭を持ち上げたりします。
情緒・社会面では、声かけや音に反応するようになり、注視、つまり、相手の顔を見つめたりします。
言葉としては、「くー」「あー」と意味のない声を出すことを覚えます。この声は「クーイング」と呼ばれるものになります。クーイングは、息を吐くときに音が出ているイメージです。


出生後3ヶ月目の時期

この時期になると、母親の顔や声が分かるようになります。
そして、あやすと笑うようになります。
また、頭蓋骨の後ろの方にある小泉門(頭頂骨と後頭骨の間のすき間)の閉鎖があります。

なお、小泉門とか、後で触れる大泉門という隙間があるのはどうしてかと言いますと、出産時にこのすき間を利用して骨と骨が重なり合って、頭のサイズを小さくして、狭い産道を通り抜けるためです。
赤ちゃんの頭を触ったことがある人なら分かると思いますが、頭の部分を触ると、あれ、頭蓋骨がない、という感じ、ぷにゅぷにゅしています。これが、小泉門であったり、大泉門であったりするわけです。


出生後4ヶ月目の時期

運動としては、首が完全にすわってくるという時期になります。
体重が出生時の2倍(6キロ)くらいになります。
このように出生後4カ月くらいになると、出生時の2倍くらいの体重になるわけですが、まず体重が先に増加して、身長の方が後から伸びてくる、というのが特徴です。
身長が出生時の約2倍になるのは、4歳前後です。

4カ月で首が完全にすわってくることの覚え方

4 この形をよく見ると、数字の4の上の部分は頭に見えます。頭が4のようにすわっている

と覚えておいてください。




出生後5ヶ月目の時期

ジェネラルムーブメント(赤ちゃんがあおむけになったときに、自発的に手足などをバタバタ動かす全身運動のこと。この運動を通して、自分の体や外の世界に触れて、赤ちゃんは自分の体と、そうでないものを認識するのではないかと言われています。)の消失があります。
ジェネラルムーブメントは、出現は出生後ですが、生まれてから5ヶ月目ぐらいに消失をするということが特徴的です。
出生後5か月すると、運動としては、寝返りができたり、手を出して物を掴むことができるようになります。
生活としては、離乳食の開始の時期でもあります。

出生後5か月ころに寝返りができることの覚え方

寝返りごろごろ



出生後6ヶ月目の時期

言葉としては、「ばぶ」とかの意味のない音節を発する喃語が出てきます。
喃語は、唇や舌を使って音を出す・二つ以上の音が混じるというように、口を使って音を出すものになります。
また、原始反射(生得的に備わっている、大脳機能が未熟であるがゆえの反射のこと。)の足底把握反射(乳児の足底を刺激すると足指がギューっと曲がる反射)以外が消失してくる時期でもあります。
ちなみに足底把握反射が消失するのは、生後9~10か月です。


出生後7ヶ月目

乳歯が生え始めます。ただ、個人差が大きいです。
運動としては、支えられて立つことができるようになります。
生活としては、コップから飲むことができるようになります。
なお、コップを自分で持って飲むことができるようになるのは、出生後11か月ころからです。


出生後8ヶ月目

情緒・社会としては、欲しいものが得られないと怒ったり、人見知りが始まる時期になります。

出生後8か月で人見知りの覚え方

やだやだの人見知り


出生後9ヶ月目

運動としては、座位保持、つまり、ひとりで座れるようになります。
また、生後9か月から10か月でハイハイをすることができるようになります。

出生後9か月でひとりで座れるようになることの覚え方

9 数字の9を良く見ると、下の方が丸くなっているので、座っているように見えます。ということで、9か月でひとりで座れるようになると覚えてください。


出生後10ヶ月目

情緒・社会としては、バイバイをするようになります。


出生後11か月目

運動としては、つたい歩きができるようになります。
生活としては、コップを自分で持って飲むことができるようになります。

以上が、乳児期(生後から1歳未満)です。

次に、幼児期(満1歳から小学校入学前)を確認します。


出生後12か月(1歳)

運動としては、ひとりで歩行ができるようになります。
言葉としては、1語文で、初語、つまり初めての意味のある言葉が出るようになります。例えば、「ママ」など。
1歳ころになると、身長が出生時の約1.5倍(75cm)。体重が出生時の約3倍(9キロ)くらいになります。
先ほどお話ししましたように、体重が先に増加し、後で身長が伸びてきます。

出生後12か月でひとりで歩行ができるようになることの覚え方

1 2 1 2 とひとり歩きができるようになる


1歳6ヶ月

運動としては、完全に独歩、つまり上手に1人で歩くことができるようになります。
言葉としては、片言が言えるようになります。
また、自分の名前がわかるというところになるかと思います。
その他にも、頭蓋骨の前の方(おでこの上あたり)にある大泉門(頭の左、右、前の3つの骨のひし形のすき間)の閉鎖の時期になります。
この大泉門の所見は、臨床的には重要であり、閉鎖が早すぎると、小頭症(頭が異常に小さい状態のこと)、閉鎖が遅すぎると、頭が異常に大きくなる状態になる水頭症(脳の内部にある空洞、つまり脳室が正常より大きくなる病気)や骨の発育不良が疑われます。
水頭症の児童は、頭が大きいので顔が小さく見えます。
水頭症は、脳を保護する脳脊髄液が過剰に貯まるために起こります。脳脊髄液は、脳の中央にある脳室で毎日一定量がつくられ、脳と脊髄の周りを流れ、循環しながら静脈などに吸収されていきます。この流れが滞ると、水頭症が起こります。



2歳

運動としては、走れるようになります。
言葉としては、言語機能が発達し、2語文が使えるようになります。例えば、「わんわん、きた」みたいな感じです。


3歳

言葉としては、3語文を使えるようになり、話し言葉の完成をほぼ迎えます。
また、1つ、2つ、3つの数概念が理解できるようになります。
運動としては、はさみを使ったり、全身を使った運動。例えば、でんぐり返しをしたり、三輪車に乗るというようなことができるようになります。
また、乳歯列の完成、上下で10本ずつの計20本が生えそろう(子供の歯が全て生え揃う)という時期を迎えます。
乳歯というのは、簡単にいうと、子供の歯です。子供の歯の形成というのは、3歳児くらいにほぼ完成しています。
子供の歯が生えはじめるのは、7か月くらいになります。


4歳

漸く身長が、出生時の2倍くらい、100㎝くらいになります。
体重は、出生時の5倍くらい、15キロくらいになります。
そして、バツが書けるようになります。
また、他者と自分との考えが違うことが理解できるようになってくる時期です。


5歳

運動としては、スキップをすることができるようになります。
また、三角を描くことができるようになります。


6歳

夜尿症がほぼなくなってきます。ただし、小学校入学時点(満7歳)では、1割が残存するということも言われております。これは男児の頻度が高い傾向があります。
また、アレルギー性疾患の診断時期になり、アレルギー性疾患の診断がわりあい目立つようになってきます。
それから、視力や聴力がほぼ完成します。
さらに、脳の重量は、成人の約90%に達します。
6歳になると、行動の前に計画を立てるということが理解できるようになってきます。

以上が幼児期(満1歳から小学校入学前)です。

今までのところ(乳幼児期の発展過程)を一覧表にしてまとめました。



児童期(7歳から12歳までの子供)

運動としては、筋肉が飛躍的に発達し、運動技能の向上ということが出てきます。
一方では、肥満児の問題が出てくる時期でもあります。
また、急激に身長が伸びてしまう高身長化の問題が出るということもあります。
そして、精神神経的な発達としては、時間、空間的理解が非常に進みます。
また、児童期は、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)に気づきやすくなる時期でもあります。
学習障害等の診断そのものは、もっと早い時期にできますが、小学校に入学して、周りの方が気づきやすい時期であると言えます。

学習障害とは、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するという能力のうち、特定のものの習得と行うことに著しい困難をきたす様々な状態を示すものになります。

この学習障害の原因につきましては、中枢神経の機能障害だと推定されています。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)につきましては、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、または衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものになります。

この ADHD につきましては、男児に多いと言われています。


青年期(13歳から20歳頃あたりまでの時期)


青年期初期を思春期と言います。
思春期は、性ホルモンの働きで第二次性徴が生じ(女子は、8~9歳ころ、男子は、10歳ころ)、生殖器の発達が始まります。

性徴とは、性別を判別する際の基準となる特徴のことです。
この性徴には、第一次性徴と第二次性徴があります。

第一次性徴は、胎児のときに男子には陰嚢や陰茎、女子には子宮や卵巣が形成されることを指しています。

第二次性徴は、思春期に生じ、性ホルモンの活発な分泌により生殖能力を獲得することを指しています。

第二次性徴の始まりからの順番も押さえておくべき事項になります。

女子では、乳房の膨らみから始まり、陰毛発生、身長増加、初経発来で完成します。
男子では、睾丸(こうがん)の発達と変声から始まり、陰毛発生、性器の発達、体格の変化、精通(ペニスの先端から初めて精子が出る生理現象のこと=初回射精)へと続きます。

男女それぞれの特徴としては、女子の第二次性徴が上(乳房)から始まり、男子は、下(精巣)から始まるということがあります。

ここのところは、性機能の発達というところで、スキャモンの臓器別発育曲線の生殖器型の所と重なります。13歳あたりまでは発達がほとんどありませんが、13歳ごろから急激に発達します。

思春期の心理的特徴としては、自意識の増加があります。
思春期のころは、社会の中で自分自身の価値を見出そうと葛藤しているからです。
自意識の増加により、周囲の者と、容姿や成績、能力などを比べてしまいがちで、劣っていると落ち込んだりします。
思春期の児童は、このような状態にあることから、友人と比べられると、とても傷つくことがあるので、支援者は気を付ける必要があります。

思春期には、思春期特有の疾病(例えば、神経性無食欲症など)や性同一性障害というようなものが現れてくることもあります。

青年期後期である18歳から22歳ころになると、身体の形態・機能面で成熟の域に達し、身体の成長が終了します。

成長が終了すると、以後緩やかに低下していきます。つまり、老化ということになってきます。


成人期(22歳から65歳までの時期)

成人期は、ライフステージの中で最も長い期間になります。

20代のころは、身体の形態・機能は成熟し、体力、生殖機能はピークを迎えます。
ピーク後は、徐々に老化、つまり減退が始まっていきます。

特に中年期(40歳から64歳)に入りますと、老眼等の視力や生殖機能などの身体機能の低下と筋力、持久力、瞬発力等の体力の低下ということが意識できるようになります。

年齢とともに、糖尿病やがんなどの生活習慣病の罹患が増加するのが成人期の特徴です。

また、加齢とともに、性機能は低下していき、更年期を迎え、更年期障害が出てきます。

この点については、男女差があります。

男性は、40代以降から徐々に男性ホルモン(テストステロン)が減少します。

女性は、45歳から55歳の頃に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少して閉経を迎えることになります。



第22回第1問の選択肢

身体の正常な成長・発達に関する問題で、「受精後8週目を過ぎると、人としての基本的生理機能を担う器官の形成期に入る。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
受精後8週までに人の基本的な生理機能を担う器官の形成がほぼ完了します。よって、受精後8週目を過ぎると、完成ではなく、形成期に入るとの選択肢は誤りになります。
同じような問題が、第29回第1問でも出題されています。


第29回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「体重が出生時の約2倍になるのは、出生後3~4か月である。」との内容の正誤が問われています。


これは、その通りです。
ちなみに体重が約3倍になるのはいつか。これは後で出てきますので、注意して私の話を聞いておいてください。


第30回第1問の選択肢

標準的な身体の成長と発達に関する問題で、「生後2か月までに、首がすわる。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
首がすわるのは、生後4ヶ月目になります。


第33回第1問の選択肢

人の成長と老化に関する問題で、「生後2か月では、寝返りが打てる。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
寝返りが打てるようになるのは、生後5か月ころになります。


第22回第1問の選択肢

身体の正常な成長・発達に関する問題で、「すべての原始反射は、生下時(せいかじ)から認められ幼児期には消失する。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
原始反射の中には、パラシュート反射のように、生下時には認められず、生涯持続するものもあります。
パラシュート反射とは、突然転びそうになったときに、とっさに手を前について体を打たないようにする反射です。
パラシュート反射は、生後6~9ヶ月ごろから見られるようになり、一生続きます。
よって、すべての原始反射が、「生下時から認められ」という部分も誤りですし、すべての原始反射が幼児期(1歳未満)には消失するとの部分も誤りになります。


第30回第1問の選択肢

標準的な身体の成長と発達に関する問題で、「生後3か月までに、座位保持ができる。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
座位保持ができるようになるのは、生後9ヶ月目ころになります。


第30回第1問の選択肢

標準的な身体の成長と発達に関する問題で、「生後18ヶ月までに、1人で歩くことができる。」との内容の正誤が問われています。


これは、その通りです。
生後12か月で1人歩きができるようになり、生後18か月までには上手く歩くことができるようになります。


第22回第1問の選択肢

身体の正常な成長・発達に関する問題で、「大泉門は、生後6か月までに自然に閉鎖する。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
大泉門の閉鎖は、生後、1歳6ヶ月ころです。


第30回第1問の選択肢

標準的な身体の成長と発達に関する問題で、「生後18ヶ月までに、1人で歩くことができる。」との内容の正誤が問われています。


これは、その通りです。
生後12か月で1人歩きができるようになり、生後18か月までには上手く歩くことができるようになります。


第22回第1問の選択肢

身体の正常な成長・発達に関する問題で、「大泉門は、生後6か月までに自然に閉鎖する。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
大泉門の閉鎖は、生後、1歳6ヶ月ころです。


第29回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「身長が出生時の約2倍になるのは、2歳前後である。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
2歳というのは大分早いです。身長が出生時の約2倍(1m)になるのは、4歳前後です。


第23回第1問の選択肢

精神の発達とその障害に関する問題で、「夜尿症は、小学校入学時点の児童の半数に認められる。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
6歳になりますと、夜尿症がほぼなくなり、小学校入学時点では、約1割が残存すると言われております。よって、小学校入学時点の児童の半数というのは、明らかに多いので、この選択肢は誤りになります。


第25回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「脳の重量は、4~6歳で成人のおよそ90%を超える。」との内容の正誤が問われています。


これは、その通りです。


第29回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「身長が出生時の約2倍になるのは、2歳前後である。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
2歳というのは大分早いです。身長が出生時の約2倍(1m)になるのは、4歳前後です。


第23回第1問の選択肢

精神の発達とその障害に関する問題で、「夜尿症は、小学校入学時点の児童の半数に認められる。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
6歳になりますと、夜尿症がほぼなくなり、小学校入学時点では、約1割が残存すると言われております。よって、小学校入学時点の児童の半数というのは、明らかに多いので、この選択肢は誤りになります。


第25回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「脳の重量は、4~6歳で成人のおよそ90%を超える。」との内容の正誤が問われています。


これは、その通りです。


第33回第1問の選択肢

人の成長と老化に関する問題で、「思春期には、第一次性徴が出現する。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
思春期には、第二次性徴、つまり、思春期に生じ、性ホルモンの活発な分泌により生殖能力を獲得することが出現します。


第35回問題1

思春期に伴う心身の変化に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 この時期の心理的特徴として、自意識に乏しいことが特徴である。

2 女子では、初経から始まり、次いで乳房や骨盤の発育がみられる。

3 男子は、女子よりも早い時期から思春期が始まる。

4 身体の変化は緩徐な変化が多い。

5 第二次性徴という身体的な変化が始まる。


解説

選択肢1は、✖
思春期の心理的特徴としては、自意識の増加があります。思春期のころは、自分自身の価値を見出そうと葛藤しているからです。

選択肢2が、「女子では、初経から始まり、次いで乳房や骨盤の発育がみられる。」とあって、これが、生殖器の発達だと思って、この選択肢2が正解かなとも思ったかもしれません。この点、『産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第 4 版』の女性の思春期の定義によりますと、「女性の第二次性徴は、「乳房発育に始まり、陰毛発生、身長増加、初経発来で完成する。」とのことです。なので、選択肢2は、✖
上記のように、女子では、乳房の膨らみから始まり、陰毛発生、身長増加、初経発来で完成します。
男子では、睾丸(こうがん)の発達と変声から始まり、陰毛発生、性器の発達、体格の変化、精通(ペニスの先端から初めて精子が出る生理現象のこと=初回射精)へと続きます。
男女それぞれの特徴としては、女子の第二次性徴が上(乳房)から始まり、男子は、下(精巣)から始まるということがあります。

選択肢3は、✖
思春期は、性ホルモンの働きで第二次性徴が生じ、生殖器の発達が始まります。第二次性徴の始まりは、女子は、8~9歳ころ、男子は、10歳ころになります。

選択肢4は、✖
性機能の発達というところで、スキャモンの臓器別発育曲線の生殖器型の所と重なります。13歳あたりまでは発達がほとんどありませんが、13歳ごろから急激に発達します。

選択肢5は、〇
「第二次性徴という身体的な変化が始まる。」とあります.。
思春期には、性ホルモンの働きで、第二次性徴が生じ、生殖器の発達が始まります。


第33回第1問の選択肢

人の成長と老化に関する問題で、「20歳頃には、生殖器系の成長が最も著しくなる。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
生殖器系の成長が最も著しくなるのは、第二次性徴が始まる思春期になります。


第23回第1問の選択肢

精神の発達とその障害に関する問題で、「神経性無食欲症は、思春期から青年期にかけての女性に多い。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢はその通りです。
思春期は、8歳頃から18歳ぐらいまでの時期を指します。
神経性無食欲症とは、思春期から青年期の女性に多い摂食障害の一つで、なんらかの心理的要因がきっかけになり、拒食や過食等の食行動の異常を来すという症状がでます。


第25回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「成人の身長は、出生時の約5倍になる。」との内容の正誤が問われています。


この選択肢は誤りです。
出生時の身長は、50㎝程度になります。成人になると、3倍から4倍程度になりますが、5倍にまではなりません。5倍だと、2メートル50㎝になります。この点、身長2メートル72㎝という人がギネス世界記録に認定されていますが、この人が基準であれば、この選択肢は正解ですが、一般論としては、このギネス記録は対象外になります。よって、この選択肢は、誤りになります。


第25回第1問の選択肢

身体の標準的な成長・発達に関する問題で、「成人の体重は、出生時の約10倍になる。」との内容の正誤が問われています。]


この選択肢は誤りです。
出生時の体重は、3000グラム、つまり3キロ程度です。その10倍になると、30キロです。一般論としては、30キロというのはないので、この選択肢は誤りになります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?