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解答・解説速報 第36回 社会福祉士国家試験解説 人体の構造と機能及び疾病


榊原福祉チャンネルを運営している社会福祉士・弁護士の榊原尚之です。
第37回の試験に向けて、直近の試験の内容を知ることは大事なステップになります。
是非、一日も早く、過去問で目指すべきターゲットを知り、その過去問を読んで正解に導けるための知識やスキルを身に着けてください。
YouTubeの榊原福祉チャンネルの動画と合わせて学習することをお薦めします。


問題1

成熟時の発達を100%としたスキャモン(Scammon, R.)の臓器別発育曲線に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 25歳を100%として表している図である。

2 身長など一般型はS字型カーブを示す。

3 リンパは12歳頃に約90%となる。

4 神経型は12歳頃に最も発達する。

5 生殖型は12歳頃に70%となる。


解説


選択肢1は、✖
年齢としては、20歳を100%として表している図になります。
20歳時点の発育状態を100%として、横軸は、年齢で、出生から20歳までとし、縦軸は、0%から200%まで、ということで、各年齢における発育状態をグラフに表したものがスキャモンの臓器別発育曲線の表になります。縦軸については、先入観で、100%と思いがちなので、200%あるという点は、要注意です。

選択肢2は、〇
一般型は、二つのピークがあります。一つは、急速に成長していく6歳ぐらいまでのピークと、第二次成長期(思春期)に入る13歳前後から急激に増加するピークがあります。一般形は、S字カーブを描くのが特徴です。

選択肢3は、✖
リンパ系型は、出生後、男女とも12歳頃(思春期)までに急激に増大し、その後退縮して成人期を迎えるということになります。
リンパ系型は、リンパ等の組織の発達を示すことから、免疫力を向上させる機能になりますが、出生後(しゅっしょうご)、多くの病原体等にさらされることから、思春期までに急激な発達を示すことになります。
12歳頃には、約180%となります。重量からみた相対成長曲線が、100%を超えるのは、リンパ型のみになります。

選択肢4は、✖
神経型は、12歳ぐらいまでに非常に急速に発達をしていき、4つの型の中で最も成長が早く、10代の前半にほぼ完成をします。12歳頃に100%になり、その後は、100%の状態が続き、そこからはほぼ増加は見られなくなります。

選択肢5は、✖
生殖型は、12歳頃は10%くらいで、70%となるのは、17歳頃になります。
これは、思春期である年齢、13歳前後において急激に成長します。
4つの型の中で最も成長が遅いのが特徴です。


問題2

事例を読んで、国際生活機能分類(ICF)のモデルに基づく記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
Aさん(78 歳、男性)は脳梗塞を発症し左片麻痺(かたまひ)となった。 室内は手すりを伝って歩いている。外出時は車いすが必要で、近隣に住む長女が車いすを押して買物に出かけている。週1回のデイサービスでのレクリエーションに参加するのを楽しみ にしている。

1 年齢、性別は「心身機能」に分類される。

2 左片麻痺は「個人因子」に分類される。

3  手すりに伝って歩くことは「活動」に分類される。

4  近隣に長女が住んでいるのは 「参加」に分類される。

5  デイサービスの利用は「環境因子」に分類される。


解説


選択肢1は、✖
年齢・性別は、個人因子に該当します。

選択肢2は、✖
左片麻痺は、機能障害に該当します。機能障害の典型例は、麻痺です。

選択肢3は、〇
歩くことは、生活機能の活動に該当します。

選択肢4は、✖
家族の存在は、環境因子に該当します。

選択肢5は、✖
デイサービスの利用は、デイサービスをやっている施設でサービスを受けるという生活場面の関わりである参加に該当します。


問題3

次のうち、身体障害者手帳の交付対象となる内部障害として、正しいものを1つ選びなさい。

1 視覚障害

2 そしゃく機能障害

3 平衡機能障害

4 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害

5 体幹機能障害


解説

内部障害とは、体の内部に障害があることをいいます。
つまり、病気によって心臓や腎臓などの内臓の機能が低下して日常生活が制限される障害です。

内部障害としては、7つあります。
心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸器機能障害、肝臓機能障害、膀胱・直腸機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害の各機能障害があります。

身体障害者福祉法において、内部障害の身体程度等級は、1級から4級に区分されています。

選択肢1は、✖

選択肢2は、✖
咀嚼機能障害は、経管栄養以外に方法のないそしゃく・嚥下機能の障害を指します。

選択肢3は、✖
平衡機能障害は、人の平衡感覚が障害される障害を指します。

選択肢4は、〇
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害は、1級から4級に区分されています。


選択肢5は、✖
体幹機能障害とは、体幹(頸部、胸部、腹部及び腰部)の異常・損傷により、姿勢の維持や日常動作に困難が生じる障害を指します。


問題4

目の構造と病気に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 眼球の外層にある白目の部分は角膜である。

2 白内障は水晶体が混濁してものが見えにくくなる。

3 緑内障は眼圧が下がって視野障害を来す。

4 加齢黄斑変性症では視力は保たれる。

5 糖尿病性網膜症では失明は起こらない。


解説

選択肢1は、✖
眼球の外層にある白目の部分は、「強膜(きょうまく)」です。
角膜は、目の中央にある直径1㎝くらいの円形の組織です。
角膜は、光を通すために透明で血管を持たず、日本人では黒く見えるので、黒目と言われています。


選択肢2は、〇

選択肢3は、✖
緑内障は、眼圧が異常に上がって、視野狭窄や眼痛を来すものになります。

選択肢4は、✖
加齢黄斑変性症では視力は低下します。
加齢黄斑変性症の症状としては、網膜の中心部である黄斑が傷害されますので、まず視野の真ん中、すなわち、最も見ようとするところに症状がでます。物がゆがんで見えたり、小さく見えたり、暗く見えたりします。その後に視力が低下します。


選択肢5は、✖
糖尿病性網膜症は、眼底出血などが発生し、進行すると、失明します。
眼底出血は、網膜の血管が閉塞して血液が血管から漏れ出したり、脆くなって破れてしまい、網膜内に出血をすることです。


問題5

自閉スペクトラム症(ASD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 成人になってから発症する。

2 こだわりは強くない。

3 幻覚がみられる。

4 常同的な行動は認められない。

5 相手の気持ちを理解することが苦手である。


解説

選択肢1は、✖
自閉症スペクトラム症は、3歳くらいまでに現れます。

選択肢2は、✖
自閉症スペクトラム症の特徴として、興味や関心が狭く特定のものにこだわることがあります。

選択肢3は、✖

選択肢4は、✖
自閉症スペクトラム症の特徴として、同じ行動を繰り返す「常同行動」という動作があります。
代表的な常同行動には、「積み木など物をひたすら並べ続ける」「手をひらひらと振る」「手を叩く」「体を前後に動かす」「同じ言葉を喋り続ける」「同じ場所を行ったり来たりする」「クルクルとその場で回る」「頭を叩く」「跳びはねる」などで、人により見られる動作は様々です。場合によっては、こだわりの一つとして見られていることもあります。

選択肢5は、〇
自閉症スペクトラム症の特徴として、他人との社会的関係の形成の困難さがあります。


問題6

次のうち、精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)において 発達障害に当たる 「神経発達症群/神経発達障害群」に分類されるものとして、正しいものを1つ選びなさい。

1 神経性無食欲症

2 統合失調症

3 パニック障害

4 適応障害

5 注意欠如多動症(ADHD)


解説

精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)では、神経障害の分類の一つとして、発達障害に当たる「神経発達症群/神経発達障害群」という群を設けています。
そして、「神経発達症群/神経発達障害群」として、知的能力障害群、コミュニケーション症群、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習症、運動症群、チック症群、他の神経発達症群をサブカテゴリとして分類しています。

発達障害とは、日常生活、社会生活、学習、仕事において支障をきたすほどの発達上の問題が、発達期に顕在化するものを言います。

選択肢1は、✖
神経性無食欲症は、拒食症のことです。極度の栄養摂取拒否とそれによる病的な痩せを主な特徴とする神経性の摂食障害であり、精神疾患の一種になります。
発達障害ではありません。

選択肢2は、✖

選択肢3は、✖

選択肢4は、✖
適応障害とは、ある出来事などがストレス要因となり、そのストレス要因によって引き起こされる情緒面や行動面のストレス症状によって、社会的機能が著しく障害されている状態を言います。
例えば、生活の変化や生活の中での出来事が、その人にとって重大なもので、その結果として、普段の生活がおくれないほどの抑うつ気分や不安、心配が強く、それが明らかに正常の範囲を逸脱している状態です。
適応障害の特徴は、ストレスの原因がはっきりとしていることです。
適応障害は、発達障害ではありません。

選択肢5は、〇
注意欠如多動症(ADHD)は、年齢、あるいは発達に不釣り合いな注意力(集中力)、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたす状態を言います。
ここでいう衝動性とは、思いついたことをよく考えずに即座に行動に移してしまうこと、また、多動性とは、多動と多弁で、じっとしていられないことを指します。これも発達障害になります。
この注意欠陥多動性障害の方ですが、男児に多いという傾向があります。


問題7

廃用症候群に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 若年者にも生じる。

2 数日間の安静では、筋力低下は起こらない。

3 長期臥床(がしょう)により筋肉量が増加する。

4 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は安静臥床により改善する。

5 予防することはできない。


解説

廃用症候群とは、安静状態が長く続くことによって起こる身体の種々の臓器の機能が低下した状態です。
例えば、1週間、安静にしていると、筋力は、どうなるか。
1日あたりだいたい2%くらい低下します。わずか1週間で、10%から15%低下します。1か月で、50%程度低下します。
このような筋力の衰えの進行が早いので、例えば、集中治療室から、意識混濁の中でも、リハビリテーションとして、手足を動かしたりして、筋力の衰えを防ぐことをしています。

選択肢1は、〇
廃用症候群は、高齢者に起こりやすいですが、若年者にも生じます。

選択肢2は、✖
1日あたりだいたい2%くらい低下します。わずか1週間で、10%から15%低下します。1か月で、50%程度低下します。

選択肢3は、✖
筋委縮します。

選択肢4は、✖
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は安静臥床により悪化します。

選択肢5は、✖
予防が大事です。例えば、集中治療室から、意識混濁の中でも、リハビリテーションとして、手足を動かしたりして、筋力の衰えを防ぐことをしています。


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