マンション価格暴落のキッカケを作る「ファクターX」とは?

新型コロナの感染が拡大することで、これまで一本調子で騰がってきたマンションの価格が下落に転じる、という2020年の前半に囁かれていた予測は今のところ見事に外れている。それどころか、一部地域では小幅ではあるが値上がり現象さえ見られる。これは一体どういうことなのか?

実のところ、その原因はハッキリとわかっている。それは大きく分けると2つある。
まず第一には、政府が行った未曾有の景気対策である。
2020年の春から夏にかけて、当時の安倍政権が景気対策のために組んだ2次にわたる補正予算は、実質的な支出で約58兆円。事業規模で230兆円というかつてない規模であった。国民ひとり一人に10万円、法人には最高200万円の持続化給付金が支給されたことは記憶に新しい。他にも様々な名目でお金がバラまかれた。
その結果、多くのマネーが株式市場や不動産市場に流れ込んだ。株価はバブル崩壊以来の高値を更新するに至っている。不動産市場にも、一部では値上がり現象が見られた。

次に、コロナ感染の広がりに対応して普及したテレワークだ。いうなれば、テレワークは住宅市場に「特需」をもたらした。
テレワークでは、自宅でパソコンに向き合って仕事を行うスタイルが基本となる。しかし、すべての人がスムーズにテレワークに移行できたわけではない。
都心へ通勤する多くの人にとって、住まいとは主に「寝に帰る」場所だった。ところがそこで一日中業務を行うには、何かと不都合が生じた。

例えば子育てファミリーでは、登園や登校をしなくなった子どもと一日中家の中で一緒に過ごすことになってしまった。小さな子どもがそばにいる住戸内で、何時間もテレワークをすることは事実上不可能である。ましてや会議や打ち合わせにも適さない。
ご夫婦ともにテレワークになった場合も、何かと不都合が生じる。
こういった事情で、家族ひとり一人の個室を確保しなければならなくなった人々は、たとえ土地が多少狭くても部屋数の多い都心の狭小戸建ての購入へと動いた。
あるいは、共用施設の充実した湾岸の中古タワマンを即決で購入していった。中古ならすぐに引っ越せて、共用施設でテレワークが行えるからだ。

その結果、湾岸の中古タワマンは在庫不足となって、若干ながら値上がり基調となった。
しかし、こういったテレワーク特需というものは、見方を変えると需要の先食いである。
「いつかはマイホームを買わなければならない」という人々に、購入を急がせた結果に過ぎないのだ。

さらに言えば、今後はコロナによって収入が激減した人々が、住宅ローンを払いきれなくなるケースが増えていく。そういった場合、一定の猶予期間が過ぎても収入状況が改善しなければ、担保となっている住宅を市場で売却してローンを精算することになる。
そういったケースは「任意売却」と呼ばれる。2021年は、この任意売却物件が中古マンション市場に数多く供給されることが予測される。
テレワーク特需が一巡した後に任意売却物件が市場に出てくればどうなるのか?
経済の法則通りであれば、需給関係が逆転してマンション価格は下落に転じることになる。
しかし、この需給の逆転は一気に起こるのではなく、徐々に見えてくるのではないか。なぜなら、各人の収入状況やローンの負担の重さはまちまちであって、一斉に任意売却へと流れるわけではなさそうだからだ。

つまり、2021年のマンション市場はなだらかな価格下落への第一段階となるのではなかろうか。
しかし、マンション市場はその先に確実な暴落期を迎える可能性がある。
なぜならこれまで約8年の間、全国規模で主に都心エリアのマンション価格を上昇させてきた「ファクターX」と呼ぶべき要素が、近い将来のある時期に確実に変化することが予測できるからである。
その「ファクターX」が変われば、マンション市場を確実に下落、さらには暴落へと導く強烈な原因となるはずだ。
では、以下に「ファクターX」について説明しよう。
ただし、この「ファクターX」は驚くようなものではない。誰しもが知っている事象であり、さらに誰しもが予測可能な未来図であることは、あらかじめ申し上げておく。

※この記事は後日、適宜修正と省略・大幅な割愛を行った上でいずれかのネットメディアで公開される予定である。

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