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「自主研のススメ」33.一得一失

とあるオンラインイベントでゲストスピーカーの1人として登壇させてもらった際、僕は公務員中心で学習会等を企画する立場、もう御一方は公務員しばり無く企画する立場というでのポジショントークになりました。
そこでは時間の都合により、この二つのポジションの善し悪しの話で終わり、課題の根っこのところまで話を深掘りすることができませんでした。
そこで、今回は公務員中心とそうでない場合と、それぞれのメリットと課題について整理していきます。

越境レベルに応じたステージ

僕の経験則として、自主研等の活動を越境の視点で分けると、次のようにレベル分けすることができます。

レベル1  庁内自主研
レベル2 都道府県内の自主研・ネットワーク
(レベル2.5 地域・地縁のネットワーク)
レベル3  圏域・全国ネットワーク
(レベル3.5 民間企業等のネットワーク)

人は同質性を好みます。
同じ共通言語が使えて便利というのもありますが、公務員の場合、守秘義務や信用失墜のリスクが生じることが内輪の関係性を好む傾向につながるように感じます。また、人によっては公務員バッシングを受ける恐れを意識して距離をとりたいと考えてしまっている人もいるでしょう。そんな様々な理由により、仲間内でやりたくなる傾向が強いと感じます。
この仲間内とは、同一組織内での庁内自主研を最初の段階とすると、次に都道府県内の自主研やネットワーク、さらに全国と段階を分けることができます。勿論、最初から一気に全国のネットワークから活動を参加できる方もいるし、それがNGというわけでもないのですが、一般的には近いところから徐々にレベルがあがっていきます。
この段階をレベルと表現する理由には、距離の問題があります。移動に伴う時間・コストは、ハードルの高さを引き上げます。特に全国的なネットワークの場で出会える人というのは、それだけのハードルを越えてきている人ということで、一つの信用みたいな価値を僕は見いだしています(また会える可能性が高いだろうなという感じ)。

最近ではオンラインで全国各地の人と簡単につながりやすくなりました。オンライン通じて何かしらのミッション達成を目指すようなことがあればリアルと遜色なく関係性を構築できますが、ただつながるだけという面では、リアルの時に生じる信用関係のようなものは、今のところ僕は見いだせていないですね。

公務員外で生じるハードルの高さ

地域で活躍している方や民間企業でネットワークもって活動している方々と一緒に活動しようとなると、参加ハードルは一気に引き上げられるようです。と、第三者的な書き方をしましたが、これを語るにあたって最もわかりやすい事例は、中野区の自主研「NAS(Nakano After Sixの略)」です。
NASは、現在の中野区長の酒井さんが職員時代に中心となって、区の職員の資質向上を目指して立ち上げられました。毎回、各分野で実績をあげられている方を講師に招き、前半は講義、後半はダイアログ(対話)と発表という、鉄板コンテンツで実践されていました。参加者要件を区職員に限定していなかったことから、参加者も多様な人が集っていました。僕自身が初めて参加したとき、ダイアログで一緒に話をした方は、(確か)NPOの代表、総務省職員、自営業者、他の区役所職員で、なんか百戦錬磨な方々に囲まれて「スゲーなここ」という印象が残っています。それだけ鍛えられるし、多様な方が集うことでそこから何かが生まれる予感を感じさせるだけの力を秘めた場でした。

ただ、それだけの多様性ある参加者というのは、中野区職員からすると参加ハードルを引き上がっていたようで、結果として区職員の参加率は非常に低くなっていました。ここにジレンマが生じます。

ポジショニングの選択

「公務員だけで集まっても、生み出すことは限られる」
「公務員外含めて集まろうとすると、公務員は集まりづらい」
ここに大きなジレンマが生じます。

特に、街というフィールドで何かアクションを起こしたいと考えるのであれば、職員だけ集まっていても机上の空論で終始し、具体的に何かを生み出すことはできないでしょう。活動している人と人をつなぎ合わせるキッカケとなるような学び・交流の場を作った方が成功確率は格段にあがることでしょう。

ただ、全ての活動が街づくりを意識しているかというとそんなこともないわけで、要は具体的なアウトカムをどう設定して動くかってことなんじゃないでしょうか。

ここで少し補足しますが、職員の人材育成に重きを置くから内部の職員だけで活動するという判断を安易にするべきでもないとも捉えていて、内部人材だけの学びよりも外に飛び出した方が学びの幅は広がるし、越境度もあがるので、個人の資質向上には役立つはずなんです。
ただ、そうすることで人が集まりづらくなる。ほんと悩ましいです。

目指したい姿

では、目指したい姿は何か?というと、各レベルに応じた活動が実践されていて、それがレイヤーのような状態で重なり合い、自らが望むステージで活動できるってことでしょう。
って、それほどの活動が整っているところの話は聞いたことないのですが、それでも目指すべきところは複数の活動がある、もしくは活動を起こしやすい組織文化を醸成することとは言えます。

このnoteを書いているのは、2022年の正月です。様々なレベルに応じた活動があった方がレイヤー形成に寄与するので、ちょっと動き出したいなって思うところある方いましたら、この新年を機に活動をスタートさせてみてはいかがでしょうか。

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