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表現の世界で仕事をしている。その自覚を常に持つ【酒井商会で働く #05】

渋谷にて『酒井商会』『SHIZEN』、恵比寿にて『創和堂』を営む株式会社酒井商会では、様々な個性をもつメンバーが働いています。連載「酒井商会で働く」では、それぞれのスタッフがどんな想いをもって酒井商会で働いているかを語っていきます。今回は商品開発担当をつとめる富田 浩嗣(とみた ひろつぐ)です。

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ご覧いただきありがとうございます。富田浩嗣と申します。

酒井商会では、ご家庭でもお店の味を楽しんでいただきたいという想いから、オリジナル商品の開発と販売を行っています。どの商品も、お店で普段から使用している厳選された素材を用いて、お店の味を再現することにこだわっています。こうした酒井商会ならではの商品を開発していくことが私の仕事です。

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酒井商会で働く以前

酒井商会で働く前は、約6年間、『並木橋なかむら』で料理人として働き、最後の1年間は料理長も務めさせていただきました。酒井も酒井商会を立ち上げる前は並木橋なかむらで修行をしていて、約3年間共に働きました。

私が飲食の道を志したきっかけは、大学時代のアルバイト経験にあります。

大学の4年間、創作居酒屋で働き、食べることや飲むことが好きだった私は、次第に飲食の仕事の魅力に惹かれていきました。チームでお店を切り盛りする面白さや、そこで生まれる人とのつながりなど、飲食ならではのやりがいを幾つも見出していきました。そして、いつかは自分の店を持ちたいという思いが芽生えました。

大学卒業後、自分の夢を実現するためには、自分が理想と思えるお店を見つけ、そこで修行を積ませていただくことが一番の近道だと考えました。結果的に、理想の店に出会うまでには、1年ほどの時間がかかりました。

そうして辿り着いた理想のお店が、並木橋なかむらです。

はじめて店内に足を踏み入れた瞬間、他の店とは全く異なる空気感に圧倒されました。規律が行き届き、凛とした雰囲気が漂い、一流店ならではの緊張感が肌で感じられたのです。この世界に自分も入りたいと、瞬く間にその魅力に惹き込まれました。

並木橋なかむらで働きはじめて強く感じたのは、ここには本気の人しかいないということです。お店のあり方に共感し、ここでの経験を将来の糧にしたいという思いを持った人たちが集まっているため、仕事への向き合い方が根本的に違います。その圧倒的な真剣さこそが、並木橋なかむら独特の空気感を生み出しているのだと感じました。

そうした環境に身を置かせていただき、料理人としてゼロから学ばせていただいたことは、自分にとって大きな財産となっています。

並木橋なかむらで働いた後は、山梨にあるクラフトビールメーカー『Far Yeast Brewing』の飲食部門でマネージャーを務め、約3年間働きました。

転職の理由は、家庭の事情が大きかったです。結婚し、子どもが生まれたことで、働き方を見直す必要がありました。転職先を探していたところ、代表の山田司朗さんからお誘いをいただきました。山田さんは並木橋なかむらの常連でもあったのです。

それまで料理人一筋で働いてきた私にとって、マネージャーとして働くことは全てが新鮮でした。それまでPCを仕事で使うこともなく、ビジネスシーンの教養も一切ありませんでした。ですが、マネージャーとなると、プレゼンや報告をする場や、外部の方と打ち合わせをする機会が頻繁にあります。

現在、酒井商会で商品開発を担当し、様々な企業の方々とご一緒させていただいていますが、この時の経験が非常に役立っています。Far Yeast Brewingで過ごした3年間は、貴重な経験を積ませていただいた時間でした。

(▲)『並木橋なかむら』で働いていた頃の一枚


酒井商会で働くことになった経緯

料理人として現場に立つことから離れ、マネージャーとしてさまざまな経験を積む中で、自分のキャリアに対する考え方に変化が生まれました。

これまで料理人として培ってきた経験や知識を、新しいフィールドで活かすことで、自分の視野をさらに広げていきたい。そう感じるようになりました。

その具体的な方向性として考えていたのが、商品開発です。

飲食店では、自分たちならではの味を追求するために、オリジナルの調味料などを開発したいというニーズが多く存在します。しかし、それを実現するためには、その店が目指すものへの深い理解と、それを具現化するための食に関する知識が欠かせません。商品開発に携わることで、自分の価値をさらに高めていけるのではないかと考えました。

そんな折、酒井から「酒井商会のオリジナル商品を増やしていきたいので、手伝ってほしい」という連絡を受けました。酒井とは定期的に連絡を取り合っていたので、以前に私が話した方向性を覚えていてくれたのだと思います。

酒井商会では、お店で人気の土鍋ごはんを家庭でも再現できる「土鍋ごはんの素」など、オリジナル商品の販売を既に行なっていました。とはいえ、酒井商会のような小さい会社で、こだわり抜いた商品を開発し続けることは容易ではありません。

また、酒井には様々な業態の飲食店からプロデュースの依頼が舞い込んでいました。それらの相談を積極的に受けていきたいものの、常にお店に立ちながら対応するには限界があるため、そのサポートもお願いしたいということでした。

酒井とは並木橋なかむらで真剣に働いていた仲なので、細かい説明をしなくても、お互いの意図がすぐに伝わります。そうした以心伝心ができる相手は稀で、酒井もその部分を私に期待してくれていたのだと思います。

私自身、酒井から詳しい話を聞き、料理人という枠を超えて、様々なことに挑戦し続ける酒井の姿に大きな刺激を受けました。そして、旧知の仲である酒井と一緒に、難易度の高い挑戦に取り組んでいくことに大きなやりがいを感じました。

こうして、商品開発部門の担当者として、2023年3月に酒井商会へ加わりました。


酒井商会の価値を様々なシーンで発揮する

酒井商会での私の仕事は、大きく分けて3つあります。

まず1つ目は、オリジナル商品の開発です。これまでに、ご家庭で使える無添加の出汁パックや、和の風味を楽しめる鰹節や醤油を使ったナッツを開発してきました。今後も、厳選された素材を使い、お店の味を忠実に再現することにこだわった商品を順次展開していく予定です。

酒井商会は生産者さんと強い繋がりを持ち、素晴らしい素材を数多く仕入れさせていただいています。これらの素材の魅力を最大限に活かした商品を販売することは、良質なものを作り続ける生産者さん達の活動を支援することにも繋がり、非常に意義深いと感じています。

2つ目はプロデュース業務です。酒井宛に届く依頼に対し、酒井と共に対応しています。クライアントの意向をヒアリングし、お店のコンセプト開発からメニューの考案、オペレーションの監修まで、幅広くサポートしています。

ありがたいことに、多くの企業様から依頼をいただき、業態も居酒屋からカフェまで多岐にわたります。未経験の業態からの依頼も多く、日々新しい学びを得ています。

さらに、コンセプト開発では、その土地の文化や歴史を学び、そこで飲食店を営む意義を考慮しながらコンセプトを構築することを大切にしています。食を通じて各地の特色に触れることで、料理人としての視野が確実に広がっていると実感しています。

3つ目は、イベント参加時の窓口業務です。酒井商会にはさまざまなイベントからお声がけをいただきます。食やお酒をテーマにしたものから、アパレルブランド主催のイベントまで、その内容は多岐にわたります。主催者様との打ち合わせや、当日に提供するメニューの考案など、イベント参加における業務全般を担当しています。

現在、商品開発担当は私一人で、自社商品の開発もプロデュース事業も、酒井と二人三脚で取り組んでいます。

しかし、これからの時代における飲食店の在り方を考えると、様々なシーンで、自分たちの価値を発揮していくことが求められるでしょう。だからこそ、酒井商会のこうした事業をしっかりと軌道に乗せ、さらなる成長を目指したいと考えています。

(▲)酒井商会のオリジナル商品である和だしやナッツ


表現の世界で仕事をしている自覚

飲食の世界で働く中で、私が常に意識しているのは、自分が「表現の世界」で仕事をしているという自覚です。

飲食店における表現と聞くと、料理や内装を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、それだけに限りません。料理人やスタッフのさりげない所作や言葉遣い、細やかな気遣い。これらすべてが飲食においては一つの「表現」となります。そして、その一つひとつの表現が積み重なり、最終的にお店の印象を形作っていきます。

この意識は、商品開発を担当している今も変わりません。現在の仕事では、様々な企業の方々と共にプロジェクトを進める中で、自分たちがプロデュースしたお店に足を運び、スタッフの方々に調理や接客の指導をすることもあります。

その際の私自身の振る舞いが、酒井商会という会社の印象に直結します。「今後も酒井商会と仕事をしたい」と思っていただけるかどうかも、そこにかかってきます。

本来であれば、細部にまで気を配った振る舞いが自然にできるのが理想ですが、私の場合、まだそこまでは至っていません。だからこそ、常に自分に言い聞かせ、意識的に振る舞うことを大切にしています。

また、インプットを欠かさないことも重要だと考えています。自分が経験した以上のものは表現できません。だからこそ、常に自分の引き出しを増やし、柔軟な思考で新しいアイデアを生み出し、自らのクリエイティビティを磨き続けたいと思っています。

酒井商会という会社の可能性を広げるため、これからもさまざまな挑戦を続けていきます。

<編集協力:井手桂司>

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