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【大阪市住民投票を闘って】 NO.3

野村友昭さん(前市議・市民1000人委員会アドバイザー)

『アメリカ大統領選挙と大阪市住民投票』

少し余談になりますが、先日アメリカで連邦議会をトランプ大統領の支持者の方々が襲撃して、5人でしょうか、死亡するという衝撃的な事件がありました。日本では緊急事態宣言の発出がニュースになっておりましたので、国内トップという扱いにはならなかったようですが、私は大きな衝撃をもって受け止めました。実は、アメリカ大統領選挙が行われた時期に大阪の住民投票が行われておりましたので、正直に申しますと、アメリカ大統領について情報に触れることがありませんでした。分析するなどという余裕はなかったわけです。ですから、結果が出た後になって、なるほどこういう結果になったのか、民主党のバイデンさんが勝ったのだな、というくらいの関心しかなかったのです。しかし、その後トランプ陣営から、この選挙には不正があったのだとか、あるいはそれを信じた人々によって暴動にまで発展する、国会議事堂に当たる連邦議会まで襲撃することまで支持者の方々が暴走するということは、私たちにとってちょっと信じがたい出来事でした。あの事件があったときに、トランプの支持者というのはどういう人だろうかと、いろいろインターネットで調べました。すると、非常にアメリカが今抱えている複雑な、青か赤かとか、民主党と共和党の話ですが、白か黒かといった二者択ーではくくり切れない、複雑な感情や政治信条を持った方々がやむにやまれぬ事情から、私は民主党を文特します、私は共和党、トランプを支持します、ということを決めているということがよく分かりました。一方で、何がどうあってもトランプを支持しますと、非常に熱心な支持団体や支持層があるということも分かりました。中には、トランプは神の使いで、民主党は悪の手先であって、世界を牛耳る闇の政府があって、トランプはそれと戦う英雄だといった陰謀論を、本気で信じているということをSNSを通じて見て、衝撃を受けました。その人たちが出ている動画もサイトにありますので、関心のある方はご覧ください。私はそれを見たときに、住民投票があった大阪がオーバーラップして見えたのです。大阪の住民投票の後、残されたのは、深い深い分断の傷でありました。これは実は5年前の、6年前ですか、前回の住民投票のときにも感じたことです。大阪は大きく分断されてしまっています。私は、この分断をしっかりと修復していくことが今後の大阪には重要になってくると感じています。アメリカでも、先ほどの傷痕というのが非常に深い。トランプ大統領がお辞めになっても、トランプの支持者はいなくならないわけです。そして、ほぼアメリカの半数の人々、共和党の支持者、次の候補者がトランプになるかどうか分かりませんが、その支持者たちは活動を始めていく。深く深く傷ついた溝を埋めていく取り組みが重要だと、アメリカ大統領選挙の後も問題提起がされていました。

『大統領や大阪府知事や市長といった公職にある人の視点や姿勢』

これは私が実際に関わった大阪の住民投票でも同じだと思います。アメリカの大統領も大阪府知事も大阪市長も、すべての市民や府民の代表であることに変わりはありません。アメリカ大統領は全アメリカ国民の代表です。前々回の大統領選挙で負けたマケイン候補のインタビュー、敗者の弁が残っています。それを見て、マケインさんてすごかったんだと驚きました。当選したオバマ大統領に対して、アメリカ国民のすべての声に耳を傾けてください、と言っています。そう言ったうえで、共和党の支持者の方々に対しては、批判と行動で我々すべてのアメリカ国民が幸せになれるよう、アメリカが発展するよう、みんなで力を合わせましょう、とおっしゃっています。大統領や大阪府知事や市長といった公職にある人は、市民や府民や国民を代表ナる方々は、そういう視点や姿勢が大事なのだと思います。分断を煽るだけ煽って、いいかげんな無責任な、自分自身のパフォーマンスのためだけの言動、言いっぱなしというのは、首長や公職にある者にとって、はなはだ不誠実な態度ではないかと深く感じております。おそらくアメリカも、4年間で分断された傷を治すには同じくらいの期間、4年くらいの期間が必要になってくると思われます。大阪に当てはめれば、いわゆる維新政治というものが生まれてから、もうかれこれ10年になるわけです。その間ずっと大阪の町は分断されてきました。この分断を修復するためには、やっぱり10年くらいかかるのではないか、と感じております。今回の住民投票、私はその1年くらい前から準備を有志で行っておりました。さまざまなシミュレーションをし、もちろん想定外のこともありました。コロナの感染が起きるなどということは、1年前には分からなかったことです。そういった想定外のこともたくさんありましたが、じっくりと腰を据えて、大阪のために、とりわけ堺のために何をするべきか、どういう取り組みがこの人々の分断を修復することになるのかと考えて、長期的な取り組みが今後必要になってくると考えました。制度論では大阪の町は艮くならない。また、パフォーマンスでは政治は前に進めない。ぜひとも皆さんと意識を共有して、何に取り組むのかを考えていきたいと思います。

『今から取り組んでいかなければならない期間』

私が今回の住民投票に向けて一番最初に書類を用意したのが、パソコンのファイルを見ますと、2年半前です。2年半というのはそういう期間だと思います。長いようで1短い、短いようで長い期間ではありますが、今から取り組んでいかなければ、長年にわたって傷つけられた大阪の町や政治を建て直していくことはできない、と考えております。どうか、今日お集まりの皆さんと意識や情報を共有しながら、より良い大阪の町、堺の町にするために取り組んでいきたいと思います。年始に当たって、皆さま方へのご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。



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