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【民意を踏みにじる大阪広域行政一元化条例案】NO.1

小西 禎一さん(元大阪府副知事)

私は兵庫県加西市、五百羅漢や西国札所一乗寺などがある出身です。大阪府庁で初めて大阪に来ました。職員の人の東京に対する対抗意識がメチャメチャ強いのに驚きました。都構想、副首都とか、副でいいからすがりつきたい。羨ましいんでしょうね。仕事以外に好きなことはサッカーです、富田林土木事務所でプレーしていました。今はもっぱら応援を。ガンバ大阪のサポーターズクラブを府庁につくりました。すぐにガンバが3冠、天皇杯・ナビスコ杯(現ルバンカップ)・Jリーグ優勝を取りました。セレッソのサポーターズクラブも出来、合同観戦会もしました。「市がなくなったらでけへんな」と都構想反対のお願いを皆さんにもしました。もう一つは、文楽。(写真は呂大夫師匠の楽屋)橋下知事(当時)の時、財政再建のため文化予算を削り、その罪滅ぼしのためも。だんだん面白くなり続けています。昨年、知事選に立候補し、今回の住民投票では「都構想にストップを!」と反対運動に立ち上がり、フェイスブックに投稿をしてきました。

〈住民投票で示された民意は〉

非常に僅差の勝利でした。前年、彼らが選挙で圧勝しており、直前の世論調査でも賛成が大きく上回ってのスタートでした。そこからの僅差の勝利には大きな意味があります。住民投票で問われたのは、"大阪市を廃止するのか、存続するのか。"市民の民意は、指定都市・大阪市の存続につきます。行政がやるべきことは、指定都市の権限・財源を市民のためにどう活用するのか、府と市の関係をどう発展させていくのか、であるべきです。先月28日、副首都推進本部で"一元化化条例案”が示されました。ペーパーには、「大阪市を残した形で」とありこれは彼らも否定できない。問題はその後、「過去の二重行政に戻すことなく、さらに府市連携を強固にし、府市一体で大阪の成長、まちづくりを強力に推し進めていくことが必要」とあります。二重行政は住民投票では問われていません。府市連携を強固にというのは当たり前です。そのことと府市一体化は別のもの、似て非なるものなのです。彼らのやり方は、よく読むと、「ちょっとちゃうやん!」と思います。何の説明・脈絡もなく、最後は自分たちの考えることにもっていこうとするのがこの文章だと思います。住民投票で示された民意をしっかり確認することが必要です。

〈都道府県と市町村の権限配分〉

基本的なことを2点。一つ目は、都道府県と市町村の権限配分についてです。都道府県は広域行政、道路、開発など、市町村との連絡調整、補完事務、専門的なことをやります。それ以外の事務は、広く市町村が担うことになっています。そして、都道府県の処理する事務についても、市町村はその規模及び能力に応じて、これを処理することができることとされています。この基本原則に対して、制度的な特例として、指定都市制度や中核市制度等が設けられ、都道府県の事務の一部を処理することになっています。もう一つは'個別的特例’、事務処理特別条例、条例による事務処理の特例(地方自治法第252条の17の2)とは、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、都道府県の条例で定めるところにより、市町村が処理することとすることができる制度です。大阪府もこの事務処理特例条例を使って多くの事務を市町村に移譲しています。地方自治法の定める特例は全て市町村の権限を強める方向でしかありません。市町村の権限を都道府県に渡すような規定はどこにもないのです。

〈事務委託制度〉

事務委託とは、自分とこでやるよりも他の公共団体でやってもらった方が効率的、便利な場合に他の地方公共団体に委託するものです。市町村境界に近い所、例えば堺市と高石市で水道を引くのは高石の方からの方が早い。こういう時に事務委託を使います。教育もそうです、通学するのに堺市の学校へはずっと時間がかかる場合、高石市にお願いするなどです。事務委託すると委託した団体はその権限を失いますが、その事務処理に要する費用は全て負担しなければなりません。金を払うのに権限を失う。従って、極めて限定的に使われるべきです。市町村が都追府県に事務委託することはできるが、大阪市が大阪府に委託する例はありません。堺市にはあります。児童自立支援施設についてです。下水道の汚泥処理も大阪府が引き受け、市町村の事務をしています。市町村が都道府県に事務委託しているもので一番多いのは公平委員会の事務です。公平委員会は職員の処分に対する不服審査をしますが、そんなに件数がない市町村は県に委託したほうが効率的だからです。住民基本台帳や戸籍に関する事務のように都道府県でその事務を行っていないものは事務委託できないと考えられています。従って、水道、消防はそもそも委託できないと考えています。

〈副首都推進本部で示された条例の骨格〉

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