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[調査] 英文キーワードを探す時に開くWebサイト

特許調査業をしてます、酒井というものです。

春先ってなんだか、餅菓子が美味しい季節だな、って思いませんか?(私だけ?) この時期はイチゴ大福やさくらもち、かしわもち も美味しいですよね!余談ですが、かしわ餅だと私は「みそあん」派です✨

餅菓子の材料には、白玉粉などが使われる事が多いですが・・・

今日は、お菓子作りに欠かせない「でんぷん系の粉」の海外特許検索(英文)をテーマにしたいと思います。

特段珍しい存在でもない、でんぷんの粉。
海外特許ではどうやって検索しましょう?

    でんぷん = STARCH
    粉 = POWDER

だから、デンプンの粉を調べるなら STARCH  and POWDER ★

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・

うーん。0点かな?

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・・・ごめんなさい、うそです。0点ではないです。
でも 12点くらいかなぁ。(← 結局点数がカラい)

「でんぷん」と「粉」、簡単そうな対象物ですが
それぞれに「英文キーワード探しのコツ」があります^^ 
これからご説明していきますので、よかったらお付き合いください。

はじめに結論

「でんぷん」と「粉」だったら、使いそうなのはこのあたりです。
調査テーマによって、下位概念をたくさん使うとか、上位概念側を手厚くするとか、調整が入ります。ここでは「Starch ✕ Powderだけじゃないですよー」という例、とお考えください^^

でんぷん:Starch, Amylose, Amylopectin
    上位概念 Glucan(グルカン), Polysaccharid(多糖類)
    下位概念 corn starch, potate starch ・・・など
粉:Powder, Grain, Granule, Particle, Beads ……など

それでは「英文キーワードを探す時に開いてみるページ」の話に入ります。

当たり前すぎる公報の話

特許調査とは「公報を探すこと」。つまり「過去に誰かが書いた特許明細書」を探すこと、です。今から当たり前すぎる事を言いますが・・・特許明細書を書く際「でん粉では曖昧だから、もっと正確に。必ず ”アミロース 及び/またはアミロペクチン” と記載しましょう。」といった用語上の決まりはありませんよね。

つまり、調査対象(公報)では、過去に不特定多数の誰かが「でん粉」あるいは「アミロース」「多糖類」などと、自由に記載したテキストが調査対象になる、ってことです。

でんぷんの「正体」とJ-Global

もし思い出せたら、小学校から高校あたりまでの化学の時間を思い出してみてください。小学校では「でんぷんにヨウ素液を垂らすと、紫色になる」という実験、あったでしょうか? それが、だんだん上の学校に進むと「でんぷん=アミロース、アミロペクチン」ってなります。

ちなみにJ-Globalで「でん粉」を表示させると「その他の名称」が、ふわっとした感じでびっくりします。こちらです↓

物質タイプ: 構造不確定
その他の名称 (6件):
 でん粉
 でんぷん
 Starch
 グルカン
 デンプン
 ポテト,粉

ポテトって!?粉って何!?  って感じですよねー。

物質の英語名、一般名、慣用名などを探すにはJ-Globalが便利

同じくJ-Globalで「アミロース」だとこうなります。

こちらも、さすがに「ポテト」は出てこないのですが、
関連語が豊富に出てくるわけでもないです。

一般的には、物質の英語名、一般名、慣用名などを探すにはJ-Globalが便利で、たとえば・・・アスピリン(頭痛薬などに使われる物質)では

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体系名やその他の名称がたくさん出てきます。

一方、今回の「でんぷん」「アミロース」のように、あまり関連語が表示されないものも。このように周辺語がわかりにくい場合は、シソーラスmapも便利です

シソーラスmap

こちら、JSTの「シソーラスmap」です。J-Globalからリンクで飛べます

こんな感じに関連語がレイアウトされます。
中央の「澱粉」より上は上位概念、下は下位概念です。

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でんぷんの下に「アミロース」「アミロペクチン」があるので、英文表記を拾います。また、調査テーマによって「多糖類の粒子」についても調査範囲に含めたい、というような場合は 多糖類=Polysaccharide もピックアップします。

特許で「粉」と表現するものは?(Weblio)

私は化学物質だと上記のJ-Global / JST シソーラスmap を使う事が多いです。でも「粉」は化学物質というわけではないですよね・・・

「粉」のようなものは、Weblioで確認する事が多いです。

Weblioの良いところは「特許由来の例文が豊富に収録されていること」です。こんな感じに。↓

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なお、上記例だと STARCH POWDER が多く例示されているので
「なーんだ、でん粉の粉=STARCH POWDER で良かったのでは?」
と思われるかもしれないのですが・・・そうでもないです
次項もついでにご覧ください。

Weblioを使うコツ (日本語のバリエーション)

Weblioの「特許庁例文」をうまく引き出すコツは
日本語表現のバリエーションをたくさん試す事かな、と感じています。

[でんぷん 粒子] だけで終わらせるのではなく、
[澱粉 顆粒] とか [多糖類 粒子] も。色々試します。

日本語を入れていくとき、一語か?二語か?というのも微妙に違ってて

一語、というのは、単に「粒子」、「ビーズ」、「顆粒」、「粉末」、「粉体」・・・という感じに、一単語ずつ試す作戦です。これだと「でんぷんや多糖類だと、その表現は使わないよね・・・?」という候補が出てくる場合もあります。

一方、2語で入れると順列組合せ?というのでしょうか。「さっきと同じのを、また試しちゃった!?」という感じになりやすいです。でも、確実に「でん粉」とか[多糖類」で使われる表現だけを探せる良さはあります。

一長一短あると思うのと、使っているうちに感覚が身につく部分があるので、どちらの方法でもお好きな方法をどうぞ^^

その他いろいろ

英語圏では昔から「シソーラス」(関連語集)がいろいろあるようで、
オンライン上で公開されているものも幾つかあります。

これとか

ビジュアル表現のシソーラスもあります。

ただ、上記2つは、英語学習に使うには面白いのですけど
特許用語/科学技術用語だと、あまり威力を発揮してくれません・・・(残念

まとめ

現時点(2021年春)での私のおすすめは
「Weblioで」
「面倒がらずに、いろいろな日本語を入れてみる」です。
日本語表現を変えると、出てくる英語も変わる事が多くて、
「簡単に使えるツールなんだけど、使う人の語彙によって全然結果が違うから油断大敵なんだよねぇ」って思います。

化学物質などが関連する時は、J-Globalも併用が良きです。

それと、この手のツールって、
良いものが登場すると、あっという間に定番ツールが変わるのも常です。
ウオッチングを怠らないようにしたいな、って思います。

それでは!


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