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ストライクな英語訳がみつからない!(特許調査)

こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井といいます。今日は「ストライクな英語訳が見つからない発明について、海外特許を調べる時の切りぬけ方」を書きます。

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私だったら
1)特許分類を探して切りぬけるか
2)出願人検索を入り口に突破する
  かな、と思います。
具体的な技術内容がわかれば、他の方法も思いつくかもしれないのですが、汎用性の高い方法、といったら上記の2つです。

ということで、それぞれ説明を書いてみますね。

0)その技術って、日本語だったら検索できそうですか?

ご質問には「ストライクな英語訳がみつからない」とあったのですが・・・
その技術、日本語環境だったら検索できそうですか?
じつは「日本語でもキーワードで説明/検索しにくい」技術だったりしませんか?

「日本語なら検索できる」のであれば「特許分類を探して切りぬける方法」「日本語でも検索しにくい」なら「出願人検索を入り口にする方法」が
比較的使いやすいんじゃないかな? って気がします。

1)特許分類を探して切りぬける

「飲料用の紙容器」を例に説明します。
スーパーやコンビニでよく見かける、1リットル、あるいは500ccサイズの「とんがり屋根タイプ」の紙パック。

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海外特許だったら
cpc=B65D5/067/low  で探します。(下記リンクにも検索条件入ってます)

50年ほど前の出願、図面が可愛くないですか?

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ところで・・・
みなさんはこれ、日本語で検索できそうですか?
よかったら1分間ほど、日本語キーワードを考えてみてください👦

特許もたくさん出ています。(画像クリックで拡大します)

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さて・・・
日本語キーワード、考えてみられましたか?

この形の紙パック、「漏れなく探す」のは少し難しいけれど
「漏れていても良いので、当たり公報をたくさん探す」のは簡単です。
J-PlatPatだと、論理式入力

[ゲーブルトップ/AB+屋根型容器/AB+屋根型紙容器/AB]+[切妻,3C,容器/AB]

と入れたら、おなじみの容器がたくさん出てきます。
上記のキーワードを起点に「容器」の分類を見ると

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というのがあります。ゲーブルとは「切妻屋根」のこと。

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飲料パッケージならこのまま
「gable top」と英語に置き換えても検索しても良いですし

分類を使うなら欧州特許庁(EPO)の下記ページにFI記号を入れると

https://www.epo.org/searching-for-patents/helpful-resources/first-time-here/classification/cpc/fi-cpc.html

対応するCPC(共通特許分類)がとれます。

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それで、多分ここからが重要なのですが (と、思う)

キーワード GABLE TOP CONTAINER で検索したのがここ

分類 B65D5/067/low の検索がここです。

どちらも例の容器がヒットするのですが

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■キーワード検索したほうは、
 ・容器そのものの出願  の他に
 ・パックの内面の防水加工とか
 ・パックに飲料を詰める方法、装置なども
色々拾ってしまいます。

■分類検索したほうだと、容器の分類なので
 ・基本的には容器の出願だけがギッシリ詰まってます
 ・Gable top とは書いていないけれど、
  とんがり屋根容器の形になっている公報が拾える🐄
  ⇒ ここから英語表現を拾うことができる
という特徴があります。

一長一短ありますが、
英語表現を集めたい時は「分類だけ検索」おすすめです。

2)「出願人検索」を入り口に突破する

キーワード検索は難しいけど、
出願していそうな会社ならわかる!という時は
「出願人検索」もおすすめです。

たとえば飲料パッケージの海外特許だったら

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「テトラパック」のテトラ・ラバルは、きっと海外出願がたくさんありそう、と予想できるので・・・

pa = "TETRA LAVAL" AND (ctxt = "container" OR ctxt = "carton") AND ctxt = "gable top"  ⇒ Espacenet

上記のように検索すると、ゲーブルトップ型容器の分類を簡単に見つけられます。

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おまけ:このような調査に適したデータベース

・・・特にないです。(すみません。身も蓋もなくて)

特許データベースって、色々な種類がありますけど
全部
「各国特許庁から発行されたデータが入ってるもの」
なので、中身には差がないんですよね。

きっと、知りたいのは「このような調査に適した検索機能」なのかな?と
想像したのですが

たぶん、ご質問のようなケースだと「適切な筋道で考える力」とか「正しい問いと仮説を立てて検索してみる力」が大切なんだと思います。
逆に、どんなに素敵なデータベースを使っていても、思考の筋道が違っていると正解にたどり着きにくいです。(たぶん)

現在、お使いのデータベースがおありでしたら
そちらを限界まで使い倒してみるのも楽しいと思います👦



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