講義準備とパテントクリフ(特許の崖)
こんにちは!特許調査の仕事をしています、酒井といいます。
今日は「講義の準備」の話を書きます。
来月、ご縁があって
はじめて岐阜大学の講義をお手伝いする事になりました。
科目は「リサーチマネジメント実践学」といいます。
リサーチマネジメント実践学 (応用/知財管理実践)
https://comit.gifu-u.ac.jp/resource/basiccourse2024/#ouyou
岐阜大学では 「ヒトと動物の疾病は共通」、すなわち「One Medicine」という視座にたち、医学-獣医学の境界を越えた新たな学際領域を開拓する、と提唱していまして、医学部、獣医学部、工学部等が組織の垣根を越えた連繋をしている、とのこと。
こちらは「リサーチマネジメント実践学」の開講予定表です
私は序盤2回分の担当なのですが、
3回目も勉強に行きたくなるカリキュラムです
受講対象は「大学院生・教職員のみなさん」と伺っており
特許の公報を見たことない、という方もいらっしゃるのでは・・・?
という想定で、
・特許の基本的な説明
・創薬分野では、なぜ「知財が重要」とされるのか
・公報の読み方 / 特許分析の基礎
・特許以外の分野(政策資料等)にも目を向ける
等を講義する予定です。
「3回目以降の講義を理解するための準備」
になると良いな、と考えてます。
ということで、今は「講義資料がそろそろ完成」という段階です。
特許情報そのもの・・・たとえば「公報に記載される項目」などには分野の差はありません。ですが、読み取り方や解釈、知財戦略などは創薬に特有のものがあるし、ということで
「知財実務オンライン」の
「医薬・バイオ分野の知財戦略・知財実務・それを支える組織」
(内山務知財戦略事務所所長・弁理士 内山 務)で勉強させて頂いたり
3回目以降の講義は、各企業の先生方が担当されるということで
最低限、題材が被らないように・・・
なおかつ、有名な例・わかりやすい例を紹介たいな、と思いまして
大学から講義のお話を頂いてから、ひたすら「題材集め」ばかりしてました
いろいろな題材がある中、
「基本的で、創薬に詳しくない自分自身も勉強になった」のが
塩野義製薬の「HIVインテグラーゼ阻害剤・ドルテグラビル」です。
ドルテグラビルは 今年度(2024) の全国発明表彰で
最優秀賞に相当する「恩賜発明賞」も受賞しています。
特許番号は 特許第4295353号 です
J-PlatPatの固定URLで見ると「その他」欄に7件の番号が入っていますが
こちらは「特許権の存続期間の延長登録」の申請です。
医薬以外の分野では ほぼ見かけない物ですよね。
さて、こちらの「HIVインテグラーゼ阻害剤・ドルテグラビル」
塩野義製薬のWebサイトに「事業説明会資料」(2023年3月)が
掲載されています。
ドルテグラビル特許、4295353号は
2031年に権利満了を迎える、ということで・・・
事業説明会資料は「パテントクリフ(特許の崖)」を
「ヒル(丘)」に転換していくプランを説明しています。
この資料の中で「毎日の服薬から LA製剤(徐放性製剤)へ」
「経口剤から、長時間作用型の注射剤へ」の転換が何度か出てきまして
ライフサイクルマネジメント(製剤の改良)や複合療法開発の具体例と
言えるのではないでしょうか。
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