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[2022]国際特許分類(IPC)主な改訂分野(1)

特許調査には欠かせないIPC(国際特許分類)
ほぼ毎年改訂があり、例年1月に分類が新設・改訂されます。
そして、割と感覚的ではありますが

毎年1月 改訂IPCが発効
同年~3月 改訂IPCに対応する CPCの検索用データが出揃う
  (※改訂IPCでの検索データが揃うのは、割と先だったりします)
同年 5月~ 改訂IPCに対応する FI記号の整備

・・・という感じで、
毎年この時期は「新設CPC(IPCと対応するもの)で特許を検索すると、概ねデータが揃ってきていて、どんな公報が分類されているのか?等の状況を把握しやすくなる」という印象です。

今年の新設IPCについては、野崎さんがNOTEを書かれているので
ぜひ合わせ読みをどうぞ!

さて・・・

国際特許分類はWIPOが管理していて、
正本にあたるのは、WIPOのサイトにある英語版/フランス語版、と位置づけられています。
ですので、野崎さんも書かれている通り、
・翌年の改訂予告はWIPOのサイトに掲載されますし、
WIPOの分類表では RCL の項目に新旧情報がまとめられています。

そうなのですが、今回はスーパー簡略方式(?)で新分類を確認します。

IPCの改訂情報把握(分類対照ツール)

日本特許庁の「分類対照ツール」で、IPCを[2022.01]で検索します。(数字・記号はすべて全角で入力します)

分類対照ツール https://www.jpo.go.jp/cgi/cgi-bin/search-portal/narabe_tool/narabe.cgi

これだと「何かしら新設・定義の改訂された分類すべて」がヒットします。
つまり・・・以前からあった分類だけれど、定義が修正されたもの、なども全部入るという意味です。
新設分類やちょっと大きめの改訂を把握したい時は、ブラウザ側の検索機能で [/00] と入れると メイングループ(スラッシュの前)単位の変化が探しやすいです。

分類対照ツール https://www.jpo.go.jp/cgi/cgi-bin/search-portal/narabe_tool/narabe.cgi

事業会社でお仕事されている方は、よく使う分類が決まっていると思うので、その周辺で新設・改訂がないかな? と確認されるといいですね^^

今年「目立ってるなー」と思った新設分類としては
野崎さんが「注目しています」と書かれていた「量子コンピュータ(G06N)」の領域の他、

暖房方式周辺

F24D101/00 小規模な熱電併給[CHP]システムの発電機
F24D103/00 小規模な熱電併給[CHP]システムの熱の観点
F24D105/00 小規模な熱電併給[CHP]システムの構造の観点

イメージまたはビデオの認識または理解

※主に G06K 9/- から移動
G06V10/00
イメージまたはビデオの認識または理解のための装置
G06V20/00 シーン;シーンに特有の要素
G06V30/00 文字認識;デジタルインクの認識;文書指向イメージベースのパターン認識
G06V40/00 イメージまたはビデオデータにおける生体認証パターン,人間に関連するパターンまたは動物に関連するパターンの認識

デジタル情報の伝送,例.電信通信

H01L (デジタル通信)はかなり分類変わりました!

※以下 主に H04L 12/-   から移動
H04L43/00
データ交換ネットワークを監視または試験するための配置H04L45/00データ交換ネットワーク内のパケットのルーティングまたはパス探索
H04L47/00 データ交換ネットワークにおけるトラフィック制御H04L49/00 パケット交換要素
H04L51/00 ストアアンドフォワード転送またはリアルタイム転送プロトコルによる,パケット交換ネットワーク内のユーザ間のメッセージ転送,例.電子メール

※以下 主に H04L 29/-   から移動
H04L61/00 アドレッシングまたはネーミングのためのネットワーク配置,プロトコルまたはサービス
H04L65/00 データパケット通信におけるリアルタイムアプリケーションを支援するためのネットワーク配置,プロトコルまたはサービス
H04L67/00 ネットワークサービスまたはネットワークアプリケーションを支援するためのネットワークの配置またはプロトコル
H04L69/00 アプリケーションのペイロードに依存しないネットワーク配置,プロトコルまたはサービスで,このサブクラスの他のグループで包含されないもの
H04L101/00 H04L61/00のグループに関連付けられたインデキシング系列

他にも色々あると思うのですが
G06K9/ から G06V
H04L 12/, 29/   から H04L 43/以降 への移動は
なかなかの地殻変動だな、と感じました。

次の記事ではIPC/FI/CPCで比較

記事冒頭で下記のようにまとめましたが、

毎年1月 改訂IPCが発効
同年~3月 改訂IPCに対応する CPCの検索用データが出揃う
  (※改訂IPCでの検索データが揃うのは、割と先だったりします)
同年 5月~ 改訂IPCに対応する FI記号の整備

今、2022年3月時点ですと

2022.01の新設IPC 検索データは入りつつあるが、ヒット件数少なめ
(上記に対応の)CPC  比較的しっかり検索できる
(上記に対応の)FI記号 検索できるケースもあるが、分野差がみられる

という状態になっています。
(なお、データベースによって差異があります)

次回記事では、大地殻変動が起こったG06V、H04L 43/以降 を例題に
IPC/FI/CPC、それぞれで検索と比較、集計などをします。
お楽しみに!


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