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演算子NOTの効果的な使い方

こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井といいます。今日は「NOT検索のダメな使い方」と「効果的な使い方、4種類」について書きます。

演算子(NOTと AND, OR)の機能については「知ってるよー!」という方も多いと思うので、一番最後で説明することにして・・・
まず「やっちゃダメ、絶対。」な、NG検索からいきますね。

ダメな使い方:魅惑の「NOT」に負ける

単刀直入に言って

「〇〇がない」特徴、を探したい時に NOT検索をするのはダメです。

「〇〇がない」特徴、とは、例えば

・シュガーレスガム
・ノンアルコールビール
・チェーンのない自転車
・白金(プラチナ)を使わない触媒
・運転手がいなくても走行できる車両
・CO2排出をゼロにした発電プラント

・・・などです。

たとえば「ノンアルコールビール」を探したい、とします。
ノンアルコール = アルコールを含まない、と考えて

ビール NOT アルコール  と検索すると

下記の公報は、集合から消えてしまいますよね?

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同様に「シュガーレスのお菓子」も、要約(課題)に「砂糖を使用せず、齲歯(虫歯)の発生を抑制する」とか、書いてある公報も珍しくないですし

「プラチナレス触媒」も「プラチナを使わないのでコストダウン、安価」などと書いてあるかもしれないですよね!

このように「ないこと」が特徴の技術は、NOT演算すると必要な公報が消えてしまう事が多いです。

もし、このような公報を検索したい場合、自分だったら下記のようにアプローチすると思います。

🍦シュガーレスのお菓子 = キシリトール、エリスリトール等の「甘味料の名前」で検索

🍺ノンアルコールビール = 正面切って「キーワード=ノンアルコール」で検索する。併せて特許分類「非アルコール性飲料」も使う

✨非白金触媒 = 成分名で検索 / Fターム4G169「触媒」で、成分を指定して検索

・・・という具合に、NOT検索は使わなくて、
「〇〇を使わないなら、何を使っている?」という部分に着目します。


では、ふだんNOT検索を使っていないか?というと、
そんな事はなくて、かなり多用しています。
個人的には

NOTは「調査の能率を上げる演算子」

・・・だと思っていまして
  ・1回読んだ公報を、再び読まなくてよいようにする
  ・チェックする必要のない公報を除去する
などの目的なら、NOT検索はとても使える機能ですよ!

ここから、自分がよく使っているNOT検索です。

使い方1:生死情報による分離(消滅分をNOT)

ごめんなさい。これ、J-PlatPatではできない検索ですね・・・
(商用データベースなら、大抵できると思います)

たまに「AND 生存」か「NOT 消滅」か?って議論になる事があります。
「どっちでも同じじゃん?」(オタクのサーチャー、うざい・・・)と思われる方も多そうですよね😅。

はい、どちらでもそんなに大差はないのですが、たまに少し差が出ます。
それで、個人的には「NOT消滅」を採用してます。
詳細は長くなるので省きますが、結論だけ言うと「公開公報発行直後、および日本語国際公開公報の発行直後(国内移行前)」が、AND生存だと漏れて、NOT消滅なら残る、という結果になるデータベースが多いはずです。(例外もあると思われます。気になる方はベンダーに確認お願いします!)

使い方2:見終わった部分式を除去

いくつも部分集合を作るタイプの検索をしてるとき、
見終わった部分式を順次除去(NOT)します。
同じ公報を2回見なくて済むようにする方法です。

たまにJ-PlatPat「経過情報」に入っている「検索報告書」でも、
この検索は頻繁に使われています。下図では黄色くマークした箇所が「見終わった部分式の除去」です。

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使い方3:自社出願を除去(出願人をNOT)

侵害予防調査(パテントクリアランス/実施前調査)で「自社出願は見なくてもよい」という場合は、出願人名でNOT検索します。

使い方4:分類、キーワードの効果を測定(既知情報をNOT)

検索条件の検討をしている段階で、特定の分類/キーワードの効果を見たい時にも使っています。検索式形式で書くと、下記のようになります。

1)(A+B+C) * (D+E)
2)(A+B) * (D+E)
3)1 not  2     ← 項目「C」の効果を調べる

3)の結果をチェックして、
有用な公報、見るべき公報がたくさん含まれていれば「Cを採用」
ハズレ公報が多すぎて、有効と判断できないなら「Cは却下」です。

さいごに一応、論理演算子を説明しますね?

「知ってるよー✨」という方、「なんだか頭がくらくらする・・・」という方は、この項目は飛ばしてください。

大抵の特許データベースは 3種類の論理演算、AND、OR、NOTの組合せでできています。J-PlatPatだと、行と行の間が常に「AND」、複数のキーワードを入力すると「OR」です。

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NOTは「除外キーワード」機能になっています。

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それで、AND、OR、NOT の説明です。

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AND (論理積)
上の図で「A AND B」  なら「みかん と りんご、両方を含む」

OR (論理和)
A OR B なら 「みかん、またはりんご、少なくとも一方を含む」(両方含んでいてもよい)

NOT (論理否定)
A NOT B は 「みかんを含むが、りんごは含まない」です。

前半で出てきた「やっちゃダメな例」ノンアルコールビールは
 NOT アルコール と検索すると 下図Bの部分がまるっと消えて、
「ノンアルコールビール」も集合から消えるのでNGなんですね!

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