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お母さんとポケット|超短編小説

「うん、うん、そうか。そらあんた嫌やったなあ」

ボクは小学校であったイヤやったことをその日のうちにいつもお母さんにきいてもらう。

「ただいま〜」

「おかえり。今日はどやった?」

さいきんはお母さんのほうからボクがイヤやったことをきいて来てくれる。

今日もいっぱい学校であったイヤやったことをお母さんにきいてもらった。

「そらあんた納得いかんわなあ。お母さんやったら怒ってしもてたわ。あんたよう我慢した。偉いなあ」

お母さんにきいてもらうと、学校であったイヤやったことはぜんぶスッキリする。

ちっさいながらにボクは、お母さんのこどもに生まれてよかったとおもてる。

でもなんでやろ?きいてもらったあと、スッキリしたんとべつで、いつもなんかイヤなきもちになる。

このきもちはなんなんやろ?

うーん。ようわからへん。

よし、これもあしたお母さんにきいてみよう。

お母さんは学校のことじゃなくてもきいてくれるかな?

きっといつもみたいに、きいてくれる。

きっといつもみたいに、あごを少しあげた顔で。

きっといつもみたいに、りょう手をズボンのケツポケットに入れながら。

ーENDー



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