記憶を消され棒から落ちそうになる、の夢(2022.1.19)

 何がどうしてそうなったのか分からないが、ロシアに関する重要機密を知ってしまった。
 本来なら始末されるところを、スパイなどではなく偶然、機密に触れてしまっただけの一般市民だと証明されたので、命まで奪わなくてもよいだろうと判断された。
 とはいえ、はいさようならと帰してもらえるわけもなく、処置をされることになった。
 一旦、ほぼ受精卵の状態まで戻し、再度成長させる過程で国家機密に関する記憶を取り除く、のだという。そして別人として新しい名前で生きていくことになる。ずいぶん遠回りな方法だと思うが、こちらから注文を付けられるような雰囲気でもないので、殺されるよりはマシだと腹をくくった。
 麻酔くらいは当然、打ったのだろう。いつの間にか眠っていて、目覚めると広い駐車場に停まっている車の中だった。遠くに見える店舗は見覚えがあるので、日本のどこからしい。
 乗っている車はマイクロバスのタクシーで、僕以外にも数名の客がいる。そして、なぜここで停まっているのかといえば、僕が降りるのを待っているのだった。
 料金メーターは890と表示している。ロシアにいたことを薄っすら覚えていたので、単位は円かと確認したら、運転手には意外すぎる質問だったようで、答えが返ってくるまでに少しの間があった。
 見たことのないサイフを持っていて、日本の紙幣がたくさん入っていた。そのほかに、ずっしりとした小銭入れもあって、その中から100円玉8枚と50円玉1枚、10円玉4枚で、ちょうどの金額を支払って下車した。
 降り際にもうひとつ、意外に思われそうな質問をしてみた。いまは西暦何年か。4年、経っていた。
 4年の間に何があったのか、過去の新聞が読める図書館などの施設を探して歩きだす。
 小学校、中学校の校舎内を通り過ぎ、校庭に出ると行く先はなだらかに登り、大きな通りをまたぐ歩道橋の向こうに市街地、遠くに山がある。校庭がずいぶん広いようで、歩道橋が小さく見えた。
 近づいてみると、歩道橋は遠いから小さく見えたのではなく、細くて長い造りのものだと分かった。高さ長さは普通の歩道橋と同じサイズなのだが、幅は僕の足の幅よりも狭い。つまり歩いて渡ることができない。
 これは階段ではなく、もはや斜めの棒だ。上り切った先で道路を横断する部分も、同じ細さになっている。そして、やはり同じく細い棒状の階段を降りて向こう側にたどり着くのだ。
 仕方がないので、しがみ付いて登ることにする。斜めである分、垂直の棒よりはマシだ。ジャンプ力のないカエルのような格好で、足で挟んでおいて膝を伸ばし、上体が上がったところで、腕で挟んでおいて足を縮ませる、この動作を繰り返す。
 上り切って水平の棒に移動する際、体勢が崩れてぐるんと回り、落ちそうになった。棒にぶら下がることになってしまい、手足への負担がきつい。結構な高さなので怖い。その上、車もたくさん走っている。落ちれば路面に激突して、車にも轢かれるのだ。
 この幅の狭すぎる歩道橋を、棒のようだと例えてきたが、いつの間にか、本当に丸い棒に変わっていた。指に引っかかるものがなくなってしまったので、力を抜けば滑って落ちてしまう・・・


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