殺人教唆の噂、の夢(2022.1.23)

　職場一の美人であるＫさん。交際相手と結婚間近だったのだが、その相手が殺人事件を起こしてしまった。当然、結婚どころではなくなり、さぞかし落ち込んでいることだろう、と周りは心配したものである。
　しかし、本人は至って普通、いつも通り仕事をしている。元々の性格が落ち着いたタイプだったこともあって、変わったところはひとつもないように見えた。
　あまりにも冷静すぎるので、ある噂がまことしやかに囁かれ始めた。
　実はＫさん、結婚する気など毛頭無く、初めから被害者を殺させる目的で加害者男性と付き合っていたのでは、と。
　僕は噂を聞き流しながらも、あることを思い出していた。
　飲み会でＫさんがスマートフォンをテーブルに置いたままトイレに行っている間に、電話がかかってきて、画面が見えてしまったのだが、その相手が「悪魔」と表示されていた。「悪魔」で登録される相手とは、どういう人なのか。また、「悪魔」から電話がかかってくるＫさんの私生活とは。気になるし、少し怖い。何とも言えない気分でぶるぶる震えるスマホを見ていたらＫさんが戻ってきて、電話に出ることもなく、表情も変えず、電源を切ってバッグに押し込んだ。
　そういう経験があるものだから、殺されたのはもしかして、「悪魔」と登録された人物だったのでは、と思わなくもなかった。