急勾配、の夢(2022.10.22)

 電車に乗っていた。
 何だかいつもより速度が控えめな気がした。運転手はメガネをかけた女性だった。
 駅の近くで、線路が急に登り坂になった。感覚的には、直角に近いような急勾配だった。登ってはみたものの、登り切れずに、ずるずるとずり落ちて、電車は止まってしまった。
 乗客の中に、鉄道会社の制服を着た男性がいた。電車が坂を登れなかったのを確認すると、書類に何か書き込んだ。この人は運転手の査定をしているらしく、その苦々しく歪んだ表情を見るに、相当低い評価を付けたに違いない。
 運転手は乗客に、ここで降りて駅まで歩いてくださいと、何度も頭を下げながらお願いをした。
 降りるお客さんに腹を立てている人はおらず、みんながみんな、彼女に慰めの言葉をかけていく。どうやら彼女は、利用者の平均年齢が高いのに合わせて抑えめの速度で運転しているらしい。運転手が彼女のときは激しく揺れることがないので、お年寄りからは好評なのだ。


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