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【本会議】第3回後期定例会・討論

【2022年(令和4年)第3回後期定例会 12月14日 本会議(閉会)】

通告してある議案および請願について、委員長報告に「反対」の立場で討論しました。

★録画

群馬県議会インターネット中継より、録画映像をご覧いただけます。
反対討論者 酒井 宏明 議員(日本共産党) 約11分

★反対討論(全文)

日本共産党の酒井宏明です。
会派を代表して、通告してあります議案および請願について、委員長報告に反対の立場から討論します。

155、156、160号は、「データ利活用」の名のもとに個人情報保護を後退させかねない内容であり、反対です。
個人情報はいくら「匿名加工」されるといっても、プロファイリング等によって、容易に個人が特定される恐れがあります。
また、情報は集積されればされるほど攻撃されやすく、漏れた情報は取り返しがつきません。
介護、子育て、教育、健康など自治体が持つ住民サービスにかかわる情報は、企業から見れば、自己の保有する顧客情報とは比べ物にならない個人情報の宝庫です。
それを企業のもうけのために、本人の同意を得ずに、外部提供することがはたして行政の仕事といえるのでしょうか。
住民のプライバシーや預かっている個人情報を守ることは、最後の砦としての地方自治体の責任です。
プライバシーを守る権利は憲法が保障する基本的人権です。
もしも本人のプライバシーが侵害されたり、漏洩した時に行政が責任を取れるのかが問われています。
今必要なことは、個人情報やプライバシーを保護するための条例や法律の強化、十分な被害救済、罰則の強化、情報の自己決定権を保障することです。
こうした理由から、本議案に賛成するわけにはいきません。

165、166号は、上信自動車道とそのアクセス道路の橋梁工事に関する請負契約です。
今急ぐべきは大型道路の建設ではなく、身近な生活道路や通学路の改修・安全対策であり、大型開発に警鐘を鳴らす上からも、あえて反対します。
人事委員会勧告に基づく職員給与の増額補正の改定には賛成です。
一方で、知事等特別職および議員の報酬改定については、お手盛り感がぬぐえず、反対です。

次に請願についてです。

総務企画28号は、消費税インボイス制度の実施延期を求める請願です。
インボイス制度導入の最大の問題は、免税事業者が取引から排除され、倒産、廃業に追い込まれる恐れがあることです。
もともと零細事業者は、仕入れにかかった消費税を販売価格に転嫁することが困難です。
納税義務を負うことになれば身銭を切って消費税を払うことになります。
個人事業主として働いている人の多いアニメ、漫画、演劇、声優・俳優の団体や出版、エンターテインメント業界などから、死活問題だとしてインボイス反対の声明が次々に発表されています。
年収が100万~200万円しかない事業者も少なくありません。
コロナ危機や物価高騰で事業継続の瀬戸際にある事業者をさらに苦しめるインボイス制度の延期を求める請願は当然の願いであり、採択を求めます。

産経土木44号は、インボイス制度の導入を前提に助成制度の創設を求めるもので、採択に賛成するわけにはいきません。

健康福祉9号は、安心・安全の医療・介護実現の人員増と処遇改善を求める請願です。
新型コロナウイルスの感染拡大により、入院が必要にもかかわらず入院できない「医療崩壊」や介護を受けたくても受けられない「介護崩壊」が現実となってしまいました。
これは感染対策の遅れはもちろんのこと、他の先進国と比べても圧倒的に少ない医師や看護師、介護職員や保健師の不足が根本的な原因です。
この状況を解消するためには、ケア労働者の処遇改善とともに、一人夜勤体制や過酷な長時間勤務を改善するための実効ある対策です。
自然災害時の対応や新たな感染症に備えるためにも、平常時から必要な人員体制の確保を国の責任で行うことが重要です。
対策の中心となる公立公的病院や保健所の拡充などの機能強化、だれもが安心して医療介護が受けられるよう保険料や一部負担金の負担軽減も必要です。よって、本請願の採択を求めます。

同10号は、統一協会問題の全容解明を求め、統一協会の解散と被害の予防、救済のための制度整備を国に求める請願です。
政府・自民党などの政治家と、統一協会(世界平和統一家庭連合)との癒着や疑惑が次々と明るみにでています。
統一協会は、霊感商法や多額の献金、集団結婚で、家庭崩壊や人権侵害などの深刻な被害を生み出している反社会的カルト集団です。
また、別動隊である国際勝共連合は、反共反動の先兵の役割を果たし、集団的自衛権の行使容認や「憲法改正」を強調。
選択的夫婦別姓や同性婚合法化の阻止を掲げるなど平和とジェンダー平等を妨害してきました。
被害者家族の会などは、解散命令、つまり税制優遇をともなう宗教法人格の取り消しや被害の予防・救済のための実効性ある法整備を求めています。
しかし、今国会で、可決成立した被害者救済法は悪質な献金勧誘行為、いわゆるマインドコントロールに適切に対応できないなど、被害者救済や防止にきわめて不十分です。
実効性あるものに直ちに修正することを求めます。
統一協会との関係でいえば、県内選出の国会議員や県議会議員の名前も取り沙汰されています。
全容解明は、有権者に対する責任ではないでしょうか。
よって、本請願の採択を求めます。

文教警察13号国の責任で教職員未配置・未補充問題の改善を求める請願です。
教職員の未配置問題が深刻化しています。
群馬県も30人前後足りていません。
この問題は、国が教職員の定数改善ではなく、人件費抑制のための定数崩しや総額裁量制を可能とする政策を進めた結果、正規で配置すべき教職員が臨時的任用教員などに置き換えられたために引き起こされている問題です。
学校現場の多忙化・長時間過密労働などが、教職離れを加速させています。
抜本的な改善が急務であり、本請願の採択を求めます。

残余の請願については、かねてからの理由により、委員長報告に反対です。

最後に一言申し上げます。

新型コロナの感染拡大が止まりません。
群馬県は昨日、過去最多の感染者数を確認しました。
救える命を救うことを最優先に、感染拡大防止と検査・ワクチン・治療・保健所体制の強化を改めて求めまして、私の反対討論を終わります。

★反対した知事提出議案(11月24日~)の番号、件名、概要

  • 155号 群馬県個人情報の保護に関する法律施行条例:個人情報の保護に関する法律の改正に伴い、開示請求の手続等に関し必要な事項を定めようとするもの

  • 156号 群馬県個人情報保護審議会条例:群馬県個人情報保護審議会を設置しようとするもの

  • 160号 群馬県情報公開条例の一部を改正する条例:個人情報保護制度との整合性を図るため、改正を行おうとするもの

  • 165号 請負契約の締結について:道路改築龍ヶ鼻橋上部工製作架設工事

  • 166号 請負契約の締結について:道路改築(仮称)厚田跨道橋上部工工事

  • 167号 当せん金付証票の発売について:令和5年度発売限度額180億円

★採決の結果

知事提出の25議案のうち6議案について、委員会が提出した5議案のうち1議案について、日本共産党(伊藤祐司・酒井ひろあき)が「反対」しましたが、賛成多数により可決することに決定しました。
その他の議案については、全会一致で可決することに決定しました。

議員ごとの賛否の状況「令和4年第3回定例会(12月14日)議決結果」

群馬県議会ホームページより
(1)
(2)

★請願・意見書等への各党の態度

群馬県議会 第3回定例会 請願・意見書等への各党の態度

【関連リンク・群馬県議会】

令和4年第3回定例会 知事提出議案(11月24日~)

【しんぶん赤旗】

議会だより 情報保護 自治体責任 酒井議員ただす/群馬県議会(しんぶん赤旗・首都圏 2022.12.21)

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