【本会議】第2回定例会
【2022年(令和4年)第2回定例会 6月15日 本会議(閉会)】
本会議で反対討論しました。
(1) 議案、請願について
(2) 意見書案について
反対討論(1)
★録画
群馬県議会インターネット中継より、録画映像をご覧いただけます。
反対討論者 酒井 宏明(日本共産党) 約10分
★反対討論(全文)
日本共産党の酒井宏明です。
通告してあります議案および請願について、委員長報告に反対の立場で討論を行います。
新型コロナ対策関連や物価高騰の影響を受けた事業者支援などを含む補正予算案には賛成です。
反対するのは議案2件です。以下、理由をのべます。
まず、90号議案は県税条例の一部を改正する条例です。
住宅ローン控除の特例措置の適用期限延長など、消費税10%増税の際に導入した需要喚起策です。
コロナ禍で格差と貧困が広がるもとで、地方税でも生計費非課税、所得の再分配機能を高めることが求められていますが、改定内容はそれに応えるものとなっておらず、賛成するわけにはいきません。
続いて、承2号のうち県税条例の一部改正、中でも賃上げ促進税制への対応についてです。
前年度から継続して雇っている人の給与の総額を3%以上増やせば、給与総額の増加額などの一部を法人税額から控除できるというものです。
賃上げ促進税制が導入されたのは2013年度ですが、この間、賃上げ効果も検証せず、ただただ制度の見直しと減税額の拡充が行われてきました。
厚生労働省の毎月勤労統計によると同年以降、現金給与総額の上昇率は最大1%台前半にとどまっており、「賃上げ税制の実効性は見通せない」との指摘もあります。
そもそも賃上げ分の一部を法人税から差し引く仕組みのため、日本の企業の約6割を占める赤字企業には適用できず、その従業員には恩恵が及びません。
一部の企業の賃上げ支援をする結果にしかならないのであれば、本制度自体が賃金格差を助長することになりかねません。
多くの赤字企業にも恩恵が及ぶ支援制度に変えることが必要であることから、本条例改正に反対です。
次に、請願についてです。
健康福祉、厚文5号は、保育の充実を求める請願です。
保育所職員配置基準は1948年につくられましたが、4、5歳児の基準は30:1のまま、70年以上一度も変わっていません。
1、2歳児は6:1のまま、50年以上改善されていません。
自治体や保育所が独自に保育士を増やして対応していますが、それでも「休憩時間が取れない」「事務の時間が取れない」などの声があがっています。保育の質を低下させないよう、国の配置基準の2倍近くの職員を配置しているため、2月から9000円程度の上乗せ支給があっても、実際の支給額は半分以下になると懸念されています。
保育士の賃金は、全産業平均より月8万円以上も下回っています。
全産業平均並みに引き上げられる公定価格と実態に見合う配置基準への抜本的な改定が求められています。
保育現場はコロナ禍においても、原則、開所が求められ、感染予防対策を図りながら保育環境の維持・充実に努めています。
こうした現場の声を県議会としてきちんと受け止めるべきではありませんか。
前橋市議会でも同様の意見書を全会一致で可決しました。
よって、本請願の採択を強く求めます。
産経土木28号、全国一律最低賃金制度の実現と中小企業支援の拡充を求める請願です。
労働者の実質賃金は、1997年から2021年まで、平均で年収61万円も減りました。
この30年間に、日本の平均賃金は4・4%しか伸びていません。
一方、同時期に、アメリカやイギリスは50%近く伸びています。
日本は世界でも異常な「賃金が上がらない国」になってしまいました。
現在の最低賃金は全国加重平均で930円。群馬県は865円です。
地域間の格差は最大221円、年間40万円にもなります。
コロナ危機やインフレのなかで、イギリスは円換算で1520円、ドイツは1683円、フランス1521円など、最低賃金の大幅な引き上げが行われ、アメリカでもバイデン大統領が1950円への引き上げをうちだしています。
日本は、ここでも完全に取り残されています。
中小企業への賃上げ支援を抜本的に強化しながら、最低賃金を全国一律・時給1500円(月給だと22万5000円程度)に引き上げることが緊急に求められています。よって、本請願の採択を求めます。
産経土木30号、小企業・小規模事業者の経営支援を求める請願です。
新型コロナの影響もあり、群馬県では廃業を検討している事業者が都道府県別では最も高い調査結果になっています。
さらに物価高騰が追い打ちをかけています。
休廃業が今後も増え続ければ、雇用維持と地域経済に深刻な影響を及ぼすことになります。
消費税の連続増税をはじめ、弱肉強食の新自由主義を進めてきたことが、中小零細業者の営業とくらしが苦しい根本にあるのではないでしょうか。
今こそ、消費税をただちに5%に減税し、インボイスの導入は中止すること。
コロナ危機と物価高騰から営業を守るため、事業復活支援金を拡充し、家賃支援給付金を復活することを国に強く求めます。
それとあわせて、県独自の支援をさらに強化する必要があります。よって、本請願は当然の願いであり、採択を求めます。
最後に、文教警察1号、学校給食費の無料化を求める請願です。
この間、群馬県は市町村レベルでは無料化が進みました。全国的に見ても最先端をいっています。
ついに太田市が、10月から中学校で、来年4月から小学校で給食費完全無料化を実施することを明らかにしました。
人口20万人規模の自治体では初めてです。
これで、予定も含め完全無料化は15市町村、一部補助・条件付き補助は14市町村となります。
未実施の自治体は6市町村を残すのみとなりました。
県民の幸福度向上をいうのなら、群馬県として無料化に踏み切るべきではありませんか。
子どもの医療費無料化と同様、市町村と折半で行えば十分実現できます。よって、本請願の採択を強く求めます。
以上で、私の反対討論を終わります。
【関連リンク・群馬県議会】
令和4年第2回定例会のあらまし
群馬県議会インターネット中継 より
令和4年第2回定例会 令和4年6月15日(水) 本会議(閉会)
【関連ブログ・酒井ひろあき】
改憲地ならしに反対 群馬・酒井県議(しんぶん赤旗・首都圏版 2022.06.18)
☆緊急事態に対する法令見直しの発議案に反対 改憲への地ならし進めるもの 酒井議員が討論
反対討論(2)
★録画
群馬県議会インターネット中継より、録画映像をご覧いただけます。
反対討論者 酒井 宏明(日本共産党) 約6分
★反対討論(全文)
日本共産党の酒井宏明です。
会派を代表して、緊急事態に対する法令等の見直しを求める意見書発議案に反対の立場から討論を行います。
意見書案は、「感染症の拡大や大規模自然災害に対して、今後より重大な緊急事態が発生した場合は従来の法体系では対応できなくなる恐れがある」などとして、緊急事態における法令等の整備を促進することが必要だとしています。
しかし、東日本大震災や原発事故、新型コロナ感染拡大に関して、現行法に問題があるのではなく、政府の対応にこそ重大な欠陥、多くの問題点があったことを指摘しないわけにはいきません。
例えば、今回の新型コロナに関して言えば、根拠の乏しかった学校いっせい休校、アベノマスク、GoToトラベル、そして東京オリンピックの開催強行。
こうした政府の無為・無策・逆行ぶりが感染拡大を招いたのではないでしょうか。
私たちは、当初から、ワクチンの安全・迅速な接種とともに、いつでもどこでも無料で受けられるPCR検査の拡充、飲食店だけでなく広範な中小事業者への十分な補償、医療機関や保育・福祉・障害者施設への支援、生活困窮者への支援、そして東京五輪の中止、入国停止の措置を含む水際対策の強化など、感染拡大防止策の実施を強く訴えてきました。こうしたことは現行法でも十分可能です。
たしかに、一定の私権制限をすることはあり得ます。
しかし、その際には、自由を制約することが正当化できるほどの事態の重大性と、制限の方法に関する科学的根拠、それにもとづく市民の納得と自発的な協力、さらにそれに見合う十分な補償が必要不可欠です。
こうした検討なくして、ひとたび私権の制限をゆるしてしまえば、その目的を超えて、国民の正当な権利行使への不当な制限につながりかねません。
かつて、国の誤った強制隔離政策のもとに、ハンセン病患者やその家族の自由と人生を奪ってきた、戦後も長く差別と偏見のもとにおかれてきた歴史的事実を忘れてはなりません。
こうしたことにかんがみれば、より慎重な議論が求められます。
コロナ以前にも、新自由主義的な改革で地方自治体は疲弊しています。
保健所機能は縮小され、医師や看護師の少なさもOECD諸国のなかで際立っています。
社会保障の貧弱さに加え、ルールなき資本主義、すなわち大量生産・大量消費、乱開発が地球温暖化や環境破壊、そして新たな感染症を招いたともいわれます。
小手先の法改正よりも、こうした根本原因にメスを入れることこそ重要ではないでしょうか。
自民党と岸田政権がコロナ危機を口実に、憲法に緊急事態条項の創設を狙う中で、今回の意見書の提出は、まさに改憲への地ならしを地方からすすめるものだとの批判を免れません。
今やるべきは、激甚化する災害への対応や感染症対策のための予算をしっかり確保し、人的・物的体制を確立・強化することです。
こうした視点のない本意見書に賛成するわけにはいきません。
以上、申し述べて、私の反対討論といたします。
【関連リンク・群馬県議会】
群馬県議会インターネット中継 より
令和4年第2回定例会 令和4年6月15日(水) 本会議(閉会)
議員ごとの賛否の状況「令和4年第2回定例会議決結果」(pdfファイル:49KB)
【関連ブログ】
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