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【本会議】2023年第1回定例会・討論

【2023年(令和5年)第1回定例会 3月10日 本会議(閉会)】

通告してある議案および請願について、委員長報告に「反対」の立場で討論しました。

★録画

群馬県議会インターネット中継より、録画映像をご覧いただけます。
反対討論者 酒井宏明 議員(日本共産党)  約11分

★反対討論(全文)

日本共産党の酒井宏明です。
会派を代表して、通告してあります議案および請願について委員長報告に反対の立場から討論いたします。
新型コロナ感染が確認されてから3年がたち、県内で40万人を超える方が感染、1000人以上の方がお亡くなりになりました。
改めてお見舞いとお悔やみを申し上げます。
また、医療従事者はじめ命を守るためにご尽力されている関係者のみなさんに、心からの感謝と敬意を表します。
政府は、新型コロナを5類に引き下げることとあわせて、感染対策や検査・治療への公的支援を後退させようとしています。
住民の命と健康を守る施策の強化・拡充こそ必要ではないでしょうか。
検査・治療・予防接種の公費負担を継続し、高齢者施設等の入所者を感染から守る対策の強化が求められています。

さて、長引くコロナ禍や急激な物価高騰が県民生活を直撃している今、県の予算や施策がそれにこたえるものになっているでしょうか。
知事は高校生世代の医療費無料化に踏み切りました。
このことは大変評価できます。

また2月補正予算での子どもの安全対策や関根発電所の復旧前倒し、新年度予算での夜間中学校の開校準備や県央第二水道の料金値下げ、再生可能エネルギーの普及促進など、県民の願いが県政を動かした部分はたしかにあります。
しかし、全体としてみると、新年度予算には不十分な点や改善すべき点があり、賛成するわけにはいきません。
以下、その理由をのべます。

第一に、デジタル化一辺倒で、マイナンバーカードの取得促進に、躍起となっている点です。
商品券の配布等に加え、高校などに出向いてカードの取得促進を図る構えですが、教育の政治利用そのものであり、認めるわけにはいきません。
前橋市では、高齢者が多く利用しているマイタク制度で22年度からマイナカード保有者に限定してしまいました。
高崎市では、教育委員会が市内公立学校を通じて保護者あてにマイナカード申請を促す文書を配布していたことがわかり、後で「申請は任意」との追加文書を出さざるを得なくなりました。
地方自治体のサービス提供をマイナカード保有者に限るなどの差別は決して許されません。
さらに政府は、マイナポイントに巨額の税金を投入するだけでは飽き足らず、健康保険証と一体化して、紙の保険証を廃止することを決めました。
カードを取得するかどうかはあくまでも任意であるはずなのに、これでは命を人質にとった事実上の強制ではありませんか。
マイナンバーによって、地方自治体が持つ個人情報と国や民間の情報が関連づけられれば、所得や資産、教育や健康状態はもとより、思想・信条、交友関係、行動履歴などのプライバシーが丸ごと国家権力に握られてしまいます。
情報漏洩やプライバシー侵害の危険がさらに高まることになります。
徴税の強化、給付の削減、監視国家につながりかねないマイナンバー制度は廃止すべきです。

第二に、不要不急の事業には熱心な一方で、教育や子育て、福祉が後回しになっている点です。
住民と日本共産党県議団、地方議員団が長年要求し続けてきた、学校給食費の無料化は多くの市町村に広がり、一部補助を実施する自治体も含めて4月から33市町村にのぼります。
しかし、県はなにもしていません。
市町村と折半で行えば37億円でできます。
知事が「市町村の格差是正」を言うなら、今こそ給食費無料化に踏み切るべきではないでしょうか。
少人数学級に関して、国が小学校4年生を35人以下学級にするのに合わせて、県も30人学級へと前進させるチャンスだったのに、新年度はさらに8千万円も削減しようとしています。
教員の多忙化に拍車がかかっている実態をなぜ直視しないのでしょうか。
8年前の2015年度当初予算に比べて、少人数学級予算は6億円も減らされています。
市町村立学校の職員定数を120人増員する一方、県立学校は51人削減しようとしています。
教育行政に求められているのは、憲法26条の教育を受ける権利・義務教育の無償化の精神にたった教育の条件整備です。
いじめや不登校の問題を解決するためにも、予算も教員定数もさらに増やすよう強く求めます。
上信自動車道や西毛広域幹線道路の建設、県庁31階のマルシェ&キッチン、ぐんまちゃんブランド化などの事業を見直せば、財源は十分つくれるではありませんか。

第三に、ジェンダー平等の取り組みの遅れです。
上智大学の三浦まり教授らの調査によると、群馬県はジェンダーギャップ指数で、政治・行政・教育・経済の4分野どれも全国30位台、お隣の栃木県と比べても水をあけられています。
積極的な是正措置が必要です。
以上の理由から、新年度予算案には賛成できません。

次に請願についてです。

健康福祉10号は、統一協会問題の全容解明を求め、統一協会の解散と被害の予防・救済のための制度整備を国に求める請願です。
群馬県選出の国会議員や県議会議員と、統一協会との深い癒着が取り沙汰されています。
関係を持った議員はすみやかに全容を明らかにし、関係を断ち切るべきです。
マインドコントロール下での寄付勧誘の禁止など実効性のある被害者救済制度にすること。
統一協会に対する税金の免除などの優遇をやめるために解散命令をただちに請求すること。
これらは当然の要求であり、採択を求めます。

同15号は、保育士配置基準の引き上げによる保育士増員を求める請願です。
小学校では少人数学級化が順次進み、公立小学校の学級当たりの平均児童数はすでに22.7人になっています。
一方で、小学生よりも幼い乳幼児が長時間生活する保育所の4・5歳児の配置基準は、子ども30人に保育士1人、これは70年以上も見直されていません。
いまこそ保育予算を大幅に増やし、配置基準の引き上げによる保育士の増員、処遇の改善を国の責任で進めるべきであり、採択を求めます。

最後に一言申し上げます。
今、多くの県民はコロナ禍と物価高騰に悲鳴をあげています。
ある一人暮らしのお年寄りからこんな訴えがありました。
「電気代、ガス代、食料品が次々と値上げされ、年金だけではとても暮らしていけない。今までこんなことはなかった。その上、日本がまた戦争を始めようとしている」と目に涙をいっぱいためて、切々と語っていました。
こうした一人ひとりの苦しみや願いに心寄せ、その解決のために、また平和を守るために最善を尽くすのが政治の責任ではないでしょうか。
そのことを最後に強調し、私の討論といたします。

【関連リンク】
群馬県議会 令和5年第1回定例会について

【関連ブログ】
子育て・教育 充実を 酒井議員が求める(しんぶん赤旗・首都圏 2023.03.15) 

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