母体が高齢になるほど逆子が治りにくい理由

ワシントン大学の研究で、母体の年齢が高齢になるほど逆子のまま出産する可能性が高くなるというものがあります。これを初めて見た時は不思議に思いました。だって、母体の年齢と胎児の回転にどんな影響があるのかを想像できなかったからです。
今回はそれを考察していきます。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S000293789670368X

高齢になることで胎動に影響が出るもの

逆子が回転するには胎動とスペースが必要です。年齢を重ねることによって胎動とスペースが減るようなことがあれば母体の年齢によって回転しにくくなるはずです。胎動は自律神経が、スペースは四球の血流が影響するので、加齢によってどう影響するかを考えてみます。

副交感神経は衰える

副交感神経は女性の場合、40代くらいから衰え始めます。副交感神経が優位になりづらくなれば、胎動も出にくくなります。

子宮の軟性が減る?

今までは高齢によって子宮の軟性が減っていくとも考えていました。基本的には子宮は老化(機能が低下)しないと考えられていますが、子宮の軟性の減少(平滑筋の萎縮)はあると考えていました。そう考える理由は膀胱や血管の平滑筋は年齢とともに機能が萎縮していくからです。

ですが、2022年11月2日にはアメリカイリノイ州に暮らす51歳の女性が不妊に悩む娘の代理出産をしています。また、2023年12月15日にオーストラリアで54歳の母から子宮の移植を受けた30歳の娘が出産に成功している例があります。

平滑筋も細胞で老化はあり、萎縮があったとしても、逆子に影響があるほどの軟性の減少はなさそうと今は考えています。

骨盤が開きスペースが増える?

年齢に伴い骨盤が開大するという論文もあります。骨盤が開けば胎児は回転しやすいような感じがします。ですが、骨盤が年齢とともに開くのに反比例して、逆子のまま産まれる確率が上がります。
つまり、骨盤が開いていても逆子の回転に強く影響はないと考えられます。


高齢で起きる逆子が治りにくい要因

現段階では自律神経の影響かなと思います。

もうひとつホルモンバランスの影響も考えています。2023年12月につわりの原因になるホルモンが発表されています。逆子にもホルモンやペプチドが影響があるとも考えられています。そのホルモンが加齢とともに影響を受けるのであれば逆子が治りにくくなると考えられます。ですが、現段階では自律神経の影響かなと思います。

また新しく情報が増えて考察をした時に更新します。

参考文献

増田一太"成人における骨盤形態の性差 -男性と未産婦の比較-"愛知県理学療法学会誌 第33巻 第2号 2021 年 12 月

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