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逆子を予防する方法は“へその緒を長くすること”

はじめまして。こんにちは!
さかごらぼの玉井です。

今までに僕はYoutubeやブログ、Instagramなどでは“逆子を防止・予防する方法はない”とお伝えしきました。また、逆子を予防することはできないけど、逆子が治りにくくなる方法は“安静にすること”を上げていました。安静にしていれば母体が疲労をせず、胎動とスペースが減らないので逆子になった時に治りにくいことを防げるからです。
ですが、逆子や妊婦に関する論文を読みあさっていて、もっと根本的に逆子の確率を減らす方法がありました。それは【へその緒を長くすること】です。僕が読んだ論文ではへその緒の長さは“あること”を条件に長くなるようです。逆子が治らない要因の一つに“へその緒が短いこと”があります。もし、へその緒を長くすることができれば、逆子にはなりにくくなります。
今回は逆子を予防する方法をテーマに、アメリカ、スウェーデン、オランダ、フィンランド、ノルウェーの論文を参考に僕の考えを紹介します。

*本記事は逆子を予防できる方法を鍼灸師·助産師さん向けです。

この記事を書いている人

玉井孝明(たまいたかあき)
鍼灸師/柔道整復師
鍼灸による逆子治療を9年間しています。読んでいる逆子の論文を基に逆子治療をしながら、逆子の統計をとっています。SNSで妊婦さん向けに逆子の情報を発信しています。
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UC4VQ68_37YqwhzrdPcx9IOQ
Instagram:https://www.instagram.com/sakago_breechbaby/?hl=ja
ブログ:https://sakago-breechbaby.com

へその緒(臍帯)を長くする方法


まず始めに、へその緒を長くする方法は、【妊娠初期から胎動を増えるように促すこと】です。

研究論文によると、へその緒の長さは胎児の運動に影響を受けるそうです。胎動が多ければ多いほど、いくらでもへその緒が長くなるわけではないと思いますが、少なからず胎動が少なくてへその緒が本来より短くなるということはないはずです。つまり、胎動が増えればへその緒が長くなり、逆子が治らない確率が減ります。であれば、逆子の予防防止の確率はあがります。

参考文献(1)(2)

胎児の胎動を増やす方法


次に妊娠初期、中期に胎児の胎動を増やす方法です。それは、副交感神経を優位にすることです。自律神経が整い副交感神経が優位の時に、胎動は増えます。

*“副交感神経が優位の時に胎動が増えること”については証明されている論文を見たことはありません。これは僕の考えで、逆子の妊婦さんや頭位の妊婦さんに聞いた統計から考察しています。ほぼ全ての妊婦さんが夜寝る前と食事後に胎動が増えていて、自律神経が乱れている人の自律神経を鍼灸マッサージで整えると圧倒的に胎動が増えます。逆子のすべてで詳しく説明しています。

副交感神経を優位にできれば、胎動を増やすことができます。

副交感神経を優位にする方法


たくさんあります。鍼灸マッサージ、ストレッチ、ヨガ、白湯を飲む、骨盤を温める、適度な運動。どれでも効きます。特に首周り、骨盤周りを刺激すると自律神経反射で胎動が増えやすくなります。自律神経反射については鍼灸で逆子治る理由で、白湯、骨盤を温める反射についてはセルフケアでお伝えしています。

この記事のポイント

ポイントは、対象の妊婦さんが妊娠初期~中期であることです。へその緒の成長は胎児の大きさに応じて大きくなっていきますが、後期からは成長速度が遅くなるそうです。僕が普段している逆子治療でも、胎動がものすごく増えます。ですが、来院週数は後期なので胎動が増えても臍帯には影響はあまりないはずです。へその緒が成長している妊娠初期~中期に胎動が増える必要があります。

参考文献(3)

おまけ(逆子に関する小噺)

ちなみにへその緒の長さの男女比は男児の方が有意に長かったそうです。
逆子は女児の方が多いという統計があります。へその緒が短いから逆子になる確率が高くなるのかなと思いました。また、へその緒が短く逆子になる確率が高いから、股関節形成不全になりやすいのかなとも思います。基本的には股関節形成不全は女児に多く、骨盤の形が影響すると考えられていると思います。ですが、逆子であれば股関節形成不全になりやすく、男児より女児の方が逆子になりやすいのであれば、女児の方が股関節形成不全の確率は高くなります。その逆子の確率を高くするのがへその緒の長さなのであれば、それもまた股関節形成不全に影響すると言えると思います。

参考文献(4)

まとめ


この記事を簡単にまとめると、逆子はへその緒が長い方がなりにくい。へその緒を長くする方法は、胎動を増やすこと。胎動を増やすには、副交感神経を優位にする。副交感神経を優位にするには、自律神経反射を利用する。ということです。

へその緒が長くなることで起きるリスク

また、「長くなったら巻きつくリスクが出てくるんじゃないの?危なくない?」という意見もあると思います。基本的に刺激による反射では、無理やり伸びたりはしないと考えています。
例えば、本来30cm伸びる予定だったへその緒が胎動が少ないせいで15cmになってしまった。というものを本来伸びる予定の30cmにできるというイメージです。外力で無理やり伸ばすわけではないので、本来の限界値を超えては伸びないはずです。
他の例で言えば、羊水も同じです。水分を取ったら羊水が増えたという実験があります。それも、飲めば飲むほど増えるわけじゃないはずです。本来、300ml留められるのに水分補給が足りずに150mlに減ってしまっているものを許容範囲で増やすことができるというもののはずです。へその緒も同じようなものだと思います。

へその緒が胎児の首に巻きつくリスクは上がります。長い方が巻きつきやすいからです。ですが、本来ある胎動になり、本来の長さに戻ると考えれば問題ないかと僕は考えます。

この記事の前提

この記事の前提に「臍帯が短いと逆子が治りにくい」ことがあります。それは、多くの研究で結論づけています。

参考文献(5)

参考文献

(1)Soernes T, Bakke T. The length of the human umbilical cord in vertex and breech presentations. Am J Obstet Gynecol. 1986 May;154(5):1086-7. doi: 10.1016/0002-9378(86)90756-8. PMID: 3706433.

(2)Miller ME, Higginbottom M, Smith DW. Short umbilical cord: its origin and relevance. Pediatrics. 1981 May;67(5):618-21. PMID: 7254991.

(3)Georgiadis L, Keski-Nisula L, Harju M, Räisänen S, Georgiadis S, Hannila ML, Heinonen S. Umbilical cord length in singleton gestations: a Finnish population-based retrospective register study. Placenta. 2014 Apr;35(4):275-80. doi: 10.1016/j.placenta.2014.02.001. Epub 2014 Feb 11. PMID: 24560495.

(4)Sarwono E, Disse WS, Oudesluys Murphy HM, Oosting H, De Groot CJ. Umbilical cord length and intra uterine wellbeing. Paediatr Indones. 1991 May-Jun;31(5-6):136-40. PMID: 1896194.

(5)Westgren M, Edvall H, Nordström L, Svalenius E, Ranstam J. Spontaneous cephalic version of breech presentation in the last trimester. Br J Obstet Gynaecol. 1985 Jan;92(1):19-22. doi: 10.1111/j.1471-0528.1985.tb01043.x. PMID: 3881123.

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