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これからの僕たちの仕事

僕たちの仕事は目立つことがない、いわば裏方です。目立つのはショーケースの精肉だけでいい。大量生産できない小規模の牧場の牛だけを扱い、僕が昭和の良き時代に学んだ技術に少しだけアレンジを加えながらやっています。

でも、これからは僕たちも表にでてもいいんじゃないかな。いや、こんな時代だからこそでなきゃいけないと思うのです。そこには必ず農家さんと一緒であり、お客様の存在が必要です。

僕たちの現場でいったい何が起こっているのか。どんな思いで仕事しているのか。僕が掲げている「正しい牛肉を。」の意味は。

サカエヤの現場は平均年齢23歳です。「教育」はやってますが技術を教えるということは、ほとんどやっていません。それでも3年もすれば、できるようにはなります。もちろん「そこそこ」ですが。

僕はこの20年、農家さん(生産者)と一緒に取り組んできました。問屋さんから肉を仕入れるのではなく、生きた牛を見て、自らの手で肉を捌き、内蔵を処理して売ってきました。その一連の流れのなかに、料理人やお客様を巻き込んで小さいながらもネットワークができてきたように感じています。

でも最近思うのは、僕が料理人と繋がることで仕事の幅が広がったように、次世代の農家さんにもそれが必要なんじゃないかと思うのです。つまり、自分たちが育てた牛がどんなふうに流通していくのか、そこを体験しないと、いつまでたっても、しんどいだけの仕事に価値や喜びを見出さないんじゃないかと思うのです。いまだに、自分が育てた牛がどこへ売られていったのか知らない農家さんがほとんどです。自分が育てた牛の肉を食べたことがない農家さんもたくさんいます。

BSEを知らない農家さんの子供たち。本来なら親が教えないといけない人生を狂わせた大きな出来事なのに知らないと言う。

なので、もし、農家さんの子供たち(男女問いません)外部の跡継ぎ候補の方も含めて働きたい方がいたら僕が預かります。ただし23歳までで、最低3年は務めていただきます。それが条件です。

大きな取引の話は山ほどあります。そこには「買っていただく」ための企業努力が必要になります。僕はそういった肉をやりたくてこの仕事しているのではなく、自分たちがお金を出して買いたくなる肉だけをやり続けたいのです。そのために必要なのは価値の積み重ねです。来年還暦の僕がどこまでやり続けることができるのか分かりませんが、体力は別として気力だけはまだまだ。

#私の仕事

ありがとうございます!