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20代の働き方

先日、京都のDroit(ドロワ)にて、銀座ラフィナージュの高良シェフとのコラボ会(高良シェフ×森永シェフ)が開催されました。テーマは「ソース」ということで、同じ食材を使って各々ソースを組み立てるというもの。つまり、同じ料理を2回、ソース違いで食べるということです。

レストラン業界の重鎮や料理人が招待され、森永シェフはやや緊張気味。一方の高良シェフは堂々としたもの。僕の向かいの席は、緒方さん(洋食おがた)でほっとした。

10月に緒方さんが、修行時代の師匠とコラボ会をやるらしく、すぐに参加表明させてもらった。緒方さんは、25歳〜35歳の10年間、師匠の下で働いたのだが、とにかく厳しかったそうだ。その師匠の厳しさはいろんなところで聞いているが、緒方さんから直接聞くとなんだか僕も修行時代はそんな感じだったので妙に懐かしい。

いまの時代にはそぐわないとは思うが、僕はいちばん成長できる時期に厳しい環境で働けたことが、いまの緒方さんの骨格を形成したのだと思う。それは僕も同じで、20代は趣味も遊びも捨て仕事だけをやり続けて、そのときは辛かったが財産として今がある。

緒方さんに、そんなに厳しいところでよく10年も勤めましたね。とお聞きしたところ、「師匠に認められるまでは辞められない」と必死に食らいついて学んだそうだ。

その後は、師匠に連れられていろんなところで出張料理をしたり、今回も師匠から一緒にやらないかと声がかかったそうです。

いまどき根性論は時代に逆行していますが、20代は、牛で言えば骨を作り、内臓を作る段階。30代で肉を作り、40代で脂を作る。そんな感じでしょうか。僕は早くに独立しているので、失敗してもカバーしてくれる人もいないし、信用とお金を失う辛さも経験してきました。僕にもし師匠がいれば、もっと早くにいまの体制ができていたかも知れません。

働き改革で労働時間が制限されていますが、8時間労働で技術を習得したり、仕事を覚えることは、無制限に働くより大変だということをお偉いさん方は知らないのだろう。若者のなかには、もっと働きたい子もいるわけです。そういう子の芽を摘むような制度はいかがなものかと思う反面、長く仕事を続けるには、労働時間も休息も必要です。

選べるような制度があればいいのですが、20代は体力がいちばん漲っているときです。その時期に思いっきり働けないのは、職人が育たたないばかりか、国にとっても損失ではないだろうか。

20代で頑張った子とさぼってた子は、近い将来その差がでるでるのはあきらかです。AIの時代で世の中が大きく変化しても、僕が後世に残したい技術は人間の手からしか生まれないと思っています。

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