見出し画像

ギーク過ぎる原料解説HOP Vol.4 Ekuanot

前書き
私が選ぶワールドクラスホップベスト10の1つです。

かつてはEquinoxと呼ばれていました。

レモンやライムの柑橘類、パパイヤやリンゴなどの果物、ピーマンやハーブの香りと表現されることが多く、「なんのこっちゃ分からない」なんでもありの例えと、一貫性のなさに捉えどころがない感を醸し出しています。ホップの使い方が上手じゃないときの「ピーマン」感は確かに分かる気がします。収穫年差はありますが、状態の良いものはレモンラムネっぽい香りとモザイクやシムコーにも似たダンクなフレーバーが強く感じられました。最近使ったEkuanotはとっても状態が良かった。ハズレにも遭遇したことがなく安定性のある印象です。

基本
α酸 14.5-15.5%程度
総オイル 2.5-4ml/100g当たり
※結構高いスコアです!

歴 史
Ekuanot™(旧HBC 366)は、2014年にヤキマのホップスブリーディングカンパニーによって「Equinox」として商業的にリリースされました。2014年と言えば、僕がクラフトビールを本格的に好きになった年。当時、仙台に住んでいて、BrewDogから発売されたEquanotのシングルホップIPAをサイモンズバーと言うお店で樽生で飲んで、えらく感動したのを覚えています。そのお店は泡がとても綺麗なお店だった。今も続けているだろうか。話は戻り、その後、商標の問題のために名前が変更され、Equinox→Equanotになりました。血統については、Warriorと野生のホップにルーツを持つようです。毎度思いますが、野生との交配は奇跡を生みますよね。

経験則
前書きでも触れましたが、個人的にペレットの香りはレモンラムネ感。ちょっとモザイクに似た部分がある気がします。ワールプールでの使用感は爽やかな柑橘+ベリー感が現れると感じています。ドライホッピングでは柑橘の中でもキリっとした柑橘のフレーバーで、やはりレモン、ライム、そしてわずかにトロピカル(中でもパイン感)と、ベリーのフレーバーが感じられる。このホップに関しては、色々な表現で説明されるまさに「カメレオン」ホップと言えます。ブルワーや飲み手の皆さんも感じ方は人それぞれだと思います。だから面白いじゃないですか。

ホップの世界では、IPAという舞台で活躍できる素質のあるもの、ないものがあります。まさに、Equanotは超主役級で、なんならシングルでもIPAを完成させることのできる強いフレーバーを持っています。
逆に、良いホップであるものの主役級ではないホップもいくつか経験しました。
完全に主観なので聞き流す程度に受け止めて欲しいのですが、レモンドロップ、ヒュールメロン、ハラタウブランなどは期待していた強度を持ち合わせていなかったように思います。もちろん、IPAを作るうえではという前提条件なので、これらのホップが劣っているというわけではありませんので誤解のないように。腕が悪いから活かせないんだと言う方もいらっしゃると思います。おっしゃる通りだとも思いますが、言うなら自分でやってみろとも思います。これらのホップも別のスタイルでは多用しています。この話から何を伝えたいのかというと、世界のスターホップはそれだけフレーバーの強度が強く、ブルワーもこのポテンシャルに期待を寄せて、または頼ってIPAを作っています。また、ホップは個性とスタイルの相性が大事ということです。それぞれの存在価値があります。
ホント、ホップブリーダー様様なわけです。世界中のホップに携わる方々に本当に感謝を伝えたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?