IBUの舞台裏

クラフトビールに精通している方ならIBUがInternational Bitterness Unitsの略で、苦味の強さを表す尺度であるということまではご存知かもしれません。では、例えば「25 IBU」や「1000 IBU」とは何を計算したものなのか？ここまで説明できるあなたはビアギークです。

手短に説明すると「１IBUは１リットルの水またはビールに1 mgのイソアルファ酸が含まれる」ことを指しています。

しかしながら、この指標には問題点があります。

IBUを表記している多くのブルワリーの数字は実測値ではなく、あくまで計算値です。多くのブルワリーは科学的にビール中のイソアルファ酸を測定する高価なデバイスを持ち合わせていないのです。ブルワーにとって、この概算は意味を理解していれば幾分役に立つ指標となるのですが、飲み手の皆さんはもしかするとこの数字をあてにして、惑わされることもあるのではないかと日々憂いています。

予めお伝えしますが、IBUを批判する記事ではありません。曖昧で、信用のおけない数値ですが、私たち醸造士は目安としてこの計算に依存しています。飲み手の皆さんは、この数字について深く知る必要は全くありません。「IBUとは、あくまで計算上の指標で、正しいとは限らない。」ということだけ理解していただければ説明など不要なくらいです。

それでも、知的好奇心がうずうずしてる方はご一読ください。めちゃめちゃマニアックなので覚悟が必要です。細かい話が嫌いな人は、ここで辞めておきましょう。