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PTA広報紙おせっかいマニュアル〜 4. 役割とコミュニケーション

情報を共有する

 広報委員会は「PTA活動のジャーナリスト」だと思います。ジャーナリストというと、ニュースやワイドショーに登場する記者と思えばよいでしょう。

 広報委員は、PTA活動すべてにおいて専門家になる必要があります。

 うちの学校のPTAはどういった活動をしているのか?それはなぜか?またどういった課題をかかえているか?その原因は?などといったことについてのコメンテーターになることだと思っています。

 ですから、普段から、広報委員の全員が、PTA活動全体においての出来事はもちろん、問題について情報を共有することが必要だと思っています。

  委員長が持っている情報は、すべて委員全員で共有することが良いと思います。

 また、その情報について、さまざまな意見があることは良いと思います。

 その方針はいいね、という人もいれば、その方針に納得いかないな、ということはあって良いし、むしろ、ひとつの方針についてさまざまな意見が存在することが望ましいのです。

 ですが、情報そのものは共有することが大前提です。

 「この行事って結局PTAの懐に利益が入るんでしょ?」「6年生でPTA委員をやるのは大変なんですって?」といった噂があるとしたら、それは少なくとも広報委員はその情報が事実かデマかを確認する必要があります。

 紙面に記事として掲載するかどうかは、みなさんの判断ですが、少なくとも、広報委員全員は同じ情報を持っているということが重要です。

 ふだんから、風通しのよい情報共有をすること。

 これだけで、広報委員の仕事の半分はスムーズにいくと思いますし、ただし、これをやらないと、まったくスムーズにいかないことも増えると思います。ささいなことでも情報を共有することは長い期間のなかではとても重要だと考えます。

 また、PTAの活動全体の情報共有だけでなく、広報委員の活動内容をお互いに把握しておくことです。

 「明日はAさんとBさんが朝から取材だな」とか「来週はあの人とあの人が市役所に行くんだな」「月末までにあの人が記事をあげてくるな」という情報は全員で共有することです。

 そうでないと、委員長にすべての負担がまわってきます。ですから、常に誰が何をしているか、自分はいつまでに何をする予定かを常にアピールすること。これはとても大事なことなんです。

LINEグループを活用する

 ということで、そういった情報共有におすすめなのが、LINEグループです。

 実は私自身、個人的にはLINEというアプリが気に入らなくて使ったことはありませんでしたが、広報委員会を運営するにあたって委員のみなさんが全員普段から使っているということで、いやいや導入しました。

 しかし、実際に導入してみると、その使いやすさに驚きました。

 複数で情報共有をして、プロジェクトを進めるうえでは、メールよりも明らかに使いやすいという点と、「わりと主婦はスマホでのコミュニケーションに慣れている」という点、さらに、スマホとPCで連携できるという点がとてもよかったです。(さらにいうと、私はスマホでの文字入力が苦手なのでPCと連動できるのが大変良かったです。)

 LINEの会話は、流れてしまうので大事な情報も流れていってしまう、という問題もありますが、「ノート」「アルバム」「スケジュール」を使いこなすと良いと思いました。

 私たちはこれらの機能をつかい、大切な情報や記事は「ノート」に記入し、撮影した写真は「アルバム」で共有、取材や委員会などの予定は「スケジュール」を使いました。

 とくにこれを使って良かった点は、情報共有が頻繁に行われることで、誰かが忙しいときは誰かが手伝ったり、日中にお仕事の方も夜に情報を共有できたりします。

 こういうコミュニケーションを「非同期型」といいますが、各メンバーが都合の良いときに情報を共有できるため、全員で集まる回数を減らすことができます。

 ただし、大事な相談や議論、こみいった話は顔をあわせたときにしたほうが良いので、LINEグループでは議論よりも情報共有をメインとし、議論や意見交換にはなるべく全員が出席することが望ましいと思います。

揉め事があったらどうする?

 さて、広報に限らず、PTAが嫌がられる原因のひとつが「揉め事」です。

 まず、いろいろな考え方や生活スタイルがある人たちが集まるので、揉め事は避けて通れないと思います。

 いや、同じような価値観をもった人たちの集まりでも、揉め事は起こるものです。

 さらにいうと、プロのクリエイティブのプロジェクトでもだいたい揉め事が起こらないほうが珍しいです。

 これは私の持論ですが、まず、「揉め事が起こらないほうがおかしい」と思います。

 だから、揉め事は起こるものなので、揉め事が起こることでいちいち杞憂しないことをおすすめします。

 とはいえ、揉め事が起こるのは誰だっていやです。あまり気持ちの良いものではありません。

 たとえば、取材に行く回数、作業量の負担などが誰かに集中してしまったり、なかにはまったく作業に参加しない人もいる、こういった「公平」に関する不満が原因で揉め事が起こるというのが、いちばん多いのではないでしょうか。

 「私はこんなに作業をしているのに、あの人はぜんぜん協力もしないし、発言もしない」といったことは日常的に発生すると思います。

 ほんと、よくある話です。

 ただ、これを放っておくということではありません。杞憂しない、ということが大切です。

 そういった不満があった場合は、まず不満のある人の声に耳を傾けて話をきいてあげて、それに対する対策をしっかりと考えることです。何もしないのではなく、前向きに問題点に取り組み、前向きに解決策を見出すことです。

 また、自分自身が不満を抱えるのもよくないですね。不満があるときははっきりと表明するのが良いです。上にも書きましたが、揉め事を起こさないようにということではなく、いろいろとある不満は表明しても良いと思います。ただし、その場合、自分から解決策を提案すると良いでしょう。

 たとえば仕事や家庭の事情で平日の取材に行けない人がいる場合、それを不満としても仕方がないと思います。しかし、幸運なことに広報委員会は仕事がたくさんあるので、夜やおやすみの日にやっていただく仕事もたくさんありますから、それを割り当てればよいと思います。

夜や休日にできる仕事

  • 取材の音声起こし
    取材やインタビューは音声をスマホで録音し、録音したデータをみんなで共有し、その音声をテキストに起こす作業です。分担が可能です。

  • 文章のリライト
    誰かが書いた文章をリライトする作業です。第3者がリライトする方がより客観的な文章となります。

  • 文章のチェック(校正)
    誰かが書いた文章の文法を見直したり、固有名詞のチェックをします。

  • 企画やアイデアを考える
    広報紙に掲載する企画やアイデアを考えます。どんなくだらないことでも構いません。積極的に取り組んでみましょう。

  • キャッチコピーや見出しを考える
    これも積極的に取り組んでみましょう。キャッチコピーや見出しは、その記事の文章を読者が読みたくなるような、え?と思ったり、興味を持てるような目に留まるものが重要です。

  • 画像の修正を担当する
    最近はスマホのアプリでも写真を修正するものがたくさんあります。こういったアプリを使って、写真を明るくしたり、色味を暖かくしたりなどどんどん協力しましょう。

  • 台割をつくる
    これもぜひチャレンジしてみてください。手書きで書いたものをスマホで撮影してみなさんと議論しましょう。

  • イラストを描く
    手書きのイラストは紙面を優しくします。うまいとか下手とか関係なく、柔らかな手触りが感じられます。

  • デザインをつくる
    デザインは自分のペースで行える作業です。

  • 管理を行う
    みなさんのスケジュールの管理や、全体スケジュールの把握も重要な仕事です。また、撮影した写真の管理なども重要な作業です。

 などなど、いわゆる「考える仕事」がたくさんあります。

 ですから、平日に取材に行けない人には、こういったお仕事を割り振ると良いと思います。さらに、休日の行事、運動会などの撮影の分担を多めにしていただくとか、いろいろな分担が可能だと思います。

 こういうふうに、不満を言うのではなく、新しい仕事を割り振る、という形で協力しあえるのが、広報委員のいいところだと思います。(ほかの委員会ではなかなかこういう作業の分担体制ができません。)

 また、広報委員が相手にするのは、読者です。

 読者がどういう感想を持つか、そこが一番大切なことです。

 ですから、申し訳ないのですが、委員のなかで揉めてる場合ではありません。相手は読者です。本部でもなければ、学校でもない。ましてやコンクールでもありません。

 読者はもしかしたら、「私たちの共通の敵」とも言えます。敵の敵は味方ともいいます。

 読者に対してどう向き合うか、それを真剣に考えていれば、揉め事は自然となくなると思います。


 最後に、私の持論です。

 私たちは人の親です。子どもとっては大人です。

 ここで、「友だちでない人とどうやって仲良くするか」とか「苦手な人とどうやってうまく接するようにできるか」といった手本を見せてあげることも重要なことではないでしょうか。

 気の合う人と仲良くするのは誰でもできます。それは子どもの態度だと思います。むしろ、気の合わない、価値観の合わない相手と仲良くできるという能力こそ、勉強よりも学歴よりも、必要な大人の能力ではないかと思っています。

  とくに、私などは変わり者ですから、気の合うとか価値観の合うという人を探すほうが大変です。そんなことをしていたら、どんどん孤独が深くなっていきます。ですから、誰とでも仲良くできる能力が必要だったので、この点は非常に重要だと思っています。

 ただ、これはなかなか難しいことなのですが、でも、難しいからといって避けていては、むしろ、1年間を無駄に浪費してしまうことだと思っています。

 ですから、一人一人が、いかにこのテーマに取り組むかということが大人の態度だと思いますし、そして、その結果、それはうまくいかないかもしれませんが、チャレンジしたことは決して無駄にはならないと思いますし、失敗したとしても、失敗を得られたと考えればよいと思います。

 失敗を恐れず、難しいこと、苦手なことに挑戦できるのもPTA活動の醍醐味だと思っています。

 ただし、自分たちの手に負えないことも起こるかもしれません。

 しかし、考えてみてください。

 私たちは、子どものためにも、仲良くする努力を怠ってはいけないと思っています。

 いかに課題を解決するか、全員でそれに取り組むことは、子どものためにも良い手本となるべきだと思います。全員がそういう意識で取り組むことが大切です。

 なので、揉め事が起こったときにどうやって解決するか、そのお手本を見せてあげる、ということを全員で考えること。これがPTAらしい組織だと思いますし、とてもクリエイティブな作業、だと思います。

チーム分けについて

 とはいえ、きれいごとばかりではありません。やはりフルタイムでお仕事をする方にとっては、月に1回とはいえ、平日におやすみをとるだけでも難しいという方もいるでしょう。

 広報委員では、だいたい「取材チーム」「デザインチーム」という大きな役割がありますが、これと同じくらい重要な「校正チーム」というのを設けてみてはいかがでしょうか。

 「校正チーム」は「取材チーム」が書いた記事の誤字・脱字などをチェックしたり、リライトしたり、文字起こしをしたり、さらにはデザインのチェックをしたり、これだけでもかなりの作業量になると思います。また、日本語の表記の誤りやそういった部分もチェックするため、ちょっとお勉強が必要になると思います。

 なかなか忙しくて参加できない方どうしで「校正チーム」を結成すれば、揉め事の大部分は消滅するのではないか、と密かに期待しています。ご検討ください。 

おやつを持ち寄る

 さて、私たちは夏休みの8月以外はだいたい月に1度のペースで全員で集まって会議をしていました。そのときにはだいたいおやつを持ち寄りました。

 これも非常にクリエイティブです。

 どんなおやつをもちよろうか、と想像力をふくらませたりするのも楽しいですね。

 さらに、アイデアを考えるときには、甘いものが脳の働きを活性化しますから、そういう点でもおやつは重要です。また、どういうおやつのときにいいアイデアが出るか、なんてことを考えるのも楽しいです。

 あと、同時にBGMなんかも重要ですね。花を飾ったりなんてのもいいかもしれません。

 おやつと書きましたが、みなさんの打ち合わせを楽しく過ごせる工夫をしてみましょう。

GoogleドライブやOneDriveをつかう

 これを説明するだけで結構な紙面となりますし、また書いたところで、説明が難しいので、使い方というより、メリットだけを書きます。使い方はインターネットで検索してみてください。

 GoogleドライブやOneDriveは、インターネットにある「データの私書箱のような倉庫」です。また、その広報委員のメンバーだけがその倉庫に入れるようにしておきます。

 こういう倉庫があるだけで、

 ・データの受け渡し
 ・同じページの作業の分担
 ・その他のファイルの共有

 が可能になります。

 ですから、メールやLINEでやりとりしなくても、この倉庫にファイルを置いておけば、他のメンバーに渡すことができるのです。ポストにUSBメモリを投函したりしなくても安全ですし、何より楽です。

 また、この倉庫は、パソコンの設定によって、この倉庫と同じファイルを格納できる場所を作っておけば、勝手にインターネットが同期してくれます。

 つまり、自分はその倉庫のなかのファイルを更新したり、保存したりするだけで、パソコンがその倉庫の中身を勝手にアップデートしてくれるのです。

 ただし、この機能は使い方をしっかりと把握しないとならないですが、使い方によってはとても便利に使えます。

 この2年間、このサービスを使いましたが、おかげでかなり楽に共同作業ができました。

 また、LINEで会話しながら、お互いに作業内容をチェックできたりもします。

 パソコンが難しい、インターネットが難しい、またクラウドってよくわからん、という方にとって、理屈から考えるととても難しいのですが、実際に使ってみるととても便利で、本当に楽になりますから、ぜひとも導入してみてはいかがでしょうか。

 だって、自分の都合のよいとき、好きなときに作業できるのですから。

うっとうしいも広報の仕事

 LINEで情報共有して、揉め事もあるだろうし、いろいろな意見もあるでしょう。さらにGoogleドライブとか、OneDriveとか、覚えることも大変だし、、、、と気分が沈んでいるかもしれません。

 また、こういうやりとりが増えてくるわけですから、毎日のようにLINEの通知がやってきます。えらいことです。うっとおしいです。通知は切っておくか表示だけにしておいたほうが良いでしょう。

 しかし、これは大変申し訳ないのですが、やはり、情報共有や意見は大切ですし、むしろ、その情報共有を逃すことのほうがしんどいと思います。

 もう大変よ。となりますよね。

 しかし、これもやはり広報の仕事のひとつだと思います。

 情報共有だけしっかりとしておけば、自分のやることや分担もはっきりします。

 また、まわりを把握しておくだけで、自分の手が空いているときに、お手伝いができると思います。

 また、そういうことが信頼関係を築くことにつながっていきます。

 ですから、「うっとおしい」ということそのものは広報の仕事だと思って、ひとまず、1年間は我慢するしかないと思います。お互いに声をかけあい、はげましあうこと。これはうっとおしいかもしれませんけど、でも、相手にとってはありがたい一言になるかもしれません。

 こういうやりとりも、大人のたしなみとして身につけてみるか、ということを学べるという考えもアリではないでしょうか。

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