『後藤ちゃんを〇ませたい!』


※ぼっちざろっくの後藤ちゃんはエロ同人適性があるようで無いんじゃないかというネットミームを見て思いついたヤツなんですが、クソゴミカスパソコンのせいで書いたヤツ後半がぶっ飛んだのでここに放り投げます。未完作品です







「……、……」

 今は昔、七人の魔術師が集まって行う戦争があった。

 勝者には願望の実現機が与えられる。魔術師らは、その魔術の神髄を一つの形代に宿し、これを使い魔とし、各々の武装とした。

 一つの戦場に、七つの兵器。
 魔術師らの生涯を注ぎ込んだ兵器の衝突は、地平までを燃やし尽くす終末兵器であった。その昔、かの戦争はかくして、参加者の総意を以って永遠の終戦を約束された。

 願い一つのために世界を燃やし尽くすべきではない。
 いや、そうすべきなのかもしれないが、もっといいやり方は他にあるはずだ、と。

「……、……」

 ……次の世代。
 魔術師らは、形代を円卓上に提出し合った。

 戦闘行為を避けるための、それはいわば仮想戦争である。
 その始まりは、一人の或る魔術師だった。

 ――戦争前夜。
 その魔術師は宿敵たる他六名を呼び集めた。宿敵らは、自負を以って円卓の席に着いた。

 或る魔術師は、自らが用意した形代を卓上に乗せた。魔術師ら六名は、その場にて降伏を選んだ。

 それが一つ目のターニングポイント。これより戦争は一夜にて終戦する。
 血で血を洗う必要性を喪った闘争は、いつしか『討議』の体裁を得るに至る。そして、やがて二度目のターニングポイントに至る。

 果たして、誰がそれに気づいたのだろうか。それを最初に発言した人物の記録は存在しない。

 ただ、結果のみが残っている。
 曰く、――戦闘をしないなら、強さを追い求める必要はないのではないか? と。

 かくして魔術師らの一夜戦争は再び生まれ変わった。
 戦闘の代わりに頭脳を競った夜があった。芸術のセンスを、話の上手さを、調味の腕を、ギャンブルの巧拙を競った夜があって、

 今宵、魔術師らは【ソレ】を競うのだとか――。


「――諸君、よく集まってくれた」



 月の青が照らす密室。
 ガラス越しの庭園が寝静まる真夜中。

 そこには、世界の粋を極めた七人の魔術師がいた。
 彼らは円卓上に席を得て、それぞれが自由にくつろいでいる。

 夜色の室内において、月明かりは彼らの顔を照らすのに十分とは言えない。
 彼らの視線は闇にさえぎられ、『発言者』の所作のみが大仰に卓上で踊る。

 ――発言者。
 彼は一面の窓を背に、一身に月明かりを浴びている。

 彼は、動くたびに月影を躍らせるようにして、舞台役者みたいに語る。

「半世紀に一度の理論戦争だ。待ち焦がれていたからこそ、挨拶は不要だろう。
 ……だからこそこれも不要とは理解しているが、慣習だ。まずは今宵のルールを説明する」

 その通り。この場に野暮ったい挨拶を看過できる者は一人としていない。
 50年待たされた一夜である。それが目前にあるのだ。魔術師らの態度は紳士然としているが、そこに内包する狂気的な高揚は可視化せぬほどである。そしてそれは、語る男もまた然り。

 だから、説明は一言で済む。

「今宵の形代のテーマは、『後藤ひ〇りを最もスマートにエロ同人展開に持ち込める英霊』である。勝者には永世の願望の実現が約束されるだろう。では、――さぁ。始めようか」







『後藤ちゃんを孕ませたい!』








 この部屋には今、世界の窮極たる七人が集まっている。
 その一人は、――名を、近坂沖富という。

「勝ったぞ諸君。この戦い、私の勝利だ」

 そう言って彼は、卓上に触媒を乗せた。

 ――触媒。
 形代に使い魔を宿すための、英霊とのアクセスツールである。魔術師どもは、英霊に所縁ある一品を以ってこの世界に『無き魂』を再現する。それにあたって彼、近坂が用意したのは、

「なんだ、その汚いの」

「コレは、この世界で初めて脱皮した蛇の皮だよ」

 魔術師の問いに近坂は答えた。
 その言葉に周囲の六人は、――態度は示さない。これを近坂は、発言権を委ねられたものと受け取った。

「後藤を落とすにあたっても、この戦争の主軸は変わらない。諸君らもよく知っているだろう? この触媒で以って私は、――英雄王ギルガメッシュを呼び出す」

「英雄王?」

「ギルガメッシュ抒情詩にて語られる英雄の始祖だよ。分からないというとこは無いと思うが、どうしてもピンと来なかったらフェイトシリーズをやり給え。ゼロならアマプラで恐らくは無料で視聴できる。ついでに言うと今宵この席はフェイトゼロを見ていないとまるで意味が分からんと思うからそういうヤツはブラウザバックをすべきだろう。さぁ、どうかな? 私は彼を呼び、今宵の宴を終わらせる。私に勝ると自負する者がいるなら前に出給え」

「――なるほど」

 近坂の言葉を、最初の魔術師、……舞台役者のような所作で最初に語った男が受け取った。

「では、聞こう。英雄王ギルガメッシュは如何様にして後藤を落とす?」

「愚問だね。彼は世界最初のオラオラ系だ。女子は全員オラオラ系が好きだろう? 彼に落とせない男はいない」

「だそうだ。参加者諸君、意見があれば」

 その問いに魔術師の一人が言う。

「いや、相手は後藤だぞ? 強気にいったら粉末状になって周囲の人間の肺を犯すに決まってるだろ馬鹿か?」

「――なんだと?」

「なんだと? じゃねえよ七話みてねえのか? 却下だ却下」

「貴様こそ女心が分からないのか!? 世界最初のオラオラ系だぞ!?」

「いいから、下がれよ近坂。――もう、次の番で良いよな、司会さん?」

「ま、待ち給え!」

 なおも食い下がる近坂を、司会と呼ばれた魔術師が手で制した。

「発言し給え」

「よし来た」

 それを切っ掛けに、魔術師らの視線がその男に集まった。
 ――軽薄そうな表情。社会を舐め腐った子供の態度。彼は名を、マトゥー・慎一という。ハーフである。

「僕の持ってきた触媒は、これだ」

 言って彼は、乱雑にそれを卓上に投げた。
 それは、――本であった。

「な、なんだそれは――ッ!?」

「分からないか、近坂? 分からないならもっと近くで良く見てみろよ。ほら、表紙にタイトルが書いてあるぜ? 巻数もな」

「こ、――これは!?」

 近坂の声にならぬ苦悶に、マトゥーは答える。

「ブリーチの、52巻だ」

「!?」

 その一言で全てを理解した近坂が苦渋の表情を作る。
 それをマトゥーは嗜虐的に見て、蛇のように、獲物を刈り取るように近坂に言葉を吐く。

「僕が提案するのは月島秀九郎。――いわゆる、月島さんだ」

「月島、……だと!?」

「さんを付けろよデコ助野郎。説明するまでもないと思うが、月島さんは『過去に都合のいい事実を挟み込む』っていう過去改変能力を持つフルブリンガーだ。そもそもブリーチを読んだことないよってやつはブラウザバックするかジャンプ+を今すぐダウンロードしろ。さぁ、司会さん? ――僕はこいつを提案するぜ」

「良し」

 軽薄な言葉に、問われた魔術師は質量のない言葉を返した。
 無感情というわけではない。そこに無いのは責任感である。当然だ。司会を務める彼もまた、今宵の戦争の参加者である。

 一人が武器を晒したのだ。それも切れ味の良さそうな一級品を。
 これを、――愉しまずにどうする?

「では、聞こう。月島さんは如何様にして後藤を落とす?」

「決まってる。幼馴染だったってふうに過去改変するんだ。七話は見たか? 後藤は、家族となら作画崩壊せずに済むんだよ。なら、家族みたいな距離感の幼馴染なら? 一時期あの一護から織姫を寝取った月島さんに落とせない女はいない。これが僕の、――最適解の提案だよ、諸君。僕の勝ちだから帰っていいぞ」

 その回答に魔術師らがどよめいた。
 その感情の根幹にあるのは、――『納得』だ。

「ほら、オラオラ風情がどうやって後藤を異形化させずに口説くのか説明してみろよ近坂! ほらほらほら! どうやってオラつく!? 話しかけた時点で作画崩壊するのに! ギャハハハハ! その点月島さんは凄いよなぁ! 最初から好感度たっぷりなんだもんなぁ! 僕の月島さんは最強だァ!!!」

「――ひとつ、いいかしら?」

「あァ!? なんだよ!?」

 勝利を確信し高笑するマトゥーに、冷静な声。
 高揚の侭にあるマトゥーは苛立ちを込めて声の主を睨み、――その視線の怜悧さに射すくめられた。

「な、なんだよ。ロリンツフィール・ロリンツベルン……!?」

「あなたのプランには、後藤の自己評価の低さが計算に入っていないのではなくて? ……七話は見た? 後藤は、ある程度親密な仲の相手であっても前髪をかき上げられたら粉末になるわよ?」

「は、ハァ!? なにいっちゃってんの!?」

 ――ロリンツフィール・ロリンツベルン。

 白磁の肌に、白い衣装。雪の結晶を擬人化したような『童女』である。
 しかしながら、その表情に幼さは皆無だ。その視線は透明で、灰汁を射止める冷たさをしている。その目にマトゥーは、威勢を端から剥ぎ取られる。

「あなたの提案には穴があると言っているの、マトゥー・慎一。……この夜の議題を忘れた? 私たちが呼ぶべき英霊は、『後藤とエロ同人展開にできるヤツ』よ。月島さんはすごいけど、でもごめんなさいね。ぼ〇ちちゃんの乳を揉んでる想像が出来ない」

「な、なにを言っている!? 出来るだろ、想像! エロい顔してるじゃん月島さん!」

「そのイメージの中にいるぼ〇ちちゃんは、――まだ、ヒトの形をしているかしら?」

「な、なに……?」

「していないのではなくて? あまりの羞恥にツチノコへとフォルムチェンジしているのではなくて? お子様ね、マトゥー・慎一さん? レディーの扱いが、まるでなってないわ」

「な、なんだと!? この僕になんて態度だ! このメスガキ! エロい流し目しやがって! SもMもいける都合のいいキャラデザしやがって! じゃあ言ってみろよロリンツベルン! お前はッ、何を提案する!?」

「――ええ。いいわ。マナーのなってないヒトには、立場を判らせてあげないとね? さぁ、司会さん。私が用意した触媒はこれよ」

 言って、彼女が卓上に乗せたのは一枚の『軍手』であった。
 そして彼女は、その軍手に所縁ある英霊の名を呼ぶ。

「私は、――死柄木弔を召喚する」

「では、聞こう。死柄木弔は如何様にして後藤を落とす?」


「簡単なハナシだわ。――いっしょに堕落する。地獄のそこまでね。そうすれば、羞恥心なんてあってないようなモノでしょう?」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?