水民マガジン  平泳ぎ篇 2/3 腕のかきの話し

平泳ぎの腕のかきは まず できるだけ前で腕を左右に広げることから始まり あごの前で手をそろえることで終わる
つまり 平泳ぎの腕のかきによる推進距離は 大きく見積もっても 指先から肘までの長さしかないのである
ここが 他の3つの種目の推進距離が 前にのばした手の指先から 大腿までと非常に長いのに対する欠点だと思われるし 実際 4種目の中では 平泳ぎが1番遅い泳ぎである
しかしながら 瞬間的な移動スピードは 4種目の中では1番速いらしい

では 腕のかきを解説してみよう
水面に浮いた状態から 手を左右に広げる
若い頃に 聞いた説明では この局面を
アウトワード・プレス という
このプレスというのが わたしは重要だと考え 手のひらで圧をかけるのだが 同時にこの局面で 重心を前に置く
次に 手のひらを内側に向け 肘を支点にして内側にスライドしていく
これをインワード・スカルという
泳者の前に 行く手を遮るようにアクリル板を沈めたとしょう そのアクリル板の 反対側を 肘を支点にしたワイパーの動きで外から内側に向かって撫でる 手のひらの小指側をアクリルに滑らせる この時 スカーリングの原理だと アクリルの面に対し滑らせる角度は 40度である
これにより 前方に向かう揚力が発生するが アクリルの角度は こする面がやや上を向くので 同時に浮力も発生する つまり体が持ち上がる
この体の持ち上がりを使って呼吸を入れる
この時の腕を内側にかき込む動きがインワード・スカルつまり 内側にスカーリングをする動きである
左右の手が あごの前でそろったところで 肘を内側に素早く寄せる
つまり脇をしめる
肘は 形状抵抗を少なくするため 体の幅より内側に収めるが 次の瞬間 速やかに手を前に突き出す
実際 手を突き出すタイミングでキックが入るので 平泳ぎのリカバリーは ただの抵抗を伴う腕の戻し動作ではなく それ自体 重心移動のきっかけをつくり推進力を生みだすものだと思う
こうした発想とタイミングでリカバリーをしないと 腕の戻しは推進力にブレーキをかけるだけのものになりかねないし 推進距離が短い というデメリットをカバーできない
インワード・スカルの後半は 加速的でなければならないのだが それを担保するのは スカーリング動作が終了した瞬間の脇の絞り込みと さらにその後の腕の突き出しなのである
つまり この一連の動作を素早く行なう事で
腕のかき込みが加速的に速くなる
この突き出しは ピンホールに飛び込む イメージである 
このリカバリー動作を 『飛び込み』と表現した文章を どこかでみたことがあるが 気持ちはわかる
まさに キックとのタイミングといい 飛び込みだからだ

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