水民マガジン 水泳 バタフライの身体の使い方を少し詳しく

クロール 背泳ぎは サイドからサイドの切り返しだが バタフライ 平泳ぎは 直線に近いウエーブである
バタフライの推進力は 2つの局面で生み出される
第1キックの重心移動と 第2キックに伴う手のプッシュ動作である

バタフライは 1ストロークの間に 2回のキックが入る
ウエーブのボトム(底)で第1キック ウエーブの頂点で 第2キックである
第1キックで 一番深い位置になるのは 胸である
一方 ヒップの位置は 水面より上である
メアリー・マーハーのコーチは『ヒップで水面を破る』という表現をしていた(古い話でごめんなさい)
したがって 姿勢はS字の形で 胸とヒップの高低差が 重心移動による推進力を担保していると思う
手の位置は 水面近くにあったほうが良いと考える
手が水面近くで保たれていて 胸を深く沈めると 肩の前部をストレッチするような状態になる
この筋肉の伸びを伸張反射につなげて 何かできるのではないか と思う
この時の 上体の沈み込み深さは 肩の可動域が決定する
つまり 肩が柔軟であれば 深く沈み そうでなければ 沈み込みは浅くなる
伸張反射 という観点からすれば 肩の柔軟性が高い場合は 伸張反射が生じるポイントが かなり深い位置になるし 逆に柔軟性がないと 伸張反射は 上体の沈み込みが浅い位置で発生する
結論としては 肩が柔らかいのに越したことはないけど 硬いからといって 悲観することはないよ という事である

上体の沈み込みに伴い 肘を水面付近に保ち テコの形で 手のひらで水を下に圧す この段階で ハイエルボーの形になる 
筋肉の動きは 手のひらの面で水をおさえる 前腕筋の動きから 肘を支点にして 手のひらから肘の面までを使って水を捉える上腕筋の動きへと連携する
これがプルである
プルは ハイエルボー(肘をジョイントにして 上腕と前腕が直角になる)の形で終了する 
プルは それ自体で大きな加速をもたらすとは思えないのだが 第1キックと重心移動による加速を継続させるか やや増加させる
ので 第3の推進力と言えるかも知れない

この後 プッシュの動作に移行していくが プッシュは水を後ろに押す(プッシュ)のでではなく 身体を前に押し出す(プッシュ)のである 
首の高さのプールサイドに上がる事を想定してみよう
まず 手で地面を押さえる これは 体重を支えるので 体重に耐えるように力を入れなければならない 
プールの底を蹴り 飛び上がるタイミングで 手で地面を押す
この 手で地面を押しながら プールの底を蹴るタイミングは 第2キックとプッシュのタイミングに等しい
さらに言うと 飛び上がる前に 腰を後ろに引いてためを作り 反動をつけると これは 第1キックの役割になる
 
このように バタフライの身体の使い方は プールサイドに飛び上がる動作に似ている
大きな違いは バタフライが水平の動作であるという事と プールサイドの地面が 液体ではなく固体である という事だ

初心者は 体を上に持ち上げようとして 水を下に押してしまう しかし 効率の良いかきをするなら 体の前面を基準にするならば 水を前から後ろに 長く押すのが 推進距離も長くなるので 水平に近い姿勢が理想的だ

リカバリーをするためには 少なくとも肩が水面上になければならない
ストローク効率を担保するためには 身体は水平でなければならない
これら2つを満足させるには 
身体の上下動を 姿勢の変化で行う
というのをやる必要がある
第1キックの姿勢は S字だが 第2キックの姿勢は 背筋を伸ばし 水面を滑るような姿勢になる
呼吸をしない時は 顔を水面に残し 呼吸をする時は 顔を起こして 顎で水を切るような形になる
呼吸をしない時もする時も 身体の動きはほぼ変わらない 違いは 顔を『のこす』か『おこす』
『の』か『お』の違いである
これを 成人クラスのレッスンで言うと やや受けする
リカバリーは 腕を指の先まで完全に広げて そこからふっと力を抜いて 肘でぶら下げる感じだ
肩甲骨を中心に向かって回転させる感じで 腕を運ぶ





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