ディズニー映画全部見る7・三人の騎士

三人の騎士/The Three Caballeros(1944・72分)

 シリーズ7作目も短編集です。7作のアニメ実写入り混じった短編から構成されており、6作目『ラテン・アメリカの旅』の続編にあたります。ドナルドの友人、雄鶏のパンチートの初登場作品。メキシカンなカウボーイファッションの彼はバカボンの本官さん並みに銃を乱射してくれるファンキーなキャラクターです。

 アヒルのドナルド、オウムのホセ・キャリオカ、雄鶏のパンチートの鳥トリオで三人の騎士。おいらカバレロ、3人カバレロと陽気に自己紹介してくれます。カバレロはもちろん、スペイン語で騎士の事。パークでもたまに3人揃って姿を見せてくれます。今は無いアトラクションですが、ミッキーマウスレビューでは3人のオーディオアニマトロニクスが仲良く歌う姿を見る事ができました。

 さて、あらすじです。ある日、ドナルドの元に3つの誕生日プレゼントが届きました。大喜びのドナルドはさっそく包みを開けていきます。1つ目のプレゼントは映写機。「AVES RARAS」スペイン語で珍しい鳥というタイトルのムービーがドナルドのに様々な鳥の物語を紹介してくれます。

・さむがりやのペンギン パブロ

 南米大陸よりも更に南、南極に住むペンギンのパブロは寒いのが何より苦手、ストーブがお友達です。鳥達の楽園ガラパゴスへの移住を決意するパブロですが、行く先は前途多難。ストーブの側を離れた途端に凍り付いてしまう有様です。ストーブを背負ってみたり、大量の湯たんぽを装備してみたりしますが、上手くいきません。徒歩の旅を諦め、船旅を選択するパブロ。家の周りの氷ごと切り出し、帆をつけて即席の船にしたら出発です。霧や嵐のトラブルに見舞われるも、何とかガラパゴスに到着できたパブロ。憧れの南国暮らしを満喫します。たまに故郷の南極が懐かしくなるけどね。

 次に流れる映像は今度こそ南米の鳥達を紹介してくれます。中でも一番珍しいのはアラクワン。不思議な声で歌ってくれます。後の映画でもドナルドと共演してくれる準主役です。

 お次は珍しい鳥というより、羽の生えた空飛ぶロバのお話です。

・空飛ぶロバ

 ウルグアイのカウボーイ、ガウチョの少年は獲物を捕まえに険しい崖に登ります。そこで見つけたのは空飛ぶロバ。ロバと仲良くなった少年は競馬に出て大金を得ようと画策します。羽を隠し、ただのロバとしてエントリーする1人と1匹。周りの騎手や観客は大笑い。ただのちびっこガウチョと子供のロバにしか見えないしね。出だしこそ遅れたものの、空を飛び始めたらロバの独壇場。見事1位を獲得しますが、少年が賞金を受け取ろうとしたらロバは少年を乗せたままフラフラと飛んでいってしまうのでした。

 2つ目のプレゼントは本です。中に挟まれたポップアップカードからホセ・キャリオカ登場。ドナルドをバイーアに誘います。可愛い女の子、柔らかな海風、楽しいサンバ、最高の街だと。

・バイーア

 ホセの誘いに乗り、バイーアを訪れるドナルド。ディズニー長編映画では初めての実写とアニメの融合作品です。バイーアのお菓子売りの女の子に一目惚れしてしまうドナルド。恋人のデイジーはどうしたとばかりに熱烈なアプローチをしますが、まったく相手にされません。それでもバイーアの住人と楽しくダンスをし、盛り上がるのでした。

 バイーアから帰り、思い出に耽る二人。ファンタジアのサウンドトラック君を思わせる背景と共に音楽に合わせて踊っていると、いつの間にかメキシコの友人パンチートがやってきました。お揃いのソンブレロをかぶって三人の騎士結成です。

 3つ目のプレゼントはパンチートから贈られたくす玉、ピニャータ。目隠しをしたら叩き壊して中のプレゼントを取り出そう。あつまれどうぶつの森の誕生日イベントでやるアレですね。1940年代のメキシコではクリスマスの行事としてが主流のようです。

・ラス・ポサーダス

 メキシコの子供達がクリスマス前の9日間に聖母マリアとヨセフのナザレからベツレヘムへの旅を再現して宿探しをします。ようやく迎え入れてもらったお家でピニャータを割ってクリスマスのお祝い。良かったね。

 ドナルドのピニャータに入っていたプレゼントはたくさんのメキシコ土産にアルバム、空飛ぶ魔法の絨毯でした。パンチートはメキシコ土産の1つ国旗を手にメキシコの歴史を語ってくれます。何百年も昔、アステカの神様が命令しました。大きなワシがヘビを滅ぼしている場所に街をつくれと。ところがそのワシは湖のど真ん中にある岩の上のサボテンにとまっていたのでした。こんな所に街をつくるなんて無理じゃない?でもやるしかない!地道に湖を埋め立てて、メキシコシティは生まれたのでした。

・メキシコ~パツクアロ、ベラクルス、アカプルコ

 パンチートからの贈り物、空飛ぶ魔法の絨毯に乗って3人はアルバムの中に飛び込みメキシコの各都市を観光して回ります。こちらもアニメと実写の合成作です。水着の女の子たち(実写)がシーツをトランポリン代わりにドナルド飛び跳ねさせるシーンが圧巻。80年近く前のアニメだとは思えません。各地で可愛い女の子をナンパして回るドナルド。真面目なミッキーとはまた違った友達と一緒にいると気分も変わってくるのでしょうね。

・You Belong To My Heart

 絨毯の旅から戻り、アルバムでメキシコの夜景を眺める3人。夜景をバックに歌う美しい女性にドナルドはまた夢中になるのでした。前作のラテン・アメリカの旅からここまでディズニー特有の幻覚シーンが無いからでしょうか。我慢の限界とばかりに突如サイケなアニメーションが展開されます。お花やイルミネーションのタッチがイッツアスモールワールドに似てますね。

・ドナルドの白昼夢

 メキシコ美女とのキスを目論むドナルド。度々、ホセとパンチートに邪魔されます。恋人のデイジーがいるのに他の女の子とチューしようとするなよという話なんですが。美女を追いかけ荒野に迷い込んでサボテンと踊ったりしつつ、最終的に悪友二人にハリボテの闘牛に爆竹と共に突っ込まれてしまいます。友達は選ぼう。

その他小ネタ

・パンチートの吹替声優はピッコロ(マジュニア)

 雄鶏パンチートの吹替は古川登志夫です。うる星やつらの諸星あたる役としても有名ですね。三人の騎士はドナルド役:山寺宏一、ホセ役:中尾隆聖と声優がめちゃめちゃ豪華です。

関連作品

・ラテン・アメリカの旅

 ディズニー長編アニメの6作目。4つの短編アニメのオムニバスです。今作『三人の騎士』の前作にあたります。ホセ・キャリオカが初登場。パンチートは登場しません。詳細は1つ前の記事でどうぞ。

・メロディ・タイム(サンバは楽し)

 ディズニー長編アニメの10作目。7つの短編アニメのオムニバスです。そのうちの1作『サンバは楽し』にドナルド、ホセ、アラクワンが登場します。メロディ・タイムも今後感想記事を書きます。

 楽しくメキシコ文化が学べる今作、私も今回が初視聴でした。ディズニープラス以外での視聴機会はほぼ無いと言える作品でしょう。実は2021年時点で13作目の『ふしぎの国のアリス』までパブリック・ドメイン化されているので元の英語音声なら多くの動画配信サイトで視聴可能です。基本ミュージカルだし、子供向けなので英語わからなくても内容は把握できます。ただやはり一度は吹替版を楽しみたいのであればディズニープラス加入をお勧めします。

以上、三人の騎士でした。次はメイク・マイン・ミュージックについて書きます!

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