見出し画像

自作小説にきた、とっても嬉しいが返信に困った感想。

 2023年に「レニ&リオ ~皇国の女帝ですが夫の寵姫(男の娘)を好きになったので、帝位を捨てて二人で駆け落ちしました~」という小説を書いた。

https://ncode.syosetu.com/n3229id/(なろう)

https://kakuyomu.jp/works/16816700428056291418 (カクヨム)

*タイトル通り、元女帝の女の子と女の子の夫の寵姫が、両片思い状態で旅をする話。もし良かったら読んで下さい。

 感想はよっぽど筋違いなものでなければ「もらえるだけで嬉しい! 大感謝!」であるがこれはその中でもとりわけ嬉しかった。
 まあ内容はリオに滅茶苦茶切れているものなんだけれど。

「レニ&リオ」は性規範を逆転させて抑圧させている話なので、女の子であるレニは「力ある者」としてひたすら責任(主体)を背負わされ、男であるリオは「性的魅力で判断されるモノ」としてひたすら周りから性的なもの(客体)として扱われている。
 旅の中で出会う男キャラのほとんどはリオに性的関心を抱くし(恋か欲望かは問わず)、レニは「お前は強いから責任がある。だからお前が何とかしろ」と言われ続けるという縛りを設けていた。
 やりすぎかなと思ったけれど、せっかくだしやりたいようにやってみた。

 中身は「女性なのに強い」わけでもなく「男だけど守られたい」わけではない。
 いわゆる「ごく普通の感覚の男女」が、外見や能力によって測られ、その測られたものから押し付けられた規範によって抑圧されるとどうなるかをやってみたかった。

 なので中身は、レニは「初めての恋に浮かれている普通の女の子」にし、リオは「好きな女の子の前では恰好をつけたい普通の男」に設定した。そのほうが抑圧されるキツさが出るのではないかと思ったのだ。
 自分は「他の男から女(庇護者、無能力者)として扱われる状況に甘んじなければならない男(特に好きな女の子の前で)」というシチュエーションが大好きなのだが、こういうのも「内面が男らしければ男らしいほど効く」と思う。

「レニ&リオ」の前に書いた「昼想夜夢」という話は、「何でも自分で主体的に決めて責任を負う妻」と「そんな妻を陰から支えて癒したい夫」の話で、単に性別が逆転しているだけで中身とのギャップによる抑圧のキツさはない。(この話の夫側である夕星は、「無能力者」扱いされても余り気にしない)
 中身もそろえると構図が同じになってしまうなと思ったので、レニは思いっきり「恋愛脳の女の子」にしてみた。
 女子同士の恋愛トークは書いていて楽しかったなと懐かしく思い出す。

 もらった感想はそこが不満でリオに苛立っている内容だった。つまりこの構図を読み取ってくれた上での感想だった。
 元々は自分の脳内にしかいなかった「リオ」というキャラにこういう風にムカつく人がいる(キャラが、他人の頭の中に生身として存在した)ことも凄く嬉しかった。

「読んでくれて嬉しい、ありがとうございます」以上の反応はないのだけれど、これだけだと素っ気なくて怒っているみたいだろうか。
 かと言って「自分はそこについてはこういう考え方でして」というのも……お題についての意見でも討論でもなく、創作だしな、どう読んでどう感じるかは読む人の自由だし……などと色々考えてしまった。

 その結果。
 たぶんリオにひと言物申したかっただけで、特に自分からの反応は求めていないのではないか、という結論に落ち着いた。

 きちんと読んでくれた上での感想は、ポジティブなものももちろん凄く嬉しいし、一見ネガティブなものでも凄く嬉しい。
 逆に互助狙いみたいな「本当に読んでくれたのかな」と思うようなコメントは、どれだけポジティブな内容でももらうとへこむ。
 自分にとっては、読まないで何かしてくれる人よりも、「興味がある」という気持ちだけでただ読んでくれる人のほうがずっと大事だ。(感想をくれるかたにはさらに感謝している)
 これは創作に限らず、noteでもブログでもずっとそのつもりでやってきたし、これからも変わらないと思う。

 今年もまた疑似百合を一作書こうと思って、少しずつ書き進めている。
 完成したら、趣味が合いそうなかたは読んでもらえると嬉しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?