『吾輩は歌詞である』後編


殻に閉じこもって、明るい世界から遮断された中、誰かが呼んでいる声が聞こえる。


???「起きなさい。これ、起きるのじゃ!」
僕「・・・」
???「これ!起きろと言うのに・・・!!」
僕「・・・・・・」
???「・・・目を覚まして。」
僕「ハッ⁉」
???「やっと目を覚ましたか・・・これ、それはシーカーストーンじゃない!ボムとか出せないし、それはお前のアルミっぽい筆箱じゃ!」
僕「・・・テロテロテロリーン」
???「ボムで壁壊したのが正解!じゃない!そんな唐突に伝説なんて始まらないから!」
僕「じゃいい」
???「待て待て、寝るでない、起きて私を見なさい、見なさいって・・・」
僕「・・・」
???「・・・森と生き森が死ぬときはともにほろびる」
僕「あの子を解きはなて!あの子は人間だぞ!」
???「だまれ、小僧!・・・起きてたのか?」
僕「ありがとう。サンとシシ神さまのおかげだ」
???「待て待て待て。どこへ行くつもりだ。戻ってきなさい。」
僕「サンにこれをわたしてくれ、行こ・・・」
???「サンとかいないから。お前にサンは待っていないから。アルミっぽい筆箱とか渡されても困るから!」
僕「じゃあなんだよ!てか誰だよあんた!」


???「フ、フ、フッ、やっと起きたな。吾輩はな、かしじゃ。」
僕「かし?」
かし「そう!吾輩は歌詞である。歌詞と言うのは、色々な曲があるだろ?バラード、ロックとか。そうゆう曲にのせて歌うのに必要なのが歌詞じゃ。」
僕「ああ、歌詞ね。それで歌詞が僕になんの用だよ。」
歌詞「実を言うと、吾輩にはまだ名前がない。とんと生まれて、ひょんとこの世に出たもんだから、名前が無いのじゃ。人間様はこの世に生まれた子に意味を成そうとするじゃろ?例えば太郎であれば『太く、逞しい男であれ』と。
僕「まぁ、確かに名前に意味を持たせるなぁ」
歌詞「だろ?良子であれば『器量良く、いいこであれ』と。」
僕「節子は?」
歌詞「節目、節目で皆に祝われて欲しいと。」
僕「清太は?」
歌詞「清く、太く、逞しい男であれと。」
僕「にいちゃ・・・」
歌詞「好きだなぁ⁉金曜ロードショー!!頭の中『今週の長編アニメ2本立て!』でいっぱいだぁ!離れて!話が続かない!」
僕「好きなもんで」

歌詞「だからな、吾輩にはまだ名前がないから、人間様から吾輩に名を示してくれないかっていう話。」
僕「人間様って・・・僕⁉」
歌詞「そうじゃ。お前さんの書いた歌詞から生まれたのじゃから、ちゃんと名前をつけてくれ。」
僕「僕が⁉って、僕の歌詞なの⁉いやいやいや、名前って言っても『吾輩は歌詞である』って書いて・・・それじゃダメなの?」
歌詞「歌詞は歌詞だが。なんの歌詞なのか、どんな歌詞なのか、まるで分らない。これでは歌詞ではなく、ただの言葉、つまりはポエムじゃ」
僕「ぽ、ポエムなんかじゃない!」
歌詞「だからこそ、吾輩に名を示して、意味を持たせてくれまいか。」
僕「えーっ・・・ど、どうすれば・・・」
歌詞「焦らなくてもよい、まずは・・・そうだな、ロックな名はどうじゃ?」
僕「吾輩の名は小暮・・・」
歌詞「まさかのデーモン。てか世を忍ぶ仮の名の方で呼ぶ?」
僕「君をのせて。」
歌詞「急なロック感ゼロ。」
僕「君の名は」
歌詞「だから金曜ロードショーから離れて・・・」


こうして、僕の作った歌詞からの頼みで、僕の作った歌詞の名前を決める物語が始まったのだ。


『吾輩は歌詞である』

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