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忍法牛丼屋入り

まさに今日あった出来事。
牛丼屋に入りました。
僕が入ったのとは違う入口から大学生らしき三人も入店しました。
大学生たちはテーブル席へ、僕はカウンターに座りました。
お客さんはこの二組だけ。
愛想の悪い女性店員はスグに水の入ったコップを三つ持ってテーブル席へと向かいました。
そして。
その後、厨房の店員と談笑。
僕は振り向き、厨房を睨みつけ「僕もいますよアピール」。
若干目が合ったのではないかと思うほど女性店員の顔の向きはカウンター方向へ。
「すみません」と手を挙げる大学生。
オーダーを聞きに行く女性店員。
ほぼ立ち上がり厨房を覗き込む僕。
正面を向いているのに全く気づかない厨房内のメガネ店員。
オーダーを聞き終わり、厨房に戻る店員。
ピンポン!
他のお客さんが入店。
僕の向かいのカウンター席に座るその客。
何かに気づいたように慌てて水の入ったコップを持ってくる店員。
やれやれ、と思う僕。
向かいのお客さんにコップを差し出す店員。
ここでキレてそっと退店する僕。
そこでなぜか気づき、「ありがとうございます…ん?」となる店員。
いや、あんだけ気づかんねやったら最後も気づくなよ。
と思いつつ、いや、これは俺が悪いんだ、と思い直しました。
こういうことって多々あるんです。
ありますよね?
僕だけ?
なぜかね、人間って気づいてほしいときは気づかれないんです。
逆に気づかれたくなくて気配を消している時に限って気づかれる。
だから、気づかれたくないときは逆に「気づいてくれ!」と本気で思えばいいんです。
そして気づかれたいときは逆に徹底的にこそこそする。
嘘みたいな話ですがこれは意外に真理かもしれない。
テレビつけっぱなしにしてて急に静かになったら逆に注目してしまうことありません?
まさにこれなんですよね。
おそらくこういった人間の習性を利用したのが忍者だと思うんです。
忍者って今のマジシャンに通じる部分あったと思うんですよね。
うまく騙す感じ。
後輩のマジシャンにマジックの種あかしをしてもらったことがあるんですが、実に単純だったりするんですよね。
ちょっと手を叩くだけでそっちを見てしまって、その間にカードをすり替えたりできるんだそうです。
だから、忍者が煙幕で消えるやつとかありますけど、あれって実はめちゃくちゃ近くにいたりするんでしょうね。
ピッタリ真後ろにいる、とか、ピッタリ影と同化してる、とか、実は真下にいる、とかね。
いや、真下はさすがに気づくか。
じゃあ、あれですね、今日僕は牛丼屋に入るや否や女性店員の真下に潜り込めばよかったんですね。
今度からそうします。
……怒られませんよね?

では、また。

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