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【バチバチ最終回】臼田勝美「ありがとうバトラーツ」⑥

藤原組、バトラーツなどで活躍した臼田勝美インタビューシリーズ最終回です!(聞き手/ジャン斉藤)

臼田勝美インタビュー「念願のデビュー前に藤原組をやめたのは……」
正道会館と藤原組退団■臼田勝美インタビュー②
【青春と金】格闘探偵団バトラーツの悲しき思い出……■臼田勝美インタビュー③
バトラーツはこうして潰れた■臼田勝美インタビュー④
ゼロワン、WJ、ビッグマウス・ラウドの浜辺■臼田勝美インタビュー⑤

臼田勝美インタビューシリーズ


――表向きはビッグマウス・ラウド所属になった臼田さんですけど、その居心地はどうだったんですか?

臼田 全然悪くはなかったですね。藤原(喜明)さんが俺のことを推薦してくれたこともあったし。あと前田(日明)さんが船木(誠勝)さんを連れてきたじゃないですか。

――スーパーバイザーだった前田さんが現役復帰前の船木さんは連れてきて。「スーパーUWF」構想がありましたよね。

臼田 そこで11年ぶりくらいに船木さんと会えて。藤原組以来ですよね。そういうこともあったり、居心地的にはあんまり悪い気はしなかったです。

――ビッグマウス・ラウドを立ち上げた上井(文彦)さんはどういう方でした?

臼田 上井さんは正直ながら、そんなに関わりは……ただ、上井さんはマッチメーカーとして自分みたいな選手がいたほうがやりやすいと思うから、気を使ってくれてましたよね。

――途中で前田さんが離脱したじゃないですか。何か影響がありました?

臼田 うーん、どうなんですかね。

――離脱の原因は前回のインタビューで振り返りましたが、のちに前田さんと上井さんと金銭トラブルが発覚しました。そのへんはご存知でした?

臼田 俺は全然知らないんですけど……この業界ではよくある話です。俺が島田(裕二)さんに対して感情的なものがあったように(笑)。

――ハハハハハハハハ!

臼田 背広組とリングに上がる選手のすれ違いみたいなものですよね。前田さんはいちおうプロデューサーという立場だけども、選手を経験した側だから。自分たちに近いところがあると思うんですけど、上井さんは完全に背広組なので。前田さんは自分的にはスーパーヒーローだったし、その人と同じ団体でやれる嬉しさがあったから、いなくなるのはちょっと寂しいなという思いはありました。でも、そのあとを考えると、前田さんが抜けたことによって鈴木(みのる)さんが参戦しやすくなったり……。

――U系の人間関係がまだ殺伐としていたんですねぇ。

臼田 やっぱりまだ血気盛んな時期だから。いまなら「あの頃はいろいろあったけど、あれはあれで面白かったよな」みたいな話もできるとは思うんですけど、まだそういう雰囲気じゃなかったってことですよね。

――船木さんに続いて鈴木さんと再会できたわけですけど、臼田さんがいったん藤原組をやめたのは鈴木さんのかわいがりが……。

臼田 そうですね(笑)。鈴木さんと会うのも11年ぶりくらいですけど、俺的には正直あんまりいい印象はなくて。「あまり会いたくないな」と思いながら、自分の所属している団体のゲストなわけだし、大先輩だし。自分から挨拶にしないとなと思って鈴木さんの控室に行ったんですけど。そうしたら鈴木さんは昔と全然違ってて。「お久しぶりです」「雑誌とかではいろいろ拝見してるんで、よろしくお願いします」と堅い感じで挨拶されたんです。

――昔の悪ガキ感はなかったんですね。

臼田 そのあとに試合前のリングでウォーミングアップしてるときに、鈴木さんのほうから「ウッシー、ちょっと軽くレスリングをやろう」と声をかけてもらって。軽いわりには1時間くらいやったんですけどね(笑)。終わったあとに握手をして「なんとなくウッシーっぽい感じは変わってないな。また今度一緒に練習しよう」と。昔の鈴木さんとは違いましたね。

――トラブルが多かったビッグマウス・ラウドで藤原組の過去が精算されたのはいい話です!

臼田 そういう意味では、自分にとってはビッグマウス・ラウドは居心地のいいリングだったのかなって。

――新日本を離脱してビッグマウス・ラウドに参加した柴田勝頼さんはどんなレスラーでした?

臼田 柴田くんは新日本のヤングライオンだった頃に話す機会があって。自分が2000年のスーパージュニアに参戦したとき、試合前の合同練習が終わったあとに柴田くんが「空手の蹴り・突きと、キックボクシングのパンチとキック、やっぱり間合いや距離感とか違うんですか?」って質問してきたんです。空手の突きは顔面はないし、キックのパンチとは間合いが違ってくるよね」なんて話をして。他の新日本の選手とは感性が違うなって印象がありますね。

――ビッグマウス・ラウドは1年半ちょっとで活動停止になりますが、きっかけは村上さんと上井さんのあいだのトラブル。そのへんはどういう風に聞いてるんですか?

臼田 自分と原学(元バトラーツ)は何も聞いてなくて……村上さんや柴田くんはその経緯を当然、知っていると思うんですよね。「次の大会で終わりかな」ってわかってたと思うんですけど、俺はまったく知らなかったんです(笑)。最後の興行、2006年8月20日の後楽園ホールから終わった次の日ぐらいに当時のビッグマウス・ラウドの専務から電話だったのかな。「村上社長がスポーツ新聞ですべてを告白します」と。

――そうか、ビッグマウス・ラウドは上井さんが立ち上げたけど、社長は村上さんでしたね。

臼田 村上社長が上井さんのことをスポーツ新聞でしゃべるからみたいな話を聞かされて。実際の記事を読んで「そういうことがあったんだ」という感じです。

――不協和音はまったく?

臼田 よくわかってなかったですね。ただ、最後の大会に新日本の永田(裕志)さんが村上さんのパートナー「X」として出場したんですよね。相手は鈴木さんと高山(善廣)さんだったかな。試合が終わったら永田さんがマイクで「村上、このリングを潰すんじゃないぞ! 俺はいつでも上がってもいい」みたいにアピールして。このときの試合映像をDVDで見ると、永田さんのマイクのときの村上さん、目真っ赤なんですよ。そのあと控室で村上さんが男泣きしてる姿も見ちゃったんですよね……。

――村上さんのインタビューによると「ビッグマウス・ラウドに入るべきお金が入ってこない。要は上井がお金を入れない」「ボクは給料をもらわないでやってました」と。のちに民事裁判で上井さんを訴えて勝ったみたいですけど、ビッグマウス・ラウド末期は精神的に追い詰められていて。

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