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斎藤裕「次の試合で終わるかもしれないという緊張感、危機感はあります」

RIZIN35で牛久絢太郎とのリマッチに挑む斎藤裕インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)

――秋田県出身の斎藤選手は、3月5日に秋田県誕生150周年記念事業イベントにゲストとして呼ばれてましたけど、いつぐらいにオファーがあったんですか?

斎藤 去年の夏くらいですかね。主催の方はイベントを専門にする人たちではなく、今回が初挑戦ということで。ちょっとずつ具体的になってきて、9月ぐらいには日程やキャスト陣がいろいろ決まった感じですかね。

――けっこう前なんですね。他にも秋田絡みの企画に呼ばれてますし、秋田の顔というか(笑)。

斎藤 秋田出身がだんだん浸透してきてるのかな(笑)。YouTubeでも地元商品のコラボがあったりとか。

――秋田の有名人って他に誰がいるんですか?

斎藤 佐々木希さん、柳葉敏郎さん。

――落合博満しか知りませんでした(笑)。今回のイベントでは漫画『銀牙 -流れ星 銀-』で知られる高橋よしひろ先生も出席されて。『漫画ゴラク』読者としては、うらやましいかぎりですよ!

斎藤 いや、もうステキな方でしたねぇ。失礼な話なんですが、今回共演することで、先生が秋田県出身ということを知ったんですけど。小学生のとき友達の家に高橋先生の漫画が置いてあって読んでいたから。お会いできて感動しました。

――高橋先生って今年で69歳ですけど、そうは見えないですよね。ずっと週刊連載をやってるのに疲れてる感じもしないですし。

斎藤 若々しいですね。イベント翌日は朝からゴルフをやりに行くんだよって言ってましたし。最近はもう徹夜することもないので、毎日が楽しいみたいなこと言ってましたね。

――あと佐藤ルミナ、五味隆典、宇野薫、桜井”マッハ"速人さんたちが出演した修斗のレジェンドイベントにも呼ばれて。

斎藤 あれもまあ、なんで俺に声がかかったんだろう?と思いましたけど(笑)。世代も全然違うし、恐れおおいなって。

――他は00年代前半の修斗なのに、斎藤選手だけカラーが違いますよね(笑)。

斎藤 そうなんですよね。マッハさんが本当にぶっ飛んでるんで、面白かったですけど。基本的に「協力できることがあればやりますよ」っていうスタンスですけど、とくに修斗関係だったら、いろいろとやりたいなとは思ってますね。

――そうやって格闘家・斎藤裕のニーズが増えているところは感じてるんですね。

斎藤 応援してくれる人も増えてきて、1試合1試合に対する自分の気持ちは変わらないつもりでやってますけど、周りからの期待が大きくなってるので、そこに対しての思いはありますね。

――試合前からイベントの出演が決まってると、勝敗に関わらず出ていかなきゃいけない難しさってありますか。

斎藤 ケガとかの影響もなく参加できたのはよかったなと思います。もちろん勝って出れたら嬉しいんですけど、試合の勝ち負けを気にしてたら何もできなくなってしまうので。そこは前を向いてやるしかないですね。

――4月17日のRIZIN35で牛久絢太郎選手との再戦が決まりました。今度は斎藤選手が挑戦者としてベルトに挑みますが、いつぐらいにオファーがあったんですか?

斎藤 いつだったのかな。流れとしてはRIZINからオファーがあって、2月の中旬くらいに病院でケガを診てもらって、ドクターからオッケーをもらって。それでその日のうちにRIZINに「4月にお願いします」って連絡した感じでしたね。

――RIZINとしては斎藤選手のリマッチは既定路線だったようですね。

斎藤 ……とはいっても、どうなるかはわからなかったと思いますね。

――まあ、そこはRIZINですからねぇ。

斎藤 ハハハハハハハ。

――4月はナンバーシリーズとTRIGGERの連戦ですけど、3月の大阪で2連戦……という計画もありましたし。

斎藤 そういう話もあったりですね、「いったいどうなるのかな」っていう中で、4月に決まったということですね。

――その牛久選手は12月にDEEPフェザー級王者として神田コウヤ選手相手に防衛戦を行なったじゃないですか。RIZINの王座戦ではないとはいえ、牛久選手の薄氷の勝利にドキドキしませんでした?

斎藤 あー、そうですねぇ。内容もさることながら「大丈夫かな……」と思って見てましたけど。

――やっぱり負けてほしくはないですよね。試合が終わって判定結果が出るまで、どっちが勝ったと思いました?

斎藤 どっちについてもおかしくないと思ったのが正直なところですよね。でも、(牛久が)要所要所を抑えて……という風に見れば妥当なのかなって思いますけど。あのときは大晦日(朝倉未来戦)が決まってたので、あんまり深くは考えてなかったというか、「あ、勝ったな」ぐらいな感じで。12月31日に集中はしてましたね。これが大晦日に試合がなくて4月の再戦を見据えていたら、ちょっと気持ちは違ったんでしょうけど。

――牛久戦発表の記者会見や、斎藤選手のYouTubeなんかのコメントからすると、タイトルショットへのファンの反応に身構えているのかなっていう印象があったんです。

斎藤 ああ、そうですね。ボクの試合が決まるたびにいろいろあるので……(苦笑)。

――連敗中でタイトルマッチ挑戦ということで。

斎藤 いい意見も悪い意見もあるんだろうなとは思っていたので。そこはもうしょうがないかなと。

――思ったよりは悪い意見はないのかなと。

斎藤 あ、そうですか。たしかに攻撃的なものはそんなにないかなっていう気はしてますね。

――そこは榊原さんが大晦日前から「斎藤裕には無理をさせている」「次期挑戦者は斎藤裕」と公言していたかもしれませんけど。

斎藤 あと大晦日に試合したことによって、朝倉選手側の熱狂的なファンからの攻撃が極端に減って……。

――ハハハハハハハハハ! 本人の前で失礼ですけど、溜飲が下がった感じがあるんでしょうね。

斎藤 それはあったと思います(苦笑)。今回も探していけば攻撃的なものもあるんでしょうけど、1から10までは見てないので。まあ賛否あってしかりだと思いますね。それを含めてプロの選手なのかなと。

――榊原さんからすれば、10月、12月と無理して出てもらったことでの配慮ですけど。そのへんはどう受け止めてるんですか?

斎藤 そこは榊原さんなりの気持ちだと受け止めてます。榊原さんがひとこと言うだけでも「榊原さんがそうなら……」ってファンもいると思いますので。

――選手からすれば、そういうチャンスに食いつくのはあたりまえだっていう感覚があるわけですよね。

斎藤 ボクはそう思ってますけど、意外とそうじゃない選手もいるので……。タイトル戦を断る理由は、ボクにはちょっと見当たらないんですけど。

――そういえば当事者でしたね。10月はいろんな選手に断られて二転三転したという(笑)。

斎藤 そうなんですよね(笑)。チャンスいただけるなら、断る理由はないですね。よほど変なものじゃないかぎりは。

――断る選手の気持ちってわかりますか?

斎藤 自分が描いてるビジョンがあって。そこから外れたマッチメイクだったら断る選手はいると思うんですけど……どうなんでしょうねぇ。やるべき試合は絶対やるべきだとは思いますけどね。若い選手だったらガンガン試合するべきだと思いますし、選べる立場でない選手もいると思うんですけど。そこはメリット・デメリットもあるのかなあ。

――リスクしかない試合はやめたほうがいい?

斎藤 そこは交渉次第かなとか思ったり。

――プロの仕事として引き受けるかどうかってことですね。

斎藤 それだけの選手であれば、交渉するべきかなとは思いますけど。そこはいろんな考えはありますね。

――タイトルマッチのチャンスは逃さないという前提があるとはいえ、この試合の原動力は何になるんですか?

斎藤 いろいろあるんですけど、まず同じ相手に2回負けたくない気持ちが強いですね。あとは自分自身も「このまま終わりたくない」という気持ちがすごく強いんですけど、それ以上に周りの方たちが「もう1回チャンピオンになってほしい」とか「返り咲いてほしい」って会う人会う人に言葉をかけていただいて。自分の気持ちがなければ、もちろんその試合に向かっていけないんですけど、ここまで選手を続けれたのもたくさんの人に応援してもらったので。なんとしても「もう1回!」という気持ちになっていますね。

――カットによるドクターストップという負け方にもくやしさもあるわけですよね。

斎藤 それももちろんありますね。大の字にさせられるような負けだったら、諦めもつくとは思うんですけど、ああいうかたちで終わったので……自分の中でまだ試合が終わってないと強く思ってしまいますねぇ。

――あの傷だと止められるのは仕方がないと頭では理解していても。

斎藤 受け入れるまで時間がかかりましたけど……しかもタイトル戦ですから。ドクターの言ってることはわかるど……っていう本音はあります。

――まあ、サバサバしてるほうがビックリしますね。

斎藤 試合に懸けている思いがないんじゃないか、みたいなことになってしまうので(笑)。この試合はいろんなことが重なった試合だったので、思うところはたくさんありました。だから、自分の中でまだ終わりにしたくないし、終わってないっていう気持ちが強いですね。とは言っても、再戦するんだったら、試合を見返して、また新しい戦いに向かわなければいけないなと思ってるんですけど。負けは負けなんで受け止めなきゃいけないし、あの攻撃をもらった原因も必ずあるはずなんで。そこは自分の中での答えが出てるんですけどね。

クレベル・コイケの挑発、3度目の朝倉未来、石渡伸太郎のセコンドワーク、平本蓮のこと……1万字インタビューは続く

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