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サイトウケンジ流脚本術 第一章

第一章 『パクろう!』

 よく「面白い企画を作ってきて」とか「面白そうだったら採用するよ」という、それなりの立場を持った人がいます。

 たとえば会社の偉い人であったり、編集さんであったり、ゲーム会社のディレクターさんであったりします。

 もちろん、彼らは本当のことを言っています。

『彼らの基準で』面白いものを求めているので、意気揚々と「面白いものを作りました!」と持っていくと

「うーん?」

 という顔をされるのは世の常です。

 かく言う僕の所にもそういった企画であったり、小説であったり、なんらかの作品であったりが届けられることがあるのですが、やっぱり「うーん?」となることが多いです。

 ほとんどの企画は「おおお! これは凄い! 神アイデアだ! 面白い!!」ということにはなりません。そう、ならないのです。

 残念ながら人は「何かと似た作品」とみなした瞬間、その企画を「面白い」と思いづらくなる、という傾向があります。そして、これだけコンテンツが溢れている昨今では「何かに似ていない作品」を探す方が困難です。
「全ての物語のパターンはシェイクスピアがやっている」
 という言葉もあります。
(嘘か本当かはわかりませんが、それくらいシェイクスピアは大量の物語を作り上げたという賛辞のひとつです)

 そして逆に「何にも似ていない作品」を作った場合。
 それは「前例がない」ので、採用する立場の人にとってはギャンブルになります。

 売れるかどうかわからない。確かに「面白い」かもしれないけれど、こういうのは多くの人には受け入れられず、マニアックなものになるかもしれない。マニアックなものはごく少数にしか売れないので、結果的には失敗になってしまう……。

 このような葛藤があるのです。

 つまり「何かと似た作品」だと面白いとは思われず「何にも似ていない作品」は面白くても売り出せないかもしれない。

 八方塞がりですね!

 だから「二番煎じ」(もしくは三番、四番煎じ)くらいなら、そこそこお客さんもいることが確定しているので、そちらに走りたくなる。でも一番よりは売れることはないし、一番のように語り継がれることもありません。

 残念ながら当然ですね。でも、それが「売上」というものなのです。

 では、どうすればいいのでしょうか?

 もちろん、斬新なアイデア、画期的な手法、誰も思いつかなかった奇跡の一手を打つ天才たちもいます。これはもう天才なので、僕ではそういったものが思い浮かぶという方法は教えられません。
 だって天才じゃありませんので。
 
 じゃあどうするのか?

 パクればいいじゃない!!

 そう、パクりです。好きなものの好きな部分をそのまんま使う、インターネットの世界ではよく思いっきり叩かれてしまう、アレです。

 でも、自分の好きなものをパクれば、好きなものができる。いっぱいパクれば、いっぱい好きな部分があって、より大好きなものができる!
 いいコトずくめでしょう?

 この時に気をつけるのは、好きな『要素』をきちんとパクるということです。自分がその作品の中でどの部分が大好きなのか。どの部分を「すごい!」と思ったのか。そして、そう思わせてくれたのはどうしてなのか……。

 単純にそのまんまやるのではなく「どうしてこの部分はパクりたいくらい魅力的なのだろう?」と考えて、自分なりに「ああ! だからパクりたいくらい好きなのか!」と思えるようになってからそれを真似してみるのです。

 そうすれば、実は二番煎じなのに、まるで新品のように見せることも可能です。

 ついでに、別の作品の好きな所もせっかくなのでパクって持ってきましょう。全く別の作品であればあるほど、意外とベストマッチしたりします。

「あの作品を丸パクリした企画です」

 は絶対に通りませんが、

「あの作品の、この要素とこの要素、そして別の作品のこの要素とこの要素を入れてみました。ね、面白そうでしょう?」

 という言い方だと、比較的通りやすくなります。

 あくまで比較的なのは、その要素を相手も「なるほど」と思っていないといけないからです。なので、やっぱりクリエイターとそれを管理する人の間では何よりも「好きなものの相性」が大事だったりしますね。

 そういう出会いができた時、素晴らしい作品が生まれるので、皆さんは積極的に「好きな要素」をパクっていきましょう!

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トリニティセブンでアニメ化と劇場化を果たした原作者的脚本家。日々楽しいものを求め、やりたいことをとりあえず自腹でやってみる、を実践するせいでどんなに儲けてもお金はない。