2022年参議院選挙公約比較(労働・教育編)

 どうも、来月7月10日に投開票を迎える第26回参議院通常選挙。今回は労働教育政策について見ていきます。労働政策は経済活動の根本を担う政策。教育政策は長期的な視点で見ると人の能力を上げ、国力を維持するまたは高める政策です。この政策が場当たりや現実と照らし合っていなければ、社会不安や国力の低下に繋がってしまいます。この政策について各党はどの様な公約を打ち出しているのか見てみましょう。

自由民主党

・同一労働同一賃金、男女間賃金格差解消、最低賃金引上げ、賃上げ税制、取引関係の適正化、公的価格の見直し、非財務情報の開示を進める
・希望者に「選択的週休3日制」を提供できる仕組みを推進
・リカレント(社会人教育)や大学と企業の共同講座を支援するとともに、 兼業・副業・起業を促進
・先端科学技術(AI・宇宙・バイオなど)について国家戦略を打ち立てて、官民を挙げて科学技術立国を実現し、世界をリードする
・教育分野のデジタル化を強力に進める
・緊急対策としての結婚・出産支援、大胆な児童手当や育休給付の拡充、保育等子育て支援、放課後児童クラブの拡充を進めるために財源の確保
・高等教育における、多子世帯等の中間所得層の修学支援を拡充し「出世払い制度」を大学院へ先行導入する
・いじめ加害児童生徒に対する新たな懲戒処分制度の創設。
 自民党は政権与党として最大限できる政策を並べていると感じ、今の社会的状況に危機感を持っているのではと思いました。

公明党

・社会人のリスキリングやリカレント教育を後押しするため、各企業の取り 組みを支援
・エッセンシャルワーカーの持続的な賃上げや処遇改善を推進
・事業者とフリーランス間の取引について、書面での契約のルール化など法制面の措置を検討や労災保険における特別加入制度の対象を拡大
・女性研究者が出産育児を両立できるように保育体制の拡充
・奨学金の返済負担軽減を目指す
・子供に対して必要な救済制度を行うオンブズマン制度を推進
・出産一時金増額や「産後ケア」の全国展開
・男性の育児休業の取得促進に向けた取り組みを推進
 公明党は「福祉の党」を自負しているだけに政策が充実しています。また政権与党に属しているので政策の実現・実行力は高いでしょう。

立憲民主党

・国公立大学の授業料を無償化、私立大生や専門学生に対しても国公立大学と同額程度の負担軽減を実施
・高校の授業料無償化、所得制限を撤廃
・公立小中学校の給食を無償化
・子ども・子育て関連予算については積極的な積み上げを行い、結果として対GDP比3%台(現状の倍増)を達成
・子どもの権利を最優先に擁護し、客観的な第三者として調査権限と提言機能を備えた「子どもコミッショナー」を設置
・教職員定数の充実や、スタッフ職の増員、非常勤教職員の環境改善を推進し、教員不足や長時間労働を是正
・時給1,500円を将来的な目標に最低賃金を段階的に引き上げ
・派遣法の見直しなどにより、希望すれば正規雇用で働ける社会に戻す
・不妊治療の保険適用を拡充、男女ともに利用できる不妊治療休暇を導入
・出産育児一時金を出産費用の全国平均額まで引き上げ、出産費用を無償化
 立憲民主党は最低賃金について金額を明示しています。また教育政策でGDP比を出しているのは、この党だけではないのかと思います。

日本維新の会

・労働基準法を改正し、企業が労働時間ではなく仕事の成果で評価できることを可能にし、被雇用者を法的に保護
・非正規雇用者が柔軟で多様な働き方と再チャレンジができるよう、職業訓練や社会保障の強化を進める
・労働移動を阻害する年功序列型の職能給から「同一労働同一賃金」を前提とする職務給への転換を促進
・教育バウチャー(塾代バウチャー)制度の導入、普及
・大学入試試験に英語民間試験導入を進める
・文科省を頂点とするピラミッド型教育行政から地方分権型教育行政への転換
・教員免許制度の抜本的な改善を通じて社会経験を経た多様な人材が教員として活躍しやすい環境を促進
・「飛び級」進学・入学や、必要に応じた十分な留年・再学習を認めると同時に、各種資格についても年齢要件を見直し、教育を年齢主義から修得主義に転換する
・主権者教育(シティズンシップ教育)を充実・強化
 維新の会は労働、教育政策ともに新自由主義的色合いが強い政策になっています。特に年齢を重視しない能力主義的な面が色濃く出ています。

国民民主党

・最低賃金引き上げ、全国一律1150円以上
・教育国債の発効
・返済不要型の奨学金を中所得世帯に拡大
・民法を早急に見直し、児童虐待防止対策を強化
・ギフデッド(先天的に突出した能力がある子)と呼ばれる子どもたちの支援教育
・長時間労働を是正するための「安心労働社会実現法」の制定
・子供がお互いに理解し、ともに学べる「インクルーシブ教育」を推進
 国民民主党は全国一律で最低賃金をまずは1150円以上を目指すとしています。また民法を改定し、児童虐待を防止するのは大きな一步になるのではと思います。

日本共産党

・最低賃金を時給1500円に引き上げ
・派遣労働者の権利を守る派遣労働者保護法制定する
・高度プロフェッショナル制度を廃止
・退職強要させないようにする解雇規制法制定
・0歳からの保育料の軽減、私立高校の無償化を拡充
・30人以下の少人数学級を早期に実現
・政府から独立した子どもの権利救済機関(こどもコミッショナー)を設立
 日本共産党は労働者保護の観点から政策を作っているのがわかる内容になっています。また30人少人数学級の実現を政策に載せています。

れいわ新選組

・大学院まで教育無償、奨学金チャラ
・児童手当を毎月3万円に
・介護・保育の月給10万円アップ
・全国一律最低賃金1500円
 れいわ新選組は積極財政でガンガン救済していこうという考えが労働教育政策にも反映しています

社会民主党

・最低賃金時給1500円実現
・労働者派遣法を抜本改正
・奨学金は原則給付型にし、教育費は原則無償
 正直この位の政策を並べるくらいであれば同じ様な政策を打ち出している日本共産党やれいわ新選組に投票しようと思ってしまうほど薄いなと感じてしまいました。

NHK党

・児童手当の所得制限を撤廃するよう政府に求めていく
・国立大学の運営費交付金の拡充を政府に求める
・「科研費」の拡充を政府に求める
 弱小政党のためか政府に求めていくことしかできない感じになっていますが、政策の方向性としてはマトモなものとなっています。

まとめ

 今回は労働教育政策について見ていきましたが、各党の色合いが濃く出ているのが労働教育政策なのではと思いました。特に日本維新の会は良いか悪いかは別にして、実力能力・結果主義の色合いがここまで詰まっているのかと驚きを感じました。投票する際にもこういう細かい部分も見ていくことも大事だと思います。


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