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ユステュン文字概説

 今回は、私の創作文字の一つである、ユステュン文字を紹介します。

概要

 ユステュン文字(üstün kitat)は人工言語セケシ語の表記に使われるアルファベットです。現在、母音字11字、子音字18字の計29文字で構成されます。大文字、小文字の区別はありません。左から右に向かって、横向きに書きます。

 最大の特徴は、ユステュン文字は単語単位で続け書きを行うということです。アラビア文字と似た性質ですが、アラビア文字はつなげない文字が複数あるのに対して、ユステュン文字には一つしかありません。
 続け書きを容易にするために、ユステュン文字には位置によって形が変わるシステムがあります。文字の形は、文字単独で書くときの単独形、語のはじめに来るときの語頭形、語の途中に来るときの語中形、語の最後に来るときの語末形の4つです。

 なお、ユステュン文字はセケシ語以外にもラセギ語(羅犀語)やパルト語、新資語(シンシ語)など、セケシヤムス文化圏に属する言語の表記にも用いられています。これらの言語では、追加文字や補助記号が存在する場合がほとんどです。

字母一覧

 以下の画像のとおりです。/ / 内は音価です。

註:d の点は、現在は上の表と違って、語末形を除き基本線の下に置かれる。

 h は次の文字に接続できません。かつての t は"乚"のような形であり、h をつなげるとこれと区別できなくなっていたためです。
 文字の名称は、母音字ならば(当該母音の長母音)ですが、子音字はさまざまな規則があり複雑なので、ここでは割愛します。

字体

 ユステュン文字には様々な字体があります。ここでは一部を紹介します。

・均整体
 最も基本的な字体で、漢字の楷書体、ラテン文字のブロック体、アラビア文字のナスフ体にあたります。活字も多くは均整体に則っています。

・流水体
 速記のための字体で、均整体に比べて上下の振れや丸が小さくなっています。漢字の行書体、ラテン文字の筆記体、アラビア文字のルクア体に当たります。日用の筆記のほか、タイトルなどに意匠的に用いられることが多いです。

・ジヨム体
 直線的なフォルムとセリフが特徴的な字体です。装飾用の字体であり、日常的には用いられません。

・激情体
 はげしい上下の揺れと、とんがったフォルムが特徴的な字体です。印象的な場面で用います。主に北部で発展した字体です。

ギャラリー

・セケシ語で「セケシヤムス社会主義国(sekexiyamus üyiteragos jüswaki)」、その下には「最高人民裁判所(arpedane rüstangh basfhyaimus)」と書かれている。均整体。

・セケシ語で「セケシ語を話したい。(pax rakates te zvhen wit sekexirük.) - じゃあたくさん学びなさい!(zbex, kidangh dirüs nyahwoke!)」と書かれている。均整体。

下段最右の記号は通常感嘆符です。

・セケシ語の基本的な挨拶。

itansarises - こんにちは
baasfh jeako - ありがとう
dannyekabos - どういたしまして
paxuyiyazi - さようなら
kidangh beküm - ごめんなさい

・ユステュン文字をバラバラにして書いてはいけない。

"twazuyaris sowakitekas"(トヮズヤリス帝)をユステュン文字で書いたもの。上が正しく、下が間違い(バラバラにして書いてしまっている)。