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ソフトボールorスーパーボール?

2010/05/09

「Eちゃんかわいいでしょ?」中学生の娘に言われドキッとした。
いや、正確には「そう思っていた自分」に気づかされドキッとした。
呑み友達のネーサンがたに「おとーさんとはどういう関係ですか?(注:もちろん何もない)」と聞いて回る勘のいい娘に、心の中を見透かされたか・・

休日、気が向くと娘のソフトボールの試合を見に行く。もちろん娘の応援に出かけるわけだが。あるとき相手チームにその子を見つけた。この地区では無敵の強豪チーム。娘のチームも弱くはないらしいが、そのチームがあるかぎり上に行けないと娘は嘆いている。

断っておくが「どーせ若い娘のほうがいーんでしょー。サイテー」などと言われる私だが、決してその手の趣味はない。若い娘どころか娘と同級生だ。
ただ、誤解を恐れず言えば、どうにもその子が気になっている。小柄だが攻守ともにバランスのとれた選手Eちゃん。娘には悪いが、心の中で「頑張れ!」と応援してしまう私がいた。

いい歳をして、この感覚はなんだろう。グランドの土ぼこりの匂いに呼び覚まされたノスタルジーか?おじさんの中にかすかに居座る少年の甘くしびれる妄想か?

そうだ、私は少年の頃こんな女の子が好きだったと、ふと小学生時代好きだったMAちゃんを思い出した。
今は統廃合されその名は消えたが、日本橋にある小学校での思い出だ。
都会には珍しい、小麦色の肌の快活な子だった。いつもはじけるような笑顔で、小さくて元気な女の子。
都会の排ガスで喘息を患った私には、その子が縁日に並ぶカラフルなスーパーボールみたいに眩しく見えたものだった。ご多分に漏れず淡い片思いだったのだが。

なんとなくその名をgoogleに打ち込んでみた。そしてびっくりした。
同姓同名・その女性(ひと)のWebsiteには、日本橋出身・女優/歌手、生年月日が・・・やっぱり私と同じ日だ。
アルコール漬けの脳細胞でも、ブラウザに写るその女性と遠い昔の女の子がシンクロするのに数秒とかからなかった。
同時にフラッシュバック。コンクリートの校庭・・夏の陽に溶けるアスファルト・・兜橋の下に住むルンペンのおじさん・・・首からスタンプ帳・・ラジオ体操・・・・R君の綺麗なおかーさん・・・問屋街・・ベーゴマの上手い仕出屋の兄ちゃん・・・おばあちゃんなのにシャンとしてるT先生・・・プールの冷たい水・・・・手つなぎ鬼・・すごく長く見えた水天宮の石段・・・縄跳び・・・パン屋の息子M君・・・路地裏の朝顔・・・半ズボンのひざが痒い夕立ち雨・・・・・母に連れられ東急百貨店・・・・林間学校・・銀座ホコ天・・・。

すこし酒を呑みすぎたみたいだ。
「ソフトボールの応援もいいけど、今度はライブに行ってみようかなぁ。」
おじさんの中の少年が そうつぶやいたような気がした。

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