セゾン投信 相談室のツブヤキ第7回【複利】
旧年中は大変お世話になりました。
本年もセゾン投信とセゾン顧客本位の相談室をどうぞよろしくお願いいたします。
一般的に、金融機関の年末年始は12/31~1/3がお休みとなります。
年末年始の前後に土日があると最大で6連休となるのですが、2022年から2023年にかけては、年末年始に土日が重なったため4連休でした。
お仕事をされている方はゆっくり休めましたか?
では、来年は…とカレンダーをめくっていたところ、飛び込んできたのは「2024年」の文字。
そうです、新しいNISA開始の年です。
2022年12月16日に税制大綱が公表され、新しいNISAの概要が明らかになりました。
国をあげての「貯蓄から投資へ」の流れが今度こそやってくるのか、私たちセゾン投信も本気度が試される時になりそうです。
新しいNISAについては、より詳しいことが分かり次第、改めてお伝えしたいと思います。
(セゾン投信HPより)
▼新しいNISA始まります!
https://www.saison-am.co.jp/news/pdf/20221223zeiseikaisei.pdf
さて、今回のツブヤキは、1年の始まり、ということで福が来るように、「複利」についてお伝えしたいと思います。
◆「複利」とは
複利は、物理学者のアインシュタインが「人類最大の発明」と表現したとか、元本だけでなく利息に利息がついて雪だるま式に大きくなっていくとか、複利の反対は単利、などなど、ネットの記事や本などで説明されていますね。
ですが、投資信託と複利を組み合わせて考えようとすると、混乱する方が多い印象です。
実は私もその一人でした。
まずは、複利についてカンタンに確認してみましょう。
単利は、「元本のみ」に利息がつくこと
複利は、「元本と利息」に利息がつくこと
例えば、
元本100万円を1%の金利で預けると、10年後いくらになるでしょうか?
単利の場合は、1,100,000円
複利の場合は、1,104,622円
※利息は年に1回の計算とします。税金は加味しておりません。
単利は元本のみに利息がつきますので、利息は毎年1万円ずつ。
複利は元本と利息に利息がつきますので、1年ごとに利息が増えていきます。
◆複利効果と投資信託
複利を説明している記事を見ると預貯金を例にとっていることが多く、「じゃあ、投資信託だとどうなるの?」とモヤモヤが生まれてきます。
説明の前にまず確認しておきたいのが、投資信託の評価額(元本+利益)の計算式です。
評価額=『基準価額×口数÷10,000』
基準価額は、運用の状況や分配金が支払われることで日々上下します。
口数は、お客さまご自身で購入/売却することで増減します。
口数を雪だるまに例えると、評価額はたくさんの雪だるまが集まったものです。
基準価額が上がると1つ1つの雪だるまが大きくなり、評価額も増えます。
基準価額が下がった場合はこの逆です。
評価額を基準価額と口数に分解して考えてみると、モヤッとした霧がちょっとだけ晴れた気がしませんか?
そうです。複利効果と紐づいているのは基準価額なのです。
◆投資信託と分配金
投資信託には「分配金」というものがあります。
分配金は、あらかじめ決められた決算日に収益分配方針(運用方針と運用状況等)に基づいて支払われます。
ちなみに、セゾン投信が運用する3本の投資信託は、いずれも年1回の決算で、過去分配金をお支払いしたことはありません。
投資信託の分配金は、お客さまからお預かりして運用しているお金(信託財産)を切り崩して支払うものです。
その結果、ファンドの財産(純資産総額)が減少し、基準価額を下げることになります。
本来は運用されるはずのお金を切り崩す分配金は、複利効果を弱めることにつながります。
(分配金について)
◆ 口座を分けて積み立てをすると複利効果が落ちる!?
ここからは、複利について誤解されがちな例を取り上げたいと思います。
「NISAと特定口座で分けて積み立てをすると複利効果が落ちるんでしょ??」
特定口座のみで積み立てをしていて、NISAを使っていないお客さまに理由を尋ねると、このように返されたことがありました。
確かにNISA口座と特定口座に分けて積み立てをするより、どちらか一つに集中して積み立てた方が、複利効果でどんどん増えそうな気がしますよね。
では、次の①と②で評価額は変わるのでしょうか。
同じ投資信託を持っていると仮定し、計算に税金等は加味しません。
計算式は先ほどお伝えした『基準価額×口数÷10,000』です。
Aファンド:基準価額15,000円
①NISA口座:1,000口、特定口座:1,000口
②特定口座:2,000口
それぞれの評価額は、
①NISA口座:15,000円×1,000口÷10,000=1,500円
特定口座:15,000円×1,000口÷10,000=1,500円
合計3,000円
②特定口座:15,000円×2,000口÷10,000=3,000円
同じ口数を1つの口座で持っていても、分けて持っていても、結果は一緒でしたね。
一つ前のブロックで説明したように、複利効果が紐づくのは基準価額です。
よって、口数を一つの口座に集めることによって複利効果が高まることはありません。
金融機関を分けることも同じ原理となります。
同じ投資信託をA証券会社のみで運用することと、A証券会社とB銀行に分けて運用することで結果に違いは生まれません。
※販売手数料等がまったく同じ場合に限ります。
複利効果を高めることだけを理由にNISA口座を使っていないとか、A証券会社の分を売却してB銀行に集中させるのだとしたら、それはもったいない話ですね。
◆利益部分だけ引き出せますか?
これもよくある誤解ですね。
結論を先にお伝えすると、投資信託では利益部分だけを売却することはできません。
再び雪だるまを例にお伝えすると、利益が出て大きくなった雪だるまの体の一部を削ることはできませんので、必要な数の雪だるまをまるごと取り出す(売却する)イメージです。
数字で具体的にお伝えします。
評価額100万円(元本50万円+利益50万円)から、利益の50万円を売却しようとするとどうなるでしょうか。
利益部分のみ売却することはできませんので、
元本25万円と利益25万円の合計50万円が売却される形となります。
(税金等は加味しておりません)
なんか気持ち悪いな、と思う方もいらっしゃるでしょう。
ですが、複利は利益を含めて運用しているので単独で切り離すことはできません。
◆最後に
年が変わり、福が舞い込むようにと思いながら、今月は複利についてお伝えしました。
昨年から相場が大きく動いていますが、短期的な市場環境に一喜一憂せず、世界経済の成長を投資信託を通じてキャッチアップして、長期で複利運用をすること。そして何よりもコツコツと続けることが大切です。
そういった皆さまのお気持ちと行動をセゾン投信は全力で応援します。
顧客本位の相談室では、ライフプランを含めたご相談にかぎらず、長期運用を続けていく上で生まれてくる疑問を解決するお手伝いもしております。
ちょっとした疑問は、お電話で15分間のおきがるサクッとコースのご利用がオススメです!
今年もたくさんのお客さまとお話できることを楽しみにしております。
皆さまにとって実りある1年になりますように。
セゾン顧客本位の相談室
増田 裕美
セゾン投信公式noteに過去のアーカイブが掲載されています。ぜひそちらもご覧ください。
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