#103 意識すればかならず音が変わる!鍵盤の〈あそびの部分〉のお話
こんにちは!さいりえです。
今日の 【レッスンnote #103 】は音の出し方、音色についてのワンポイントです。
音の出し方や音色と言っても、いろいろな視点、ポイントがありますよね。
・どんな音を今出したいのか?
・体をどう使うか
・音をどう聴くか
・楽器、鍵盤のこと
これまでのnoteでも、いろいろな点からお伝えしています。
今回は、おもに4つ目の「楽器・鍵盤」についてのワンポイント。
とくに鍵盤の「あそびの部分」についての大切なお話です。
「あそび」とは、工学上の用語で言うと以下のこと。
接合部(→接合法)などに設けられた隙間や緩み。遊間とも呼ぶ。(Wikipediaより)
たとえば自転車のブレーキなどでも、クイッとつかんでもブレーキが動かない、ほんの少し「カタカタ」と余っている部分がありますよね?誤作動や、気温や湿度の変化に対応できるように設けられているそうです。
ここでは、「鍵盤を押さえてもハンマーが少ししか動かない=音が出ない部分」のことを「あそび」と表現します。
調律師のとしさんのYouTubeでも、この部分のことを「カックン」と表現されて詳しくお話されています。
今回のnoteや動画に関連のあるお話ですので、こちらもぜひご視聴ください!(そのほかの楽器動画もオススメです)
そして今回お伝えしたいことは、大きく次の2点です。
①「あそび」の部分を無駄遣いしない
②「あそび」の下にある「音が出るポイント」に対してどう打鍵・アプローチするかが大切!
とくに
・響く音がなかなか出せない
・すごく指は速く動いているんだけど、音がはっきり聞こえない
・スタッカートの音がピンピンはねるだけでまとまらない
・弱〜いppを出そうと思うと、音が抜けたりスカスカになったりする
などのお悩みを抱えている方に、打鍵の面から一つのポイントを、テキストと会員限定動画(17分)でお話していきます。
※離鍵については、今回触れていません。
▼このnoteは次の買い切りマガジンにも含まれています
鍵盤の「あそび」って何?
※ここからテキストによる説明です。お時間のない方は下のほうの〈動画〉に直接飛んでご視聴ください。動画だけで今回の内容がわかります!
まず、本noteでお話する鍵盤の「あそび」について、「あ、これのことか〜!」という意識をそろえておきましょう。
鍵盤をタッチするとき、上から下に、このようになっていますね。
鍵盤の表面
↓
鍵盤の「あそび」の部分(鍵盤を押さえてもハンマーが少ししか動かない=実際にピアノの音が出ない部分)
↓
音が出るポイント(ここをおさえる・打つと連動してハンマーが弦を打つ=音が出る部分※)
↓
鍵盤の底(これ以上指をおろせない部分)
※鍵盤をおさえるスピードによっては、底までおさえても音が鳴りません。
この、【鍵盤を押さえてもハンマーが少ししか動かない=実際にピアノの音が出ない部分】のことを、「あそび」と定義してお話していきます。
↑動画より。ここまで鍵盤をおさえても音が鳴らない
「あそび」の部分の深さや感触、音の返ってくるタイミングや具合は楽器によって、また調律師さんの調整によっても異なりますので、まずはあなたのお家のピアノで確認してみられてください。
ポイント①
ふだん弾いているピアノの「あそび」の部分を見つけて実感しよう!
「あそび」の部分を意識した練習、弾き方とは?
では、「あそび」の部分を見つけて意識することができたら、次は実際に弾くときのポイントについて。
今回お伝えしたい2点は、次の点です。
①「あそび」を無駄遣いしない
②タッチや音色、音の表情などを変えたいときは、「あそび」の下の「音が出るポイント」に対して【適切にアプローチ】する
まずは①の、「あそび」を無駄遣いしない点。
あそびの部分は鍵盤を下ろしても音が出ないため、そこでどれだけ速く指を動かしても、丁寧に配慮した打鍵の動作をしても、ほぼ無駄になってしまいます。
(厳密には、「あそび」の部分を通過した "連続した動作" で音を出していくので完全に無駄ではないのですが、ここではわかりやすく省きます)
と言っても、「打鍵が浅くて音が抜けちゃった」ときは自分で気づきやすいですよね。
だから、逆にこわいのは、「中途半端な打鍵になるために、音が一応鳴っているけれど、響いていない/歌えていない/語れていない/変化も作れない」
という状況です。
下の例で言うと「B」のパターンですね。
A.「あそび」の部分だけで打鍵すると=音が出ない
B. 動作の大半を「あそび」の部分で打鍵して、その下に少ししか指が届いていないと=音が抜けたり、響きが少ない音になったりする
C. 「あそび」の部分を無駄遣いせずに、それより下…音の出るポイントに対して打鍵すると=楽器が作用してハンマーがちゃんと弦を打つ=響く音や出したい音色の変化も作りやすくなる
このBの場合、音が一応鳴っているので、弾けているつもりになって気づきにくいのです。
・一つの歌の中で、響きが悪い音があっても気づきにくい
・実は表情がない、音楽的な意味づけのない音を出しているのに、気づかない
ということになったりします(偉そうに書いてますが、私もなります‥)。
そういうときは、
・ゆっくり響きを聴きながら弾いたり
・もう一度音楽的な意味を考えたり
・体の使い方を工夫したり
…といろいろな練習をしてみるわけですが、そのときに今回の「あそび」についても、ぜひ意識してみられてください。
ポイント②
「あそび」の部分をたくさん弾かずに、「音が出るポイント」を的確にタッチしよう!
意識の問題と、技術の問題
ここまで、鍵盤の「あそび」を無駄遣いしないという点についてお話しました。
鍵盤の表面や「あそび」の部分を一生懸命弾いていると、頑張っているわりにはなかなかイメージした音や音楽にならない…ということです。
これは
・意識の問題
・技術の問題
の両面があります。
たとえば速いパッセージや、連続スタッカート、ppを弾くときに、
・すごく指は速く動いているんだけど、鍵盤の中に的確に入っていないため、頑張っているわりには音が立たない
・スタッカートの雰囲気は良いんだけど、肝心の打鍵ポイントが上すぎて、音がピンピンはねるだけで響いていない
・弱〜いppを出そうと思うと、音が抜けたりスカスカになったりする
などの問題があります。
速いテンポで鍵盤の良いポイントを的確にタッチしていくには技術が必要ですし、スタッカートを良い音で弾くにも、腕の使い方、腕のしなりから手への伝え方など、奏法面で必要なことがいろいろとあります。
(今回のnoteではその詳細は省きますが、この下で関連性のあるnoteを紹介しておきます)
「こんなふうに指(体)を動かそう!」という意識と、同じくらい「鍵盤のどのポイントをどうタッチするか?」という意識の両方、そしてそれを実現できる技術が必要ですよね。
ポイント③
技術を改善するにも、まずは意識から!
ということですね。
〈関連noteはこちらです〉
打鍵や離鍵のこと、曲の中の音づくり、考え方など、今回の内容に関連の深いnoteです。
動画を見る前の「まとめ」
ではここで、いったんまとめます。
・鍵盤の「あそび」を意識しよう!
・本当に「音が出るポイント」に対してアプローチできているか?
・「あそび」の部分で頑張っていないか?
・タッチのちがいや工夫→「あそび」ではなく、「音が出るポイント」で生かす!
(ひとこと)ピアニストの映像を見ると、何もしていないように見える、「スッと乗せただけ…」のような打鍵が多いですよね。あれは「何もしていない」のではなくて、実は深い裏付けや緻密な鍛錬の元に「スッと乗せただけなのに美しい音」が実現しているんですよね…
ここまでを動画でふりかえる(17分)
今回はテキストが長大になりました。
17分の動画で実際にお話、音を出してお話していますので、ご覧ください。
・今回ピンマイクの電池が途中で切れてしまった関係で、やや「サー」というノイズが大きいです。申し訳ありません…!
動画は会員さま専用です。月980円で月4〜6本の限定noteと過去の数十本のバックナンバーをご覧いただけます(バックナンバーは一部有料のものもあります)。
▼こちらからどうぞ(17分)
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