第一部完と第二部の始まりに

——次にこの舞台を経験できるのはいつだろうか。その先のJ1のピッチを踏めるのはいつで、誰とになるだろうか。

2018年12月26日「そしてフットボールは続く……」


5年後に城福監督とは思わんだろ。マジで。
あまりにも出来すぎたストーリーでびっくりしてる。こんなこと本当にあるんだ。

いつからこんなに出来すぎたストーリーが始まっていたのか。
多分町田が新国立で東京V戦やるって言い始めて元18番が移籍したあたりというのが一般的な正解ではある。最終的に東京Vのヒーローになった染野くんがその片鱗を見せたのは昨年なので、そこから始まっていたとするのも正解だと思う。城福監督とは思わんだろって思った時点で、その人(おれだよ)にとっては2000年代初頭から始まってしまってるなあとも思う。

まあでも多分「森田がヴェルディジュニアになった頃、つまり2度目のJ2降格から」が正解なんだと思いました。15年間ずっと応援席にいて、森田が主役として舞台に立つのを待ってたみたいになってしまった。
2008年の降格の裏で奇跡の残留を果たした千葉に勝点3を献上していたのは城福監督が率いるFC東京というおまけまで付いている。監督、完全に助演。

しかし今年だけでも息が詰まるような物語がたくさんあった。胸を掻きむしるような、悔恨が元になってしまったような物語もあったけれど、これを乗り越えていったのだから昇格していいよという話でもあるんでしょう、そうでも思わないと少し刺激が強すぎたと思う。
※そもそもPO進出チームが全部「不調だった時に東京Vに勝ってチーム状況が改善しました」みたいなチームだったの、マジで最終試験の様相だったな…(山形はその後アウェイで完勝したので対戦なかったんだと思う)

ジェフユナイテッド千葉
監督が慶行(2005年東京V降格時のキャプテン)になったのもあって4月のアウェイ戦も見に行ってた。千葉はそこまで全然勝ってなかったのに東京Vとやる時になって急に嵌め殺してきて何事かと思ったし(あの時は確かに東京Vもひどかったが…)、試合後のインタビューでも東京Vに対する殺意を感じたので、慶行は無意識としても東京Vに対して凄まじい愛憎があったと思う。ホーム戦で東京Vが逆転勝利した時のインタビューでの「僕たち(千葉)にはたくさんの味方がいますから」という言い方は東京Vに対する強烈な皮肉だった。それだけ言われても申し訳なさが勝ってしまったので、2005年はマジでひどかったしお互い消えない傷になってしまったんだな…という思いを新たにしてしまったりもした。
でもなんやかんやPOでもやって、実質東京Vの完勝となった試合の後に泣きはらした目でインタビューに応えていた小林慶行監督はなんか憑き物が落ちたみたいになってたから、お互い傷は残るけどお互いを乗り越えたんでしょう…ということにした。でも多分そうだし、少なくとも来年は違うリーグで戦うので、東京Vのことなど考えず、小林慶行監督のサッカーを追求してほしいとは思う。
余談だけど、友人の柏サポからよっちゃんって言われててめちゃくちゃ面白かった(というか柏にいたこと完全に忘れてた)。

ヤマハスタジアムでの磐田戦
試合前は多分今シーズン一番緊張していたと思う。5年前、J1に行けなかった時のスタジアム、相手チーム。その時に感じた虚脱感も焦燥感もそのまま覚えていて、向かう時もスタジアムが見えた時も高揚感とかそういうのはあんまりなかった。それでも5年前とは全然違うなとは思った。
5年前は到底敵わない相手に奇策で向かうしかなかった。今は正面から磐田に向かえるというのは、(磐田が落ちてきたこともある、補強禁止だったし)(戦力ほぼ残留のJ1仕様で落ちてきたやろがい)ようやくそこまで上っていったと思わなくもなかった。前回のヤマハから数年は成長もクソもなかったので、東京Vが上っていったのは正直この2年の話ではあるが、それでもまた磐田がJ2に降格してきた時に、このタイミングで正面からぶつかるというのも運命的と言えば運命的だったなと思う。
そもそも今年、日程発表があった時に「なんかあるなら」というか「昇格を争うなら」日付的にも相手的にもここじゃないかという感じはあった。マジでここで争うやつがあるか。結果として引き分けてどちらも昇格できて本当に良かったね。

国立競技場
PO決勝開催日である12月2日、味の素スタジアムが使えなかった。そのために用意されたスタジアムが国立競技場。
Jリーグが始まった時に使用した競技場。2005年、最後にタイトルを得た国立競技場(その時の記念グッズの言葉は「WE ARE BACK」だったんだけど、今思うとなぜBACKなのか、明らかに今の方がBACKなんだよな)。その後、新しくなった国立競技場。一般的には、今年のストーリーの起点となった町田戦が開催されたその舞台。
ここで昇格したら、このヴェルディは間違いなく新生ヴェルディなのではないか。そんな美しすぎるストーリーがあって良いのか。

あった。あるんだ本当に、こんなこと。


城福監督。
やっぱりFC東京の監督というイメージが強く、そうでなくとも広島で井林と最悪の相性を見せたという記憶もあり、東京Vを応援する者としてそう簡単に受け入れられるものではないのではないか? と思っていた。どうも城福監督本人含めてそう思ってた人は多かったぽい。それはそう。
最後の最後、昇格が決まった後に初めて「城福ヴェルディ」とコールされたのはさすがに、さすがに凄まじすぎる。

森田が主演で、助演が城福監督の第一部は多分ここまで。
これから第二部がどうなるのか、主演や助演がそのままなのかは分からない。が、きっとまた誰かが加わったりして、こちらもどうにかして追っていけるはず。今度こそ。今度こそJ1の舞台で。

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