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神戸大学 理学研究科 物理学専攻 大学院入試 2020年度実施 院試 解答解説

本記事では、2020年8月26日実施の物理学専攻博士前期課程入試の「物理1」「物理2」について解答を作成しています。「英語」に関しては記載しておりませんので、その点に注意してください。

入試問題は以下のURLより入手して下さい。
神戸大学理学部・大学院入試問題 (kobe-u.ac.jp)


物理1 Ⅰ 力学

問1
慣性モーメントを$${I}$$とおきます。
支点からの距離を$${x}$$とした時、求めたい慣性モーメントは
$${I=\int_{-a}^{l-a}{ρx^2}dx}$$ によって求まります。(ρは棒の質量密度)
問題文に”細い棒”と表記されているように、今回の問題では線による慣性モーメントを求める問題のため、積分は$${dV}$$ではなく$${dx}$$で行ってゆきます。
$${I=\int_{-a}^{l-a}{ρx^2}dx=\frac{m}{l}\times\frac{1}{3}{((l-a)^3-a^3)}=\frac{m}{3}(l^2-3la+3a^2)}$$
よって、$${I=\frac{m}{3}(l^2-3la+3a^2)}$$

問2
棒が$${θ}$$傾いた時、重心の高さの変化は$${(\frac{l}{2}-a)(1-\cos\theta)}$$
位置エネルギーをUと置くと、$${U=mg(\frac{l}{2}-a)(1-\cos\theta)}$$
重力による力のモーメントの大きさは、重心にかかる力の向きに注意して、
$${\therefore (\frac{l}{2}-a)mg\sin\theta}$$

問3
運動エネルギーをTとおく。慣性モーメントを用いた運動エネルギーの導出は$${T=\frac{1}{2}I\dot{\theta^2}}$$である。問1の$${I}$$を代入して、
$${\therefore T=\frac{m}{6}(l^2-3la+3a^2)\dot{\theta^2}}$$

問4
ラグラジアンLを導入する。運動・位置エネルギーからラグラジアンLは
$${L=T-U}$$と書けるので、前問からTとUを代入して、
$${L=\frac{m}{6}(l^2-3la+3a^2)\dot{\theta^2}-mg(\frac{l}{2}-a)(1-\cos\theta)}$$
$${θ<<1}$$で$${\cos\theta≃1-\frac{θ^2}{2}}$$と近似して、
$${L≃\frac{m}{6}(l^2-3la+3a^2)\dot{\theta^2}-\frac{mg}{2}(\frac{l}{2}-a)\theta^2}$$
ラグランジュ運動方程式から、θの微分方程式を求めると、
$${\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{θ}}-\frac{\partial L}{\partial θ}=0}$$
$${\frac{m}{3}(l^2-3la+3a^2)\ddot{\theta}+mg(\frac{l}{2}-a)\theta=0}$$
$${\ddot{\theta}=-\frac{3g(\frac{l}{2}-a)}{l^2-3la+3a^2}\theta}$$
振動数は $${\sqrt{\frac{3g(\frac{l}{2}-a)}{l^2-3la+3a^2}}}$$
周期は $${2\pi\sqrt{\frac{l^2-3la+3a^2}{3g(\frac{l}{2}-a)}}}$$
※振動数ωと周期fの関係は$${f=\frac{2\pi}{ω}}$$

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