社有林の調査を通じて川上の現状を学ぶ
当社には法人で所有している山林がある。川上(森林所有者や素材生産者等)で何が起こっているかを理解するために、まずは自分たちでこの社有林の活用を考えてみることにした。
信州上小森林組合に連絡し、当社の社有林を案内して欲しいと依頼。森林組合の方に同行いただき、社有林調査をおこなった。いくつかの社有林は当社の社長も現地を見ているものの、初めて足を運ぶ社有林もある。なお、当社は森林組合の組合員になっている。
森林組合の方にいただいた森林施業図。紫色の部分が当社の社有林。緑色が林道。
社有林①
当社からおおよそ15分ほどで到着。
近くの林道に車を停めて出発
GPSを使って、位置を確認しながら進む
長らく人が立ち入っていなかったのか、道なき道を進む。この社有林は林道に接していないため、他の所有者さんの土地を通らせていただく。
途中で少し歩きやすくなる。誰かが手入れをしたのかはわからない。しかし、植林されたような形跡はない。
写真でみる以上に急な斜面で移動も大変
地図とGPSからするとこの先が当社の社有林。結構な急斜面。樹種は赤松。植林されたものではなさそう。今となっては当社がどういう経緯でこの山林を取得したのかもわからない。この山林にアクセスできる道もなく、この山林をどうすればいかせるものか。平面でみる地図と違い、山には傾斜があり、おおよそこの辺りではないかという推測はできるものの、明確に線引きできるものではないことがわかった。
また、当社の社有林に至るまで、3筆の山林を通った。一人で3筆分の山林を所有しているかもしれないし、三人の所有者さんがいるのかもしれない。もし仮に、この土地にカラマツを植林しようと考えたら、道を作らなければならないが、この3筆の所有者さんに了解をとらなければならない。この土地の所有者さんはどこにいるのだろうか。
社有林②
2つ目の社有林を調査。また、林道に車を停めて移動開始。
しばらく車が通った形跡はないが、作業道が整備されていて歩きやすい。
途中、ヒノキが植えられている。植林されたまま放置されているのだろうか。木がうっそうとした暗い森は気味が悪い。
2つ目の社有林は地図を見る限り、大体このあたりだろうと思われるが、細かくはわからない。この手の先に扇状に広がっているはず。
真ん中奥に広葉樹がある。昔は広葉樹等の異なる樹種を植えて境界の目安としていたこともあったそうだが、境界を示しているのか、はっきりとはしなかった。
社有林に植えられていたのはカラマツだった。樹齢はおおよそ70年程とのこと。画面中央の木は林道沿いにあったからか、他の木よりは大きい。同じ樹齢70年でも、僅かな環境の違いでこれだけ大きさに差異がでる。70年前に誰が植えたものだろうか。いつから当社の所有であったか、現時点では調べていないのでわからない。山は先人たちが残してくれたものだと改めて思う。
この社有林は林道沿いにあり、樹種もカラマツなので、伐採することに決めた。そのためには隣接する土地の所有者さんを調べなければならない。
社有林③
3つ目の社有林を調査。また、林道に車を停めて移動開始。
竹が生い茂っている。同じ山なのに場所によってこうも表情が変わるものか。
竹をかき分けて中に入ってみるとヒノキがところどころにある。これも戦後まもなく植林されたものだろう。
社有林④
4つ目の社有林を調査。また、林道に車を停めて移動開始。
こちらも赤松が続いている。この赤松は植林されたものではなく、自然に自生したものだとのこと。今考えればこんなに転々として、小さい山を所有していることに非効率さを感じるが、昔は山が資産だったと聞く。資産であれば、活発に売買は行われず、できるだけ近いところで、少しずつでも山を所有していくことは効率的だったのかもしれない。
現在は木材の価格は低迷し、山が資産であった時代は終わり、今はむしろ負債として考えている山林所有者さんもいると聞く。木材の価格が上昇すれば、山が再び資産として世の中に受け入れられるのかもしれない。当社の社有林のように放置された山も減らせるのかもしれない。しかし、木材価格の上昇は、最終製品の価格上昇を招く。そうなると、外国産材の価格には太刀打ちできなくなり、国産材が使われなくなる。そうなると、山が更に荒れ果ててしまう。これは解決しなければならない問題。
林野庁HPより
社有林⑤
5つ目の社有林を調査。ここは4つ目の社有林から車で10分程離れたところにある。また、林道に車を停めて移動開始。
ここは2018年に台風の際に倒木が発生し、林道を塞いでしまった木を横によけた。
林道沿いではあるものの、他の社有林より木が密集している。細い木が密集していて、森全体が暗い。こういう森だから木が倒れやすいのだろう。倒木するには倒木するだけの理由がある。こういう森は何から手を加えればいいのだろうか。木材としては売れないだろうし、いくらかかるのだろうか。こういった森に対する補助金はどうなっているのだろうか。森林組合の方にいずれ聞いてみよう。
まとめ
森林施業図上で、当社の社有林を確認したものの、隣接地の境界がはっきりしない。森林組合の方に確認をしたら、次にやることとしては公図を取得した方が良いとのこと。公図からどのように境界が確定されるのかを調べてみようと思う。
技術でつなぐ木のみらい 齋藤木材工業株式会社 :https://saito-mokuzai.co.jp/
森を循環させるウェブメディア 森の中 :https://mori-naka.jp/
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