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社有林の調査を通じて川上の現状を学ぶ~その3

当社で公図を取得したので、法務局で登記簿を入手すれば所有者名と住所はわかるが、当社の社有林は6か所に点在し、その周りには多くの所有者が存在しそうなので、登記簿を発行してもらうだけの時間も費用も勿体ないなと思っていた。
森林組合の方に相談したところ、長和町役場で所有者を調べられるので、森林組合の方で調べていただけるとのこと。とても助かる。有難い。

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後日、森林組合の方から所有者の特定ができたと連絡をいただいたので、森林組合に伺った。早速、当社の社有林に隣接している所有者さんを教えていただいた。6か所の社有林では、合計で37名の隣接者がいた。中には長野県外に住んでいる人もいるとのこと。公図を見た時にたくさんいるのだろうなとは思っていたが、数字で示されるとこんなにいるのかと思う。
名前を見てみると隣接者に同じ苗字の方が並んでいるのが目につく。相続で土地が分割されたのだろうか。いつ頃分割されたかわからないが、山という大切な財産を子供たちのために仲良く分割したのかもしれない。そう思うと、今の山の現状を見るにつけ、何とも言えない寂しい気分になる。

社有林の現地調査で、作業道に隣接していて樹齢70年程の社有林が1か所あった。その時に、カラマツの伐採、搬出、当社への搬入をどのようにしておこなうかを、実際に体験し、その後当社の社員研修の一環として植林ができればいいなと考えていた。そのため、森林組合の方に、予定通り1か所はカラマツの伐採をおこなうつもりであることを伝えた。

木の伐採に利用できる補助金はないそうで、費用は自費となる。出口である木材の伐採と販売により収入が得られるから補助金は要らないという制度の考えなのだろう。補助金を受給するためには、森林経営計画の策定が必要でそれに基づいて行う植林や間伐、森林作業道整備等に交付される。
こんなに小さな社有林のために森林経営計画とは大変だなと思ったら、森林経営計画は林班単位で作成するのだそうだ。初めて聞いたが、林班(りんぱん)とは山の市町村みたいなものだと教えていただいた。複数の林班で森林経営計画を作成することもできるし、1つの林班で作成することもできる。

森林経営計画とは、「森林所有者」又は「森林の経営の委託を受けた者」が、自らが森林の経営を行う一体的なまとまりのある森林を対象として、森林の施業及び保護について作成する5年を1期とする計画です。
一体的なまとまりを持った森林において、計画に基づいた効率的な森林の施業と適切な森林の保護を通じて、森林の持つ多様な機能を十分に発揮させることを目的としています。
~林野庁HPより~

当社に置き換えれば、森林経営計画とは、森林組合が当社のような山林所有者から森林経営委託契約書を受領し、林班単位で「いつ頃この場所を間伐し、このように作業道を作り、伐採し、植林をしていく」等のこの先5年間の方針を作成する計画。全員の所有者から森林経営委託契約書をもらう必要はなく、林班の総面積の5割以上の同意で森林経営計画に基づいた施業ができる。仮に一部に連絡の取れない所有者がいても森林経営計画は有効なものとなる。

森林施業図では、林班は赤い線で表示がされている。見てみると、52という林班の中に当社の社有林が4つ入っている。林班という単位は結構大きいなという印象。所有者の多さが山林の荒廃を招いている原因の一つであると学んだ。この単位で森林組合が施業してくれるのはいいなと思った。

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