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海外在住相続問題(6) 立替金解決
アメリカ時間でこんばんは。
海外在住者が直面する争族問題について外国永住の自分の経験から書いています。
両親が相次いで亡くなってからもう一年半以上経ちますが、もう一人の相続人の妹が敵対的で相続が終わりません。お互い弁護士を立てて調停中です。前回までの経緯はこちらから。
資料キター?
私が海外在住なのをいい事に親の金を引き出して通帳を隠した妹ですが、調停で要求されても頑なに親の資産情報を提出しません。
妹が資料提供を拒み二回も調停が空転したことで裁判所もさすがに頭にきたようで、私の弁護士からも強く言われ今度こそ提出する事になりました。
そして今回ついに資料キターなのですが…..
妹は自分の主張に都合がいいものだけを送って来ていました。
都合のいい資料
妹は私の作成した財産目録の母の遺産金額が不正確だと主張していました。不正確なのは事実ですが、これは妹が私の制止を聞かず母の預金を死亡後も引き出し続けたからです。あげくに妹は通帳を隠して遺産額がわからないようにしました。わからないなりに調べた財産目録の数字は妹に不利になりますが、これは当然です。
そこで妹はこの数字の修正を主張しているのですが、自分の言う通りの金額に変更しろ、と言うだけで裏付け資料を出さなかったのです。
なんとも身勝手な話で、ついに妹は前回調停で裏付け資料無しでは主張を一切受け入れないときっぱり言われました。そこでようやくしぶしぶと母の通帳類のコピーを提出してきたわけです。
でも母の遺産情報だけでは足りません。両親は相次いで亡くなったので相続は両親の遺産全部です。父の通帳類は相変わらず開示しないのです。
妹はその一方で不動産の処分を主張してきたりと相続を進めたくないわけでは無いらしいのですが、資料提出はぐずぐずと引き延ばし続けるつもりのようです。
ちなみに「ぐずぐずするな」は英語で quit dragging your feet って言います。ほんとに声を大にして言ってやりたいです。
立替金資料
妹は立替金の資料も送って来ました。親の通帳は開示しないのに、自分の取り分が増える資料は出してくるってどういうことよ。
内容は以前主張していたちょっとしたマンションが買える額の架空立替金から大幅に変更されています。架空立替金の話はこちらです。
気分一新リニューアルした立替金明細は相続発生後のものが多く、領収書もあってだいぶまともになってました。
その一方で立替金といえない、何年も前のスーパーの買い物などもたくさんありました。これらは領収書も無くカードの明細を抜き出しただけで、合計でちょっとした中古車が買えるぐらいもあります。私の弁護士さんはあっさりと「こんなの論外」と切り捨てていましたが。
ちなみに両親は亡くなる直前まで元気だったので介護などはなく、資産も収入も十分あったので妹が親の生活費を立て替える必要は全くありませんでした。
妹が実家で親に食事を振る舞うということはよくあったようですが、妹は自分の気持ちだと言っており、親もありがたく受け取ると言ってました。これってふつうだったら亡くなった親との良い思い出ですよね。
でも今回妹が立替金だと主張してきたのはその食材費だそうです。
全部食材費なのかも疑わしいですが、それ以前に「親への気持ちではなく立て替えてただけだから五年前に買った惣菜の代金を返せ」なんて言いますかね、ふつう。
妹の言ってる事は通用しませんし、そもそも親との思い出を踏みにじってすることでしょうか。
私も親をクルーズに連れて行ったり、日本に行ってあちこち旅行や食事に連れ出したりしました。今となってはかけがえの無い思い出です。それに全部でいくら使ったなんて考えた事ありませんし、ましてや払った金を取り戻そうなんて思った事ありません。
こういった立替金は当然却下になりましたが、親が聞いたらさぞかし悲しむだろうなぁと思う、なんとも後味の悪い話です。
立替金問題終了
とりあえず立替金に関してはようやく資料が提供されました。私は日本の法律とルールに従って相続したいと弁護士に伝えて任せてあり、正当で裏付けのある立替金のみ認められて処理されました。
調停で認めなかった立替金は遺産分割から除外されて相続が進められます。認められた立替金は分割時に精算されます。なので立替金の話はこれで終わりです。
訴状送達
話がちょっとそれますが、調停で認められなかった立替金をあくまでも払わそうとするなら債務返還訴訟を起こすことは可能です。ですが私のような海外在住者に対しての訴訟は裁判にこぎつけるだけでもかなり困難で時間がかかります。
これはなぜかというと、日本では相手に訴状を送達しないと裁判が継続できません。しかし当然ながら日本の裁判所には外国で訴状送達する権限がありません。そのため外交条約にのっとって日本領事館経由の送達をしないとなりませんが、これに数ヶ月から一年以上の時間がかかります。
さらに裁判にこぎつけ、仮に海外在住者相手に勝訴しても日本の裁判所には外国で強制執行する権限がありません。そもそもあんな立替金で裁判されても全く負ける気はしませんが。
逆に海外在住者が日本にいる相手を訴えた場合、ふつうに訴状送達され日本で裁判が行われます。勝訴すれば相手の国内資産に対して強制執行をすることもできます。
これに関しては私のように日本に資産が無い海外在住者は圧倒的に有利ですね。
なお、日本では聞きなれないこの訴状送達ですが、アメリカでもあります。知ってる人も多いです。アメリカでは訴状を手渡しないとならないので、TV番組で “You’ve been served” と言われながら訴状を渡されて憮然とする場面がよく出て来ますよね。
まとめ
と言うわけで立替金は終わりです。進展のなかった相続でようやく一つ片付きました。
次回の調停も遺産範囲確定を目指す予定ですが、妹はそれまでに残りの資料を送ってくるでしょうか。それともまたブッチしてさらなる裁判所の怒りを買うのでしょうか。
それではまた。
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