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東光寺の八日薬師。

蒲江浦のお正月。

「医王山 東光寺」の目抜通りの参道は、俄かに賑やかになっていきます。

そう。一月八日は、薬師如来の縁日。
一年の最初の縁日で「初薬師(八日薬師)」と言われ、屋台が立ち並ぶ地域の祭りです。宗教家ではない私でも、縁起を担ぎたくなります。

薬師如来は病気を治す仏で、医王山の「医王」とは、まさに薬師如来を指します。

さて、鐘の音が、地域にはじまりを告げます。

この薬師堂には、西野浦の海中から応永13年(1406)に引き揚げられたと伝えられる薬師如来像が安置されています。

漁師さんたちには、海の守護仏としての信仰が厚いという。この薬師如来像は10年に一度、ご開帳されます。残念ながら、しばらくは拝見できません。

さて、法要がはじまります。大般若法要です。

大般若の経典は、6億4,000万字・600巻におよぶ膨大な経典。この経典を供養すれば、幸福がもたらされるということで、古くから除災招福・国家安泰を願い、盛んに供養されてきたそうです。

大般若のお経は、大体50巻ずつ12箱に納められ、法要では1箱を1人の僧侶が受け持つという。

声に出して、1巻を読み上げますと、約1時間はかかるとのこと。つまり、全600巻、1人あたり50巻を全て読み上げるとしましたら、2日間、飲まず食わずでやっと読み上げられるということになります。そこで、写真のような「転読」が行われます。

全てを読み上げることを「真読」といい、それに対し、主要なところを拾い読むことを「転読」といいます。経典はもともと巻物であったため、転ばして読んでいたことからとのこと。今は「折り本」をパタパタさせて、全てを読み上げたことに代えます。

最後に経巻をもって「降伏一切大魔最勝成就(こうぶくいっさいだいまさいしょうじょうじゅ)」と言いながら経巻で経机をたたきます。「全ての災いや悪を祓いとり除き、人々の願いをかなえて幸せに導いてほしい」という意味です。

参拝者の背中にも当てて、「お加持(災いを払い)」します。

さて、長くなりました。終わりになりますが、東光寺の八日薬師で使用される大般若経600巻は、ひとりの人が何年もかけて写経されたものということ。これは日本に5つしかない大変に貴重なものです。

あれ、なんだかパワーがみなぎってきました。また、一年がんばれそうです。

以下参考

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