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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと

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連載の小説。三十歳になったぼく。大学時代を振り返る。 亮介さんは、大学の先輩。クセの強い、変わり者。 あおいさんも大学の先輩。海外志向の、ちょっとワガママな女性。 亮介さんとあお…
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2018年8月の記事一覧

【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 1/30

《三十歳をむかえて》 三十歳になったいまでも、人生の意味とか、生きる意味とか、生きる価値…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 2/30

「亮介さんは、大学生のころに戻りたいっておもいますか?」 とぼくは聞いた。 「おおん、そ…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 3/30

「日下部、きみはむかしの方がよかったとおもうかい?」 と今度は亮介さんから聞かれた。 「…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 4/30

ふと気がつくと、鳥貴族には亮介さんとぼくしかいなかった。 テーブルに残っているのは、空の…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 5/30

《2 メーン》 「メーン」 スマホからはそんな声がたしかにした。聞きまちがいではない。酔っ…

雑賀千尋
6年前

【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 6/30

《3 亮介さんとの出会いは》 亮介さんとはじめて出会ったのは、大学生のとき。突拍子もない…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 7/30

《4 亮介さんと丸田屋のラーメン》 丸田屋のラーメンは、とんこつしょうゆラーメンである。スープに独特のくさみがあり、メンマとかまぼこが入っているのが特徴である。 とりたてて美味しいわけではないが、大盛りが無料ということで、腹を空かせた大学生には重宝されている。 その日の亮介さんの様子はいつも以上に不自然だった。 「亮介さん、どうして麺をまるごと残して、スープ飲んじゃったんですか?」 「まーん。よく聞いてくれた。きょうはラーメンをたべたいというより、スープが飲みた

【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 8/30

《5 そしてドバイへ》 最寄駅から電車で関西空港にむかう。その日は、快晴で、申し分ない天…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 9/30

それにしても、あおいさんというのは、およそ、まともな神経をしていない。 日本で英語なんて…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 10/30

まだ秋も深まる前、これは夏じゃないかと、気圧配置に文句をたれているころ、あおいさんのドバ…

雑賀千尋
6年前

【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 11/30

となりの席では、大学の先輩と後輩とおぼしき二人組がいる。先輩が後輩に、生命保険の大切さを…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 12/30

ドバイというのは、アラブ首長国連邦を構成する首長国のひとつである。日本でも、金持ちの国と…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 13/30

ドバイは、イスラム教の国ということもあって、お酒は「基本的」には飲めないらしい。この「基…

雑賀千尋
6年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 14/30

そのあと、亮介さんは、なんでドバイにはインド人が多いのか、ドバイの人はどうやって恋愛するのか、などなど、アラビア人の生活習慣についての質問をくりかえした。外堀を埋めることにこだわった。なかなか核心に触れられなかった。 「それで亮介はなんで、ドバイにきたの?」 とあおいさんがきっかけを与えてくれた。 「おおん」 といったあと、亮介さんはジムビームをすこし飲んだ。 「留学が終わったら、ぼくと付き合ってくれないか?また一緒に住みたいんだ」 今度はあおいさんがジンバックをすこ